テットはメリルを助けない
お? 今日も律儀に通ってるッスね?
「メリル。俺、今日もメリルにプレゼント持って来た」
「・・・・ありがとうシャミ。嬉しいよ」
ハハハ! ほらメリル様。そんな引きつった笑いだとシャミにバレるっすよ? もっと上手くやらないと。
「大きくなったらちゃんと働いて、もっといい物メリルに毎日プレゼントする。メリル、俺のお嫁さんだから!」
「・・・・・・・楽しみにしてるね? でも、毎日じゃなくていいよ? シャミの笑顔が見れたら私は幸せだからね?」
尤もらしい事言って逃げようとしてるッスね?
無駄ですよ? シャミは本気ッス。
やっぱりシャミも男の子ッス。
「大丈夫! 俺立派な男性に成長してメリルを養う! 俺、頑張る!」
ぶっ・・・・だはははははははは!!
だ、駄目だ。このままここに居たら我慢出来ない。
俺は爆笑を我慢出来ない! メリル様笑顔のまま震えてるッスね? 感無量ですか? そうなんすか? 嫁の引き取り手あって良かったすね?(しんみり)
「・・・・シャミ」
メリル様。自業自得ッス。
アンタこれはいくらなんでも強引過ぎた。
そして、シャミを舐めてましたね?
流石恋をしないだけあって、乙女心も男心も全く理解出来てなかったすね?
では、数日前のメリル様とシャミのやり取りを回想してみようか?
「こんやく? 何それ」
「婚約っていうのはね? 大人になったら結婚しましょうって約束する事だよ。夫婦になる約束をした相手を婚約者って言うの」
あの話し合いの後メリル様勝手にシャミ婚約案を決行したッス。止める間もなくシャミに説明し出したんで口が挟めなかったんッス。
まぁ皆きっとシャミは意味が分からないだろうから何となく頷くか、首をかしげると思ってたんすけど、ここで思わぬ展開になったッス。
「え! メリル俺のお嫁さんになるの? 俺と結婚する?」
「今すぐじゃなくてね? そのお約束だけしようって話なの。決定じゃないよ? シャミはまだ小さいから途中で嫌になったら勿論、婚約を止めることも出来る」
「なんで? 俺メリルと結婚してもいい。約束だけ?」
皆沈黙ッスよ。
子供の純粋無垢な瞳でそんな事問われたら、面倒だから一番楽そうな手段選びました! とは、言えないッス。
俺達は、汚い大人です。
「あのね? シャミはまだ小さくてこれから先、色んな素敵な出会いがあると思う。今は私の事好きでも、私以上に好きだと思う人が現れるかも知れないでしょ? だからね、約束だけしておいてシャミが大人になって、それでも私を選んでくれるなら結婚しましょうって約束なの? 分かるかな?」
「・・・メリルも? 俺より、好きな人出来る?」
おっと〜? これは答えづらい質問だぁ。
俺になら即答で無いと答える回答をシャミには言えないッスよね? 誤解の上に誤解を重ねてしまうッスからね?
「・・・そうだね。その可能性は、無いとは言えない。でも、今はシャミが一番だよ?」
奥の方でエルハド様に隠されているデズロ様が涙目になりながら震えてるのがとても気になるッス。
我慢してるんすね?爆笑したいのを、必死で我慢してるんすね? 俺もちょっと苦しくなってきたッス。
さっきからメリル様の焦りっぷりが半端ないっすね?
ざまあみろ。
「分かった! 俺メリルの婚約者になる!」
お! 素直に受け入れてくれて良かったッスね? どうなることかと思って冷や冷やしたッス。
まさか、シャミにここまで追い込まれるとは。
考えが甘かったッスよ? これに懲りたら・・・・。
「俺、立派な大人になって、メリルを幸せにする! 」
「ブッフェーーッ!! むぐ!!」
あ、エルハド様ナイス!
今思いっきりデズロ様に吹き出されたら俺も我慢出来ない。
と、いうかここで全てを傍観していた全員が最早爆笑するのを必死で我慢している!
真っ赤な顔で口を押さえて震える俺達に囲まれて、囲まれたメリル様は真っ青ッスね?
ざまあみろ!!(2回目)
「俺! ずっとメリルの一番で居られるように毎日求愛する。毎日メリル喜ばす。俺、メリルと結婚する!」
「・・・あ、ありがとう・・・シャミ・・・」
「わーい。俺メリルのこんやくしゃ〜!」
そして、皆何も言わずその場を後にしたのだった。完
回想終了。
「ブフーーーー!!」
いっけね!思い出したら思わず吹き出しちゃったッス。
あのメリルを黙らすシャミの小悪魔ぶりに俺は感嘆ッスよ。それにしても、メリル様、いい加減開き直ればいいのに、数日たった今でもあの狼狽よう。珍しい事もあるもんだ。シャミも、飽きずに毎日メリルに花を摘んで来るし。
「メリル! チューして」
「・・・・頬ならいいよ」
相変わらずチューチューしてるんすね?
アレからこちらに被害は来てないからいいっすけど。
そろそろそれ、やめた方がいいんじゃないっすか?
シャミの教育上よくないッスよ?
「ありがとうメリル! 俺外遊び行く!」
「うん。行っておいで」
あー疲れ果ててるッス。
少し可哀想になって来たな。少しだけッスけどね?
「お疲れッスね? いい加減慣れたらどうッスか?」
「・・・・う〜・・失敗したぁ」
今更後悔しても遅いッス。
シャミの本気を舐めてたッスね? あはは!
ん? テニア? アンタまでなんて顔してんすか?
「・・・困りましたわね。メリル様、どうなされるおつもりですの?」
「どうするもこうするも・・・シャミが本気なら、受け入れるしかないでしょ? まさか、こんな展開になるなんて、読みが浅かったわ」
「なんの話ッスか? シャミが本気だと何かまずいッスか?」
もしかして笑い事ではない事態に陥ってる?
ん? どの辺りが?
「シャミ、本気で私が好きみたい」
「・・・・・・・はい?」
「本気で、私と結婚したいみたい。妖精がそう言ってる」
・・・・つまり、その。シャミの初恋がメリル様って事ッスか? いやいや、まぁ、無いとは言えませんけど? それが何か問題でも?
「参ったな。私シャミの事そういう意味で好きになれるか自信ないんだけど・・・でも、今更やめるなんて言えないよねぇ」
「え? なんでッスか?」
「・・・だって、シャミ本気で私を口説いてくるんだよ?本気の相手に適当になんて応えられないでしょ?」
・・・・・何言ってんのこの人。
シャミは9歳の子供っすよ? 適当に相手して適当に流しておけばいいんじゃないッスか?
「・・・・まぁ、もしかしたら長い婚約期間の間にお互い気持ちが変わるかも知れないし・・・開き直ろうかなぁ」
ちょっと待てよ。
それってどっちがどういう風に変わるのかな?
え? メリルがシャミを好きになる可能性があるって事?
いやー? それは、流石にないだろ?
・・・・・・・ない、よな? え? 何この展開。




