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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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メリルは薬草を栽培したい

「うーん。こんなもんかなぁ」


あ、こんにちわー?


お久しぶり!メリルッス。

ッスッスうざ過ぎて、最近逆に使っちゃってまッス。


それはともかく。今日は庭の大部分に村の山から持って来た薬草達の苗ごと植え替えて余った部分に新しい薬草の種を植えたんだけど、やっぱり場所足りないよね。


「うお!凄いッスね?庭一面緑だぁ」


「素晴らしいですわ、メリル様。これを全てご自分で?」


「少し手伝ってもらったけど、大部分はねぇ。でも、やっぱり全然足りないわ。他に植えられる場所ないのかな?」


ん?テニア何?それは、宮廷内の見取り図?


「そう仰るのでは? と思いまして、予め調べておきましたわ。ここから、そこまで遠くない敷地内に、昔使われていた畑が残っておりました。長い間使われていなかったので、かなり手入れは必要になるとは思われますが、リディ様には既に使用許可を頂いておりますわ」


私、最近とても心穏やかに過ごしてるの。


なんでかな?前と待遇は変わらないのにな?って不思議だったんだけどね?やっと今理解した。


「テニア。貴女は本当にここの誰より優秀。そして完璧。一生側にいて欲しい」


「まぁ?熱烈ですわね?私、相手がメリル様なら・・・構いませんわ。(ポッ)」


「怖いッス。本気度が伝わってくる所が・・・」


テニア、私がやって欲しい事、すぐやってくれるの!


これが欲しいな?て思うと既にあるし、これは要らないと思うといつの間かなくなってて。放っておいて欲しい時は緊急時以外近寄って来ないの!!私お陰でノンストレス!超快適!


「そういえばメリル様のご実家の復旧作業をお断りになったとか?よろしかったのですか?」


「だって、あそこ私以外今誰も住んでないの。ここ、人手が足りないんでしょ?先に助けが必要な場所が沢山あるもの。絶対に必要な物は持って来てもらったから、後は自力でなんとかするわ」


「へぇ?意外とまともに考えてるんすね?てっきりこのまま我儘放題なのかと・・・・」


は?何言ってんのコイツ。


「我儘なのはどっちなの?私は確かに、この国の人間だけど、ここの人間に助けられた事なんて一度もない。今回だって私を助けたフリして本当の目的は違った癖に、まるで保護してやったみたいな言い草だったけど、白々しいよね?奪うだけ奪っておいて、自分達を助けてくれなかった奴等に、なんで手を貸さないといけないの?私は我儘を言ったんじゃない。家に帰せと言っただけ。別に無理して我儘を聞けなんて一言も言ってない」


「・・・・・・そっスね〜・・・・」


「では、何故手をお貸しになる事に?」


絶対に嫌だったんだよ?嫌だったんだけど・・・・。


「だって、リディは嘘、ついてなかったんだもん」


「陛下ッスか?嘘ついてないって?」


私、昔から両親や姉の影響で無理矢理鍛えられてるの。


こんな、まともな人間の少ない荒廃した国で生き残るなら、やっぱりその為の能力は必要だもんね?


「私、嘘付いてる人間ってすぐわかるんだ。逆に本音を言ってる人も。皆、表面上は私に従う振りしてるけど、誰も本気で私の事信用してないの、でも、リディだけは私に助けを求めてる。私を真剣に必要だと思ってるんだよね」


「・・・・それで、リディ様に力をお貸しになろうと?」


「うん。だって、多分あの人が諦めたら、この国滅びるもん。別にそれでもいいかと思ってたけど・・・気が変わったんだよね」


ただクリスタルに触ればリディを助けられるんだし、ケチケチする事はないかなって・・・ちょっとね?

ちょっと思っただけ。


「私と歳が変わらない子が必死でこの国を何とかしようとしてるんだよ?ここ数ヶ月様子を見てたけど、駄目だわ。私が手伝ってあげないと、リディ潰れちゃうと思うわ」


「・・・・・え?そんな事考えてたんッスかメリル様? そんな素振り一ミリだって出してませんでしたよね?」


そりゃそうだよ。

だって協力するつもり、全くなかったもん。


「でも、私がリディに協力するって、ここだけの話にしてくれない?って言うか、バラしたら、その時はここから脱走してやる」


「え?脅迫ッスか?また唐突ッスね?」


「だって、あんたの事信用してないもん私。でも、私から離れないつもりなら、どうせバレる。だったら隠しても無駄だし」


「・・・・・・メリル様は思い切りがよろしいのですわね? そんな所も素敵ですわ」


「恐ろしい・・・ただのヒステリックガールじゃなかったって事ッスね?面白くなってきたな、コレ」


面白くもなんともないわ!!

私は引きこもって薬が作れれば、それだけで充実した毎日だったのに!面倒くさいこと、この上ない!


「で?何する気ッスか?」


「ポーションを作る。それを市井に告知して望む者全員に配る。それと同時に、今この国にどれだけの生活困窮者がいるかを調査する。多分リディは、どの地域にどれだけの人間が今生きていて、どんな状況に陥っているか、把握しきれていない。人が足りなすぎるもの。でも、それが分からなければ、どの場所にどれぐらいの配給が必要か、税の徴収がどれぐらい妥当か、緊急性が高い、助けが必要な場所がどこか、分からない。まず、動いてここまでたどり着ける者が何処から来るかを調査する。そして、最も数が少なく動ける者が少ない地区に調査団を派遣する」


「「・・・・・・・・・」」


え?なんで二人共黙るの?なんかおかしい事言った?私。


「・・・メリル様って・・・何者?庶民の出ですよね?」


何それ?馬鹿にしてんのか? ッスッス!あん?


「取り敢えず・・・千人分ぐらいは必要だよね〜。足りないとは思うけど、形にはなるかな?」


「せ!!千人分!!」


「そんな物どうやってお作りに?薬草も全然足りませんわよね?」


そうだね。でも、薬とポーションってちょっと違うんだなぁ・・・これが。


「ポーションは魔力の原液を薄めて溶かした物の事を言うの。つまり、病気を治す訳じゃなくて、身体の免疫を高めるというか・・・体力を回復させるって言えば分かりやすいかな?それで、時間を稼ぐ」


ポカンとしてるね?

そりゃそうか?こんなの聞いたことないよねきっと。


私とお母さんが見つけたやり方だし、実際コレ私にしか出来ないし?


「そ、そんな物・・・作れるんすか?」


「出来るけど?私、天才だって言ったでしょ?」


でもなぁ・・・それだけの量の液体を入れる容れ物あるかなぁ?・・・・それだけが心配だよ?

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