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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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チェシャは考えるのを放棄する

「チェシャー! 抱っこ」


「ちびっ子。お前は何故毎日毎日私に抱っこを要求する? 他にもいるだろう? お前を抱っこ出来る者が」


私はナシェス、改めチェシャ。


強制的に首輪をつけられ、チェシャなどという名前を付けられ愛でられる日々が続いている。

こんな宮廷の敷地内の角に建つ埃っぽい屋敷に押し込められ何をしているかと言えば、薬草の世話やらちびっ子の相手やら屋敷の掃除やら、私は使用人ではないのだぞ!!


「俺シャミだよ。ちびっ子違う。名前が覚えられないの?チェシャ賢くない?」


「賢いぞ! ちゃんと覚えている! シャミ」


誰が賢くないだと? 私を誰だと思っているのだ!

私の記憶力を舐めるなよ? 必要ない事は気にかけないだけだ!


[クスクスクス。またやってる。チェシャは面白い]


[うんうん! キラキラしてるし楽しいね!]


それはそうだろう? 私のこの隠そうとしても隠しきれない輝かんばかりの美貌! そしてそのカリスマ性!

与えられるべくして与えられたのだ。私は特別なのだ!


と、最近まで疑わなかったのだがな。


「チェシャは綺麗だね。隠れないといけない」


「隠れる? 何故だ?」


「だって、綺麗な物は悪い奴に奪われて見世物にされちゃうんだよ?俺もそうだったんだって」


成る程な? 下界ではそうらしい。


確かにそんな話を何度も耳にしたが、それほど横行しているのだな。それは、問題だ。


「私は今まで隠れる必要が無かったからな? 問題ない。街に降りる事も、もうないだろう」


「そうなの? なんで?」


「私を迎えに来る者がいる。それで終わるからな」


「なにが?」


「少しは自分で考えるがいい。その内わかる」


子供は嫌いではない。

無礼だが躾が必要なだけで扱いやすい。


そういえばデズロが気になる事を言っていた。

私の元部下が子供だとか、なんとか。


私は部下の名前を基本覚えない。


奴等は使い捨てだからだ。


私にあてがわれる部下は使い捨てて良いと私は言われてきた。奴隷だからだと。


奴等は人間ではないのだからと。


"ナシェス様"


"えー? 懲りないですねナシェス様"


ぼんやりとしか思い出せない。

あの二人はそんなに幼かっただろうか?


ただ、最後に私にあてがわれた二人は確かに一番長く私の側に置いた記憶はある。サウジスカルの騎士に捕らわれた私を必死に呼んでいたのも覚えている。


私は、奴等はここに返されるのだと思っていた。

私が殺されれば奴等は必要ない。私が首謀者なのだから。


何故、デズロは私の部下をわざわざ保護などしたのだろうか? あの二人が生きてる事さえ私は知らされていなかった。まぁ、安否を確認もしなかったが。


あの二人は誰が連れて来たのだったか?


「チェシャ、チェシャ!!」


「え?」


なんだ? 急に、目が回っ・・・。

しまった。シャミを抱えたまま倒れてしまう!

誰か、コイツを・・・・。


ガシッ!


「驚く程の軽さだな。ちゃんと食べているのか?」


「・・・・・え?」


「あれーーー? エルハド様? お帰りなさい?」


おい。何故お前がこんな所に?

サウジスカルに帰ったのでは? そして、その手を離せ。


「は・・・なせ。シャミ・・・・」


「ああ。シャミ降りなさい。あちらにデズロがいる」


「え!? デズローーーー!!」


グフッ! ・・・・シャミめ。思いっきり突き飛ばして行ったな。やはり子供など可愛くない。


「寝室まで運ぶぞ。そら」


「は? いらん!お、おい!!」


な、なんて力だこの男! 長身の私を軽々と抱え上げ・・・というか止めろ! 下ろせ! 貴様、私の敵だろうが!!


「え? エルハド様? こちらに戻られていたのですか? え?なんですの? チェシャをお姫様抱っこなんてされて」


「ち、違う! お、下ろせ! ちょっと目眩でフラついただけだ! お、おい!」


ビクともしないぞ! 本当にどうなっているんだこの男!

そ、それにさっきから何か言いたそうな顔でデズロ様が睨んでいる! 凄い睨んでる!


「こんな事で騒ぐな。大人しく運ばれろ。今メリルがメリルの両親達と再会している。それまでここを任されてな」


メリルの両親?

そういえば旅に出てると言っていたな?帰って来たのか?


「ベロニカをこちらに連れて来た。彼女は体がかなり弱っている。ここの元部下だが、あまり刺激しないようにな」


「ああ。ティファの金魚のフンか。まだ生きていたか」


「・・・エルハド。ソイツその辺りに転がしとけばいいよ。わざわざエルハドが運んでやらなくてもさぁ〜」


「そう言うな。メリル曰くコイツも10歳児だぞ?」


失礼な奴だな! 誰が10歳だ! とうに成人を迎えている!! 下ろせ!


「僕は永遠の20歳だよ!!」


「競うな!そして、 だからなんだ!」


「僕も抱っこ!」


「当然の権利の様に要求したな? お前ここに来るまで散々私に運ばれておいてまだ言うか! 皆呆れた目でお前と私を見ていたぞ! 何故要求された私まで冷たい目で皆に見られなければならんのだ! 納得いかない!!」


・・・・・だからな?

いや。もう、いいか。抵抗は無駄なようだ。余計な事を考えるのは止めよう。メリルは私が病気だったと言っていたな。


それなら、素直に治るまで待つか。

治れば・・・の、話だがな。


「そもそも、本来ならベロニカを交代で運ぶと言っていたのに、何故お前は私がベロニカを運ぶのを邪魔したのだ! 無駄に時間がかかったではないか!」


「無自覚め!! ベロニカ明らかにエルハドに対する態度だけ違ったでしょ! 無自覚にフェロモンを撒き散らすの止めてよ! フィクスにもっと気遣いなよ! この、脳みそ筋肉バカめ!」


「それは私の立場を気にして緊張しているだけだと何度も言っていただろうが!! 誤解を与えるような発言は控えろ! そしてベロニカに謝れ!!」


「あ、あの〜。取り敢えず中に入られませんか? チェシャも、本当に具合、悪そうですので」


「「あ」」


"あ"じゃないぞ。

お前達。一体何しに戻って来たのだ?


喧嘩したいなら自国で好きなだけやってくれ。

そして、いい加減私を下ろせ。

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