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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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リディはメリルを引き止めたい

「大体ね?意味が分からないの?」


「何度も、説明はしているのだがな?」


皆御機嫌よう。私はカスバール帝国皇帝リディ・ディムレムだ。最近父からこの国を賜った。いや、そう、私が仕向けたんだけどな。


「だってね?こんな事私じゃなくても出来ると思うの。だって今も、クリスタルに触ってもなんとも無いし、中に魔力も凄い勢いで貯まってる。そもそも私一人の魔力でこの国が助かるならね? とっくにこの国は改善してると思うの」


「・・・それに関しても同じだ。お前はお前が自覚している以上の魔力を身体の中に秘めている。そして、これが出来る事が分かっているのも今の所メリルともう一人の人物だけだ。つまり、お前だけが頼りなんだ」


「うぐっ!そ、そんな風に言ったって・・・嫌なものは嫌よ。私は、貴方達には、協力したくない・・・」


「・・・・・お前の、姉のことか?」


私達がこんなにも必死にメリルに懇願しているにも関わらずメリルが私達を頑なに拒む理由を私は実は知っている。


実はメリルには姉がいる。


その女性の名はティファ。かつてこの国の最強騎士だった。


「そうよ!!貴方達がお姉ちゃんをこき使った所為でお姉ちゃんサウジスカルに捕らえられちゃったじゃない!アンタ達その時、私達になんて言った?戦争中に逃亡し敵国に捕まった恥知らずだって言って生死など知らないって言い放ったのよ?あーーー思い出したらムカムカしてきたー」


当時メリルの家族にそんな事を言い放った兵士が目の前にいたら今直ぐ私が切り裂いてやるのに。そいつの所為でややこしい話が更にややこしくなっている!非常に面倒だ!!


「・・・それに関しては言い訳のしようもない。正直今までカスバールの秩序はまともに保たれていなかった。それは、宮廷内もなんだ。お前はここにいて何か違和感を感じなかったか?」


「・・・・違和感?違和感は沢山あるけど・・・何の事?」


「ここで働く人間が少な過ぎると思わなかったか?私が帝位を任されるに当たって、私は政務に支障が出る事を承知で宮廷内を整理した。それだけ、まともな人間がここには居なかった」


「・・・・・・・あ、だから・・・」


だが、正直今、人手不足で政務が回らない状態だ。

それなのに、この、メリルの我儘によって更に人手不足になっている。しかし、人手を削ってでも、メリルの力は、私達にとって命綱その物なんだ。


「メリル。お前が言っていることは理解出来るし、気持ちも分かる。だが、私はこの国の人々を助けなければならない。それも、早急に。この国の魔力が枯渇してしまえば作物もまともに育たない。お前は、この国はまともに食べるものなどないと言ったがその通りだ。それで一番苦しんでいるのは他でもない、お前達だろう?それを、まず何とかしないと、皆死んでしまう」


「・・・・・・・・うん」


「永遠に、などと言うつもりはない。お前が協力してくれるというなら出来る限りお前の望みは叶える努力はする。そして、その間メリルの力がなくともこの国が何とかなる手段も探す。それまで、どうか力を貸して欲しい」


「えーーーーーやだぁ・・・・」


コイツ。本気で叩っ斬ってやりたい。こんなに必死で頼んでいるのに・・・・・いや、まぁ、だが・・・あの姉の妹だからな。思い通りに動かそうとするのは無駄か。


「私、宮廷の人間に協力するのは嫌だよ。まぁ、でも・・・リディがそこまで頼むんだったらリディ個人になら協力してあげる」


「・・・・それは。どういう事だ?」


「皇帝の命令はきかない。でも、リディが助けたいなら協力してあげる。勿論私は自分のやりたいように、ここで生活するからね?」


「それで構わない。命令は、しない」


いや、意味がよく、分からないんだが。

とにかく命令しなければ良いんだな?


「じゃあ改めて。私メリル!あの村で薬師を生業として生活してる。新薬を開発するのが趣味なんだ!貴方は?」


「私はリディ・ディムレム。カスバールの第二皇子として産まれた。兄が使えなかったので私がこの歳でこの国を引き継ぐ事になった。よろしくな」


凄い違和感だ。


そもそも女性相手に、男同士でするように握手するなど始めてだ。これは、つまり仕事仲間として同等に扱えと言う事なのか?


「あ、一杯になった?じゃあ私は戻るね?また来週ここに来る」


「ああ。助かる。くれぐれも身体を壊すな。何かあればテットに言ってくれ」


「えー?あの人かぁ。わかったぁー」


ん?なんだ?不満そうだな?テットは優秀な男だがな?


「ッスッスうざいんだよね〜なんか、イラッとする」


頼むから仲良くやってくれ。


・・・・それにしても、なんで急に態度が軟化したんだ?


伝えたことは今までとそう変わらなかった筈だが・・・。


「・・・・・良かった。なくなる前に補充できて・・・」


どんなに面倒でも、我儘を言われたとしても彼女に協力してもらわなければ。もう、これ以上この国を放置する事は許されない。


「無能どもめ。こんなになるまで好き勝手に・・・絶対に・・・この国を助ける!!」


お前達がやらないのなら私がやる。

邪魔をするなら家族だろうと容赦はしない。


その為なら、メリルに土下座したって構わない。

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