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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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テットの誤算

メリル様調合中は人格が変わります。

俺さぁ?

ここまで辿り着くのに結構頑張ったと思うんだよ?

陛下の側で働ける地位になるまでさ?


それなのに、こんなちんくしゃ生意気な女の側に付かなきゃいけないとか、本気でない。


さっさと問題起こしていなくなってくれないッスかね?


「うん!問題なさそうね?やっぱり元々調剤室を完備されてるだけあって調合しやすい環境なんだ?」


さっきから一人でブツブツ言ってるこの人。

最近我が国の陛下が偶然見つけて来た強力な魔力を持つ薬師なんだけど、よくよく話を聞いてみたらとんでもない人物だった。


随分昔この宮廷で一流の薬師の腕を持っていた宮廷薬室長マリオーネの娘らしいッス。


そりゃ魔力も強いよ。

じゃなきゃ宮廷の薬室長なんて務まらないッスから。


「うちの薬室長に知られたら面倒な事になりそうッス」


でも、さっきからこの人何やってんッスかね?


置かれた器にずっと手をかざしてブツブツ言ってるだけっすけど?薬をすり潰したりしないんすか?


「試しに何か作ってみようかな?あ、でも目的がないとなぁ・・あ!ねぇちょっと貴方」


「なんすか?メリル様?」


「最近体の事で何か気になってる事ない?」


なんすかそれ。ざっくりですね?思い当たらないッス。


「特にはないッス」


「嘘だぁ?ちょっとこっち来て座って」


ええー?なんかやだな。人体実験とか、マジ勘弁。

俺は出世して悠々自適な生活を送りたいッスから。


「ちょっと診察するだけだから大丈夫よ。何?まさか私が怖いわけじゃないわよね?」


「メリル様って強気ですよね?いつか後悔しますよ?」


「え?それならここに連れてこられた時点で何万回もしてるけど?」


本当口が達者であられる!俺笑顔を保ってるけど内心中指立ててるからな?このやろう。


「ちょっとおでこに触れるけど、安静にしてて。特に体には何もしないから」


当たり前だよ。勘弁して。とにかく大人しく言うことを聞いてサッサと休んでもらおう。俺はその隙に陛下に報告しに行かないと。


フォン。


あ、なんだ?なんかとても心地いいなこれ。

何かが身体の隅々まで行き渡るように広がる感覚がするッス。気持ちいい〜!


「ありゃ。左側の肩痛めてるね?この程度すぐ治るけど・・・・頭痛も酷そうだから一緒に処方してあげる」


え?なんでそんな事分かったッスか?

おでこに軽く、触れただけッスよね?


「一日一回飲めばいいから。全部飲みきるように。貴方専用の薬だから他の人間に飲ませちゃ駄目だよ?」


怖い。こんな怪しい薬飲まなきゃならないの俺?


この仕事やめようかな?


「後、本当に私にずっとついてなくていい。私下手すると2日くらい寝ない時あるから。付き合ってたら体壊すわよ?」


あ、じゃあお言葉に甘えて。ていうか俺どこで寝よう?これは、床かな?


「さっき二階に貴方用にベッド運んでもらったから、そこで休んで。そこは自由に使って構わないから」


あ、そうなんッスか?見かけによらず優しいんすね?


「やり甲斐ないなぁ。誰か大怪我しないかなぁ?」


いや、アンタ悪魔でした。

陛下貴方とんでもないもの見つけてきましたね?

どうするんッスか?更に問題が大きくなったら!


「それ、飲んだら?もう休むんでしょ?」


「え?いや、寝る前に・・・」


「今飲んでも効果は変わらない。飲まないの?」


・・・・・ちょっと〜?これ、本当に大丈夫なのかな?飲んだ瞬間バタンキューとか?あ、あり得るが・・・ここで信用を失ったら後々もっとやりにくくなりそうだ。


「・・・・では、有り難く・・頂きます」


流石に殺される事はないだろう。

もし、これで変な薬だったら陛下にこの女直ぐに追い出してもらおう。


ゴクゴクゴクリ・・・プハー!


「うん!美味い!」


じゃ、ねぇよ!でも、思いの外味が良かった!なんつーか爽やかなレモンの香り?とてもスッキリした!


「それは良かった。ちゃんと貴方の体に合った薬が出来たみたい。もう効果が出始めてるもの。欠かさず飲みきればもっと身体が楽になるよ」


え?本当ッスか?

俺、そんな薬聞いたことも見たこともないッスけど?


そう思ってたんすけど。

その日ベッドに横になったらね?久々の快眠で、朝までぐっすり。そんで、朝目が覚めたら・・・・・。


「・・・・え?肩の痛みが引いてる」


ちょっと。ちょっと考えさせて?


あの子ってさ?アースポントに魔力を貯められる能力者でしかも天才薬師の娘で本人もその才能があるんだよね?


しかも、新薬の開発に力を入れてて、とっても貴重な人材なんすよね?


・・・・・・・・・・・え?あの子、馬鹿?


なんでそんな事自分から暴露しちゃった?

ここから出たいんすよね?

面倒なんすよね?


じゃあこんな事バラしちゃったら益々返してもらえなくなるって、何故気付かない?


「でも、この状況。俺あの子から離れられないし」


早くこの事を陛下に伝えなきゃいけないけどそんな事したら益々俺はあの子から離れられなくなりそうッス。


少し、様子を見た方がいいッスかね?


「ん?メリル様は?」


「それが、部屋から出て来られなくて・・・ノックしても反応がないのです」


まさか!逃げられた?馬鹿は俺ッスか!しまった!!

これは首と言う名の本気の首斬りに俺は合うかも入れないぞ!騙された!早く追いかけないと!一応部屋も確認してそれから・・・・。


「メリル様!!」


「あん?何勝手に入って来てるんだコラ」


え?逃げてない?っていうか・・・()()どうなってんの?部屋のあちこちによく分からない数式みたいなのが浮き上がってるんッスけど?


「聞こえなかった?調合中なんだよ邪魔すんな。何か用か?」


「・・・・・いえ・・・・朝ごはん・・」


「いらねぇよ。勝手に食っとけ。しばくぞコラ」


「・・・・・・はいッス」


・・・・・・色々ツッコミどころはあるッスが。


一言いいッスか?


何アレ? 柄悪っ!!

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