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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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テットはメリルを理解する

メリル様の故郷は来てみたら、やっぱり酷い有り様だったッス。てっきりショックを受けて泣き出すかと思いきや、サッサと片付け始めて、あっという間に住める場所にしちゃったッスね。と、いけない。つい癖で。


そういえば宮廷の離れに移った時もそうだった。

この子はこういう生活に慣れている。


「テットって山育ちでキノコ類には詳しいのに、薬草は全然なのね?」


「あのな? あんな一杯薬草がある山なんか他にない。山菜ならあるけど?」


「あ、そりゃそうか」


なんだろう。

ここに来てからあんなに居心地が悪かったメリルの隣が驚く程居心地が良く感じられている。


多分、メリルはこれが自然体なんだな。


「それで? アンタはいつ帰るの? あんまり宮廷を留守にするのはまずいんじゃないの? 私、帰るつもりないよ?」


ですよね〜?

いや、俺もさぁ正直どうしようか迷ってんだよね?


さっきの様子だと、ここにメリル一人で置いていくのは、とても危険だ。でも・・・・。


「まぁ。これを口実に俺も少し休みでも取ろうかと」


「休みにならない休みじゃない。 阿呆だ」


この子は宮廷には帰らない方が幸せなのかも知れない。


本当に俺達、汚い大人だよなぁ。自分達さえよけりゃ後はどうでもいいんだもんな?俺、ちょっと心が痛いわ。


「・・・・メリルの両親。ここに、帰って来るんだろ?」


「うん、その予定。お姉ちゃんと無事に会えて、どうするかはお父さん達次第だから」


ん?素朴な疑問が湧いたんだけど。


「どうしてメリルは親と一緒に行かなかったんだ? やっぱり薬草の世話があるから?」


「・・・・・その時はまだ、ここには他の人も住んでたの。その人達だけ残して行ったら面倒見る人がいなくなるから・・・」


え? その人達の面倒一人でみたのか?マジ?


「年寄りばかりだったの。別に頼まれた訳でもないし、お父さん達には行くのが面倒だからって言った。結局老衰で皆亡くなったけど」


「・・・・それは、大変だったな?」


「そうよ! やっと一人になって思う存分薬が作れるって思ってたのに! 今度は山に穴開けられてアンタらに捕獲されて・・・・・本当に・・・・疲れた・・・・」


うん。そうだな。ごめん。


「で? 今使えるベッド一つしかないけど、どうすんの?掘り出すにしても洗って干さなきゃいけないし」


「メリル小さいから一緒で大丈夫じゃね?」


「何が大丈夫なんだよ! ざっけんな」


だよなぁ。まだ寒くないから床で我慢するかぁ。


「お風呂は壊れてなかったから先使っていいよ。私、結構時間がかかるから、先入って」


え? お風呂があるの?

それは助かる。


実は汗でベトベトなので。


「お父さんのでサイズ合うかなぁ。テット背が高いんだよ。無駄に」


「無駄には余計だな。お前本当に一言多い」


しかもちゃんと薬草風呂みたいになってて、とてもサッパリした。なんだろ、本当に休みを満喫してる気分になって来たな。


「サンキュー! サッパリしたわ」


「じゃあ私入ってくる。変な気配を感じたら教えて」


うーん。

ちょっと一言いいかな?


俺、もしかしてメリルに凄く信用されてない?


だってさ。男の俺と二人きりでこの状況なのに、全然警戒してない。

ん? いや、俺そもそも男とカウントされてない?

あ、そう? そうですか。


「・・・・いい香りだなぁ」


さて、帰らないにしても、このままは無理だなぁ。

ここにいるならせめて、メリルの両親がここに帰って来るまで誰かが側に居ないとなぁ。


メリルの容姿だと今日みたいに直ぐに良からぬ輩に狙われるだろうし、いくら魔力が強くても一人で暮らすのはとても大変だ。


「しょうがない・・・よなぁ」


しかしこの状況。テニアに知れたら殺されそうだ。


「何床に寝転がってんの?寝るならベッド使ったら?」


「うぉ! ビックリしたぁ。意外と早かったな?いや、ベッドはメリルが使うんだろ?俺床でいい」


「はぁ? 阿呆なの? そんな所で寝たら体痛めるわよ? 明日も重労働が待ち受けてるんだから、ちゃんとベッドに入りなさいよ。あれ二人用だから落ちたりしない」


・・・・い、いやいや?

いくらお前が俺の好みの範疇外だとしてもそれはマズイ。


「さ、ちゃっちゃと寝よう。私、今日は本当に疲れた」


「・・・・あのなぁ」


「何よ? サッサと奥行ってよ。詰めて詰めて!!」


複雑だなぁ。

まぁ、別にいいんだけどさぁ?


「ったく。メリルこんな事、俺とシャミ以外は勘弁してくれ。本気で心配になって来た」


「・・・・言われなくてもやらないわよ。阿呆なの?」


アレェ? これはひょっとして、俺デレられてる?

メリルが俺にデレた? え?これ既に 夢の中?

・・・・・・って違うか・・・。


「メリル。大丈夫か?」


「・・・・・うん」


大丈夫じゃないよな。

人を殺したんだから。平気な訳ないよな。


「ごめんテット。アンタは関係ないのに、アンタにまで手を汚させて」


「・・・メリルさぁ?俺が今まで何人斬って来たと思ってんの? 俺はそっちの専門なんだから気にしなくていいんだよ。メリルの方が慣れてない分キツイだろ?」


自分に妹がいたらこんな感じなのかな。

それとも、情が湧いちゃったか? 俺。


「テット?」


「ごめんな、メリル。ずっと辛い目に合わせて」


「なんでテットが謝るの? 」


ハハッ。そりゃあさぁ。


「俺も王に仕える宮廷の人間だからな。お前達カスバールの国民が苦しむのをただ見てる事しか出来なかった。何も出来ないなら、あそこには必要ない」


「それはないでしょ? そんな事で辞めてたら誰も王宮になんて残らない。テットは何もしなかった訳じゃないでしょ?やりたい事が出来なかった、それだけでしょ」


なんだかなぁ。こりゃ参った。


「何だよメリル。それ励ましてくれてんの?」


「事実を述べた。それだけよ」


「なぁメリル」


「何よ」


「メリルが帰らないなら俺も帰らないって言ったら、ここに置いてくれんの?」


あ。やばい。泣くかな?きっともう泣きたくはないだろうからなぁ。これ以上はやめとくか。


「ずっとは無理だけど。居たいなら好きにしたら?そのまま帰ってもアンタが罰を受けるんでしょ?」


だから。お前がそんな事気にする必要無いんだよ。

もう寝ろ寝ろ!おやすみ!


「そりゃ助かる。ありがとな」


・・・・・あ〜あ。

やっぱり・・付いてくるんじゃなかったかなぁ?

あそこに帰したくないって言ったら皆怒るだろうなぁ。

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