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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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テニアはテットを不審に思う

「テニア。ちょっといいッスか?」


最近メリル様付きのこの男、様子が変わりましたわ。

前は監視のみで殆ど真面目に働いていなかったのに、最近になってやけに真面目にメリル様の身の回りの仕事を手伝う様になったのですわ。一体何を企んでいるのでしょう。


「メリル様に頻繁に薬草を取って来いって言われるんスけど、毎回見分けが付かなくて・・・本人に説明されても分かんないし・・・見分け方が知りたいんすけど」


「何故私が?」


「あ、コレ陛下付きの侍女ちゃんのリボン。可愛いよねぇ?テニアのお気に入りだっけか?」


な!? 貴方そんな超レアアイテムを何故? 何故手に入れているのです? その柄は確かにあの子の付けていたリボンですわ!! いやーん! ほ・し・い!


「俺陛下の側近だから? あの子ともよく顔を合わすッス。素直ないい子ッスよねぇ? 欲しいッスか?」


「ーーーーーーッな、何故私がそのような・・・・」


「え? いや、単純にああいう可愛い感じが好きなのかと?テニアはどちらかといえば綺麗系ッスからね?」


ああああ! 目の前でリボンを見せつけるのはやめて下さいませ!! あの子の可愛い頸に触れたそのリボン・・・堪りませんわ! よこしやがれ!


「で? 教えてくれるッスか? どうなの?」


「ゴホンッ・・ま、まぁ? メリル様の為にも貴方が補佐を出来る様になった方が宜しいですものね?構いませんわよ?」


あ、リボンが・・・しまわれ・・・・。


「じゃあ全部教えてくれたら、この子のハンカチと一緒にテニアに譲ってあげるッス! 侍女ちゃんの女子力を参考にしたいなんてテニアは勉強家ッスね?」


チッ!持ち逃げしようとした事がバレたか・・・。

しょうがありませんわね?今回だけですわよ?


でもこうやって教えていると、テットはおちゃらけている様に見えてかなり優秀ですわ。覚えがとても早いですもの。


この前も戦いぶりを見て本当に陛下の騎士なのだと改めて感心致しましたわ。


「成る程、要は皆タイプの違う女の子だと思えばいいッスね?」


前言撤回。駄目ですわこの男。不真面目さ無限大ですわ。


「助かったッス!じゃ、コレ約束の物ッス」


キャーーーーー!!ほ、本物?本物ですわ! こ、コレは後で部屋に持ち帰って容器に入れて匂いを嗅がなければ!


「・・・テニア・・・顔、顔が酷いッス」


「え? 何の事でしょう?」


「・・・だから・・あ、テニア顔に・・・」


何ですの? え? ちょっとその手は何なんですの!!

バチンッ!!


「いっ・・・てぇ・・・おまっ・・・」


「・・・・・・・気安く触らないで下さいませ」


しまった。

思わず力一杯、手を払い落としてしまいましたわ。

ちょっと大人気無かったですわね。


「本当に・・・メリル様もテニアも俺に当たりが強いッスねぇ。本気で転職準備ッスかねぇ?」


「申し訳ありません。私も少し大人がなかったですわ。ただ、私は暑苦しい男性が嫌いなのですわ。ですから余り近づかないで頂けると助かります」


「・・・ふーん?まぁいいッスけど」


あら?もっと不満を露わにすると思ったのに。おかしいですわね? 本当にあの男どうしたのでしょう?


「あ、テニア〜ちょっと相談があるんだけどぉ」


「メリル様なんでございましょう?」


「私ね、自分の薬を売ろうと思うのだけど」


え? 薬を売る? 誰にでしょう?


「薬屋さんを開こうと思う」


「・・・・それは、難しいのでは? そもそもどうやって商売を?」


「実はね。ここに篭ってから今まで作ってきた薬が貯まって来たじゃない?前は定期的に売っていたから倉庫に上手く収まってたけど、そろそろ入らなそうなの。それで、この薬を商店か何処かに売ろうかと思ってる」


成る程。

つまり薬を売る商店を探したいと言うわけですわね?

いくつかは心当たりがありますが・・・・。


「それは、陛下には?」


「言ってない。あれから会えてないし。今度会う時、話をするわ」


「それなら俺の知り合い紹介しましょうか?」


「「え?」」


え? 何ですの? 今の話聞いていたんですの?今 テットに知られると些か面倒ですわね。邪魔されてしまいそうですわ。


「実は俺の伯父が城下町で貿易商からの商品を販売する店を開いてるッス。そこなら誤魔化しもいざとなれば効くし不定期の仕入れでも問題ないッスから」


「へぇ? それは良さそう。薬いくつか貴方に渡しておくから聞いてみてくれない? でも、細かい取引条件の話は私が直接お店の主人と交渉するから」


「了解ッス。じゃ、後で行ってきまッス」


やはりおかしいですわね?

一体あの男何を企んでいるのでしょう?


「どうしたのテニア。怖い顔して」


「いえ。ただテットの様子が些かおかしいのではと」


「あーーー。あれは、諦めたかなぁ」


え? 諦めた? 何をです?

メリル様何か気付いてらっしゃるのですか?


「いや。テットは多分さぁ、リディの側に居たいと思うんだよね? でも私がここに来て私のお守りを任されちゃったでしょ? だから、最初はなんとか戻る方法を考えてたんだと思うの」


確かに。陛下の側付きは名誉なことですわね?

そこから引き離される即ち降格ともとれますが・・・。


「でも、私がここにいる限り、テットはリディの側には戻れないんじゃない? だって、テットここで一番強いみたいだから」


・・・・メリル様。

この方、周りの事を考えていないように見えて実は一番周りが見えているのでは?ただの 我儘に見える行動の裏に実は別の意図が隠されている気がしますわ。


「・・・・私。死ぬまでここに閉じ込められるのかもね」


この方はちゃんと分かっている。


分かっていて・・・わざとあんな態度をとり続けているのですわ。


でも、そうですわね。


「メリル様」


「なぁに?」


「貴女が本気でここから逃げ出したいのであれば、その時は私が必ず貴女をここから逃がして差し上げますわ」


信じてませんわね? 今はそれでも構いませんわ。


「ありがと! テニア」


私。有言実行ですのよ? そもそも私この宮廷には最初からなんの未練も御座いませんので?

可愛いメリル様の為ならば大抵の願いは叶えて差し上げますわよ? うふふ。

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