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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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メリルは恋愛しない

やっちまったー。

やっちゃいましたよ。


私っていつもそう。

何か一つに集中すると周りが見えなくなっちゃう悪い癖があるの。


「メリル様。この度は我々をお救い下さり誠にありがとうございました。あの数の魔物を一撃で片づけてしまうとは・・・流石は我々が見込んだ魔術師様でおあせられる」


え? 私?

今台座か何かに座らされてお偉い方々に平伏されてる。

何かなコレ。宮廷内の新しい流行りかな?


「・・・・いや・・・アレは私の力だけじゃないけど?私基本的に攻撃魔法は専門じゃないから。アレは人の能力を少しばかり借りて・・・・」


「方法がどの様なものであろうとメリル様のお手柄です!これからも何とぞ、我々にその類稀なるお力をお貸し頂きたい」


「え?それは嫌」


「そこを何とか!!」


あ、土下座に戻ったわ! 皆土下座してるわ! なんか久しぶりの風景だなコレ。わぁ。私悪の組織を率いる悪役令嬢みたい。え? ご令嬢がどこに? どうせ育ちが悪いからご令嬢なんぞに見えないわ! わかってるわ! うっさいな!


「・・・・リディは? リディは何処に行ったの?」


「陛下は今宮廷内離れに・・・何故でしょう?」


何故じゃないよ。

なんでアンタらリディの許可なく勝手に私をここに連れて来てんの?あ、勘違いしたのは私か? 寝ぼけ眼で言われるまま付いてきたんだっけ?


「テット〜ちょっとちょっと」


「あいあーい?なんッスか?」


ドゲシッ!

なんッスかじゃないこの役立たず。

ちゃんと止めなさいよ!職務放棄かコラ!


「いで! なんなんっすか?」


「部屋に帰る。おんぶ」


まだ体に力が入らないのよ。

慣れない攻撃魔法使っちゃったから思いの外、体がビックリしたみたい。


「お待ちください!まだ貴方にはお聞きしたい事が・・・」


「は? 何よ。後一つだけにして。私凄く疲れてんだけど?」


段々イライラしてきちゃったよ。

なんなん?この親父達なんなん?


さっきからヒソヒソヒソヒソ。イライラするわ!!


「あ、貴方はデズロ様の血縁者なのですか?」


「は? デズロ? 誰それ」


そんな人聞いたことも見たこともないけど?

なんの事かサッパリだわ。


「昔この宮廷にいた最高位の魔術師様です! 貴方はその方の血族ではないのですか?」


「はぁ? そんな話聞いたこともない。全然知らない人だけど?」


ん?何そのガッカリした顔。

もしかして凄く期待してた?ああ、成る程?


「何よ。私じゃ不満ならいつでも出て行くけど? そもそもこんな所本当は居たくないし」


「い、いえ!! そ、その様なことは!! ただ余りに計り知れない能力をお持ちなのでもしやと・・・大変失礼致しました。決して貴方様が不満だというわけでは・・・」


そうかなぁ?皆微妙な顔してるけど? ま、いいや。


「・・・今後はこういう所にリディ無しで呼び出さないで。リディから聞いてないの? 私が協力するのはリディだけよ。貴方達には一切協力しない。私はアースポントに触れるだけでいいんでしょ?それ以外は期待しないで」


おい。テットさっさとおぶりなさいよ。

何ぼーっと見てんだコラ!


「・・・・つまり、リディ様の為に協力している、と?」


「そうね? そういう事になるのかな?」


ん?微妙な空気になってる? 何故?


「・・・・・・成る程・・・わかりました」


「あ、わかってもらえた?よく分からないけどそれならいいわ。テット! 早く!!」


「・・・・・へーぃ」


奥の方がヤケに騒ついてるわね? ま、どうでもいいか。早く帰ってポーション摂取しよ!


「・・・・いいんすかメリル様。アイツら完全に誤解しましたよ?」


「あん? 誤解? なんの誤解?」


私、何かおかしな事言った? 欲丸出しでガッついて来たから跳ね除けただけだけど?


「でーすーかーら?メリル様はリディ様の事を慕っていると誤解されたッス。下心があるから協力してるのだと」


はぁ?何でそうなるの? 阿呆かぁ!


「・・・・その顔。無いんすね?そんな気持ち微塵たりともないんすね?」


「ないわよ、下らない。いい? 私の人生の予定表に誰かと恋愛する、という項目は存在しない。私は誰も好きにならないし、ましてや恋愛なんてする気ない」


「え? そうなんすか? まだ諦めるには早いッス!今からでも女らしさを磨いてチャレンジしましょう!」


ドゲシ!


「あで!! あ、無理ッスね?」


誰が磨くかそんなもの。

磨くのは調合技術だけで充分だっつーの!


「一生結婚しないし子供も要らない。シャミが上手く育って私の弟子になったら、私の後継はシャミにするから」


「・・・え? 割と本気で言ってます? 冗談じゃなく? なんでッスか?」


「なんでアンタに教えなきゃなんないの?知ってどうするの?リディに報告するの?」


「・・・・・・いえ。ま、言いたくないなら聞かないッスけど」


不満そうだなぁ。

アンタどっちなの? 踏み込みたいの? 踏み込みたくないの?どっちでもいいけど? 私の態度は変えないから。


「・・・私お父さん以外、カスバールの男、信用出来ないんだよね。別に皆が皆そうじゃないって分かってるんだけどさぁ」


「・・・・男に・・・何かされたんですか?」


「まぁ、ここも城下も変わらず危険地帯だからさ。あ、でも私の家族皆強かったからお陰様で危機は回避して来たよ? でもねぇ・・・夢は、無くなるわ」


大人だろうが子供だろうが関係ない。

人は生きていく為自分の欲を発散する為に誰かを犠牲にする事を厭わない。それで誰かが傷ついて死んだとしても所詮は他人事だもんね?


「・・・メリル様も、やっぱ苦労されてたんですね?」


「当たり前でしょ? アンタだって、ここに辿り着くまで、きっと大変だったでしょうが。だからアンタ私が嫌いなんじゃないの?」


「・・・なんで、嫌いだなんて・・・」


は? なんで? 馬鹿なのかな。

私、分かるって言わなかった?


「別に、誰に嫌われたって構わない。私は薬が作れれば満足だから。嫌なら私から離れればいいのよ。鬱陶しい」


やばい。眠くなってきた・・・このまま寝たら床に放り出されるかもね・・・うと・・・うと。


「・・・・・・あーーっそうッスかぁ・・・」


何? テット何か言った?全然聞いて・・なかっ・・グーーーーッ。


「参ったな・・・大人気ないのは俺ッスか」


明日は薬の調合の時間取れるといいなぁ。

最近邪魔ばかりでゆっくり薬も作れやしないんだもん。


こんなの・・・お姉ちゃんと暮らしてた時以来だな。

嫌なのに・・・なんか、懐かしい。変なの。

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