表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
21/194

リディはデズロと話したい

これは想定外だった。


確かにメリルには途轍もない魔力が秘められているのではと想定していた。


そもそもアースポントに触れ尚且つ中身を満タンにしてもなおメリルは疲弊した様子を見せた事がない。


彼女が作ったとんでもない量のポーションはアースポントに触れた後、作った物だとテットから報告が上がっている。


しかも彼女の母親は昔この宮廷に勤めていた天才薬室長だと言う。


それで私は彼女の能力は薬術特化系なのだと勝手に納得し安堵していた。


だが、もし父親の血筋が本当にデズロと繋がっていたのなら楽観視してはいけなかったんだ。


「どうするか・・・・」


この騒ぎで父や兄、そして私の命を狙う者共がメリルに気付くに違いない。そして、益々彼女は危険な目に合う可能性が高くなってしまった。私に、守りきれるのか?


「・・・・おねぇ・・・ちゃん・・・」


そもそも私はメリルに何一つ真実を告げていない。

メリルの姉がどの様にあちらの国に行って、今どうしているのか・・・全てを私は知っている。


アレはサウジスカルに捕らえられた兄をあちらから引き取る時。私はエルハド様とデズロ様に秘密裏に会うことを許された。あの日・・・・・。







「子供の時以来だね? 君はナシェスと違って何度も引き合わされなかったから覚えてないかなぁ? 僕、デズロ! 今回怒りプンプン丸で君の国を攻撃した張本人だよ!」


「お元気そうで、なによりでございます。今回は酌量の余地のない我々に多分な温情をかけて頂き大変感謝致しております。・・・・しかし、何故?」


そう。

何度もデズロ様を奪う為、無茶な戦争を仕掛けた。しかも今回は兄がデズロ様の娘を傷つけ攫おうとまでしたのに、何故生きたまま此方に返したのだろう。正直迷惑だ。


「アトレイアから聞いたよ? 兄にやるくらいならこの国をくれって言ったんだって? 本当はね?ナシェスの奴の首でも切って送り返してやろうと思ったんだけどね〜? それだとあの子自分が悪かったって事分からないまま死んじゃうでしょ? なんか納得できなくってさ? 一番まともそうな君がこの国を治めるなら、もう少し様子見てもいいかなぁって思ったんだぁ。一応僕の故郷だし?」


話には聞いていたが中々メチャクチャな方だな。

だが、この方が本気になれば今のカスバールは簡単に滅びるな。背後にはサウジスカルの皇帝まで控えているしな?


「エルハド様はそれで良いのですか? 我が国には散々迷惑を被ったのでは?」


「・・・・それはな。だが、お互い様だからな? それでも、デズロを此方に連れて来たことが間違っていたとは思わない。後悔は何度もしたがな?お前コイツがどれだけ手がかかるか知っているか? お前達の些細な嫌がらせより余程タチ悪いからな?」


それは、愚痴ですか?噂では聞いていますが・・・やはりデズロ様の相手は大変なんですね?

私の国にも今、正に手がかかる輩が返って来るので貴方の気持ちは痛いほどわかりますが?


「君は散々好き勝手やって来た奴等の尻拭いを一人で始めなければならないからね?もし、サウジスカルと和平交渉して承諾する気があるのなら、君があの国を立て直す手伝いをこっそりしてあげる。コレを君に」


渡されたのは小さなコンパクト式の手鏡だった。


「誰にも気付かれては駄目だよ?その鏡は君にしか開けられない様に細工してある。僕と話をしたくなったら開くといいよ? 僕の手が空いていたら君の相手をしてあげる」


「・・・・・・え?」


「こちらからは開けない。あくまで君が必要になったらね? 別に世間話しするだけでも構わないよ?」


何故こんな事をするのか分からなかった。

デズロ様が、何故私を気にかけたのか。

二人は少し笑うと戸惑う私にこう言った。


「ずっとティファを守ってくれていたよね? 君の出来る範囲でみたいだけど。理由はどうあれ五体満足で僕の娘は僕の所に辿りついた。僕はね、ティファが逃げて来る所を上から全部見ていたんだよ?」


・・・・・・あ。


「君。情報操作してティファ達が逃げやすい様、手助けしてたでしょ? 他の追っ手が反対側に走って行ったからおかしいとは思ってたんだよ? あの宮廷の中で人を救う事がどれだけ大変か僕は身に染みて知ってる。そこから逃げて来た人間だから」


「・・・では、結局私は、彼女を助けたのではなく彼女に助けられる訳ですね?」


「ふふふ。さぁ? それは今後の君の成果次第じゃない? この特権を活かすも殺すも、君次第だからね?」






彼と話したのはアースポントの正しい使用方法の確認の時

そして、この宮廷に必要ない人物の手掛かりを知る為。


そして、今回は・・・・。



「はぁ。あの人・・・苦手なんだが」


やはり聞かねばならないだろう。

彼とメリルの関係を。


そして、この報告が更に大きな騒ぎをもたらす事になるんだが・・・それはまだ、もう少し先の話だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ