メリルは薬室を掃除したい
ッスッスうざい!(byメリル)
「うん!広さ的にも場所的にもここが一番いい!宮廷からも適度に離れてるし、ここに決めるわ!」
ここの宮廷、ここまで案内されて気づいたけど使われてない部屋多いよね?
こんなに部屋が空くなら、部屋数少なくすれば良かったのに。勿体ない。
「へぇ?こんな所に調剤室がある屋敷があったんッスね?でも、ここだと宮廷からも通うの面倒じゃねッスか?」
「通わないわよ。私ここにずっといるもん。わざわざあっちになんて帰らない。面倒くさい」
「え?でも、身の回りの世話とかどうするんッスか?」
「そんなの必要ないもの。身の回りの事ぐらい自分で出来る。貴方も私の事ほっといていいから。私、殆どこもりきりで薬作るから暇なだけよ?」
何よ?その微妙な顏。なんか腹立つわぁ。良からぬ事考えてたっぽいわぁ。
「うーん。本当はすぐ調合に入りたいけど、まず部屋を片付けないと・・・。庭もついてるから畑も作らないといけないし・・・・ブツブツ」
「はは!流石に畑は1日じゃ無理じゃないッスかね?中掃除するのに使用人呼びましょう」
「よし!取り敢えず全部洗い流そう!ちょっとアンタどいててくれる?」
お父さんには絶対普段生活魔法は使うなって言われてたけど、この広さを片付けてたら一日中かかっちゃうもんね?
パパッといっちゃおう!
「はい!洗浄するよ!ウオッシュ!!」
ビュンッ
ザザァーーーー!!!ビシャン!
「い!?」
「ハイハイじゃあ洗い流したのを乾かすよ?ドライ!!」
ガタガタカタガタガタ。
「お、おおおおおお?ええええ?」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!ビュン。
「うんうん!壁も床も綺麗になったね?じゃ取り敢えず最低限の家具と道具を・・・・・」
ん?何よ?この人さっきから邪魔だなぁ。
用がないならそこに立たないでよ。
そこ出入り口なんだけど?
「メリル様って魔法でそんな事も出来んッスか?」
「え? 今の? うん? なんで?」
「な、なんでって・・・普通ああいう生活魔法は道具を介してじゃないと使えないって、俺聞いてるんッスけど?」
「みたいね? でも、そんなの面倒じゃない? 物を仲介しない方が早いし私は操りやすいもん。何か問題が?」
「・・・・・いえ。ないッス」
「あ、じゃあさっき運んで来てもらった荷物入れるの手伝ってよ!魔法でも運べるけど万が一道具が割れたら嫌だから慎重にね?」
この人急に大人しくなったけど何? まぁいいか? 黙って荷物運んでるし、ほっとこほっとこ!
この部屋の中にある階段の下が地下室ね。
そこも後で洗い流さないと。
「メリル様って普段どんな薬を作るんッスか?傷薬とか?風邪薬っすか?」
「そうだよ。でも、傷薬はともかく風邪薬は毎年病状が違うでしょ?だから毎回それを調べて、私は新しい新薬を開発する。あと、個人の体質に合った薬なんかも作ったりしてるよ?とにかく薬と呼ばれる物は何でも作る」
「・・・・・あのー・・・それ、何気に凄くないッスか?」
「まぁ私天才だからね?それくらいは当たり前でしょ?」
「・・・・・・・え?天才ッスか?自分で言う?」
何だよ、その不審そうな顔はぁ?
「昔ここで働いてた天才薬師がいたでしょ?聞いたことない?」
「そんな話聞いた事ありますけど・・・俺達産まれる前の話ですよね?」
「でしょうよ。だって、その人私のお母さんだもん」
だーかーらー?なんなの? その顔。
信じてないでしょ?
「宮廷薬室長マリオーネって呼ばれてたみたいだけど。知らないの?」
「ーーーーーーーーッな!」
何故絶句?お母さん、もしかして何かやらかしたのかな?
宮廷には近寄らないって言ってたもんね?あり得る。
「天才薬師マリオーネ様の娘ぇ!?メリル様が!?」
「そうだよ。てっきり知ってると思ってた。私の村の事調べてたから」
「た、大変ッス・・・これは、大問題ッス・・・」
もう、これじゃ部屋の片付けがいつまでたっても終わらない。
無視しよ!
「メ、メリル様!俺がやります!俺がやるんで貴女休んで下さいッス!」
あとこの人。ッスッス煩い。
黙れッスッス!!
「なんでよ!別に自分の事は自分でやれるわよ!なんなの一体さっきから!!もう!」
これだから人と関わるの嫌なのよ!とにかく面倒い!
空気読むとか面倒い!!
アアーー!!早く村に帰りたい!!
「やっぱ今からでも村に帰ろうかなぁ。・・・・うざい」
「か・ん・べ・んして下さいッス。俺の首飛んじゃうッス」
え?そうなの?それは流石に可哀想ね。
じゃあこの人がいない時に逃げ出そ。そうしよう。
「・・・分かりました。じゃあ、もうここに全員呼びますよ。身の回りのお世話は最低限させて頂くッス。その方がメリル様だって薬の調合に専念出来るんじゃないッスか?」
確かにそうだけど、それだと逃げ出す隙が失くなるじゃない!嫌だ!
「・・・・私、普段あまり人と接する生活送ってなかったから、人に沢山出入りされるのはストレスなんだけど?」
「じゃあ最低限に抑えますので・・・・」
チッ!しょうがないなぁ。
まぁ取り敢えず薬草が扱えるだけまだマシか・・・。
「分かった。でも、嫌だったら出てって貰うから」
「あざッス!」
うざい!!ッスッスうざい!!




