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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
後日談&番外エピソード
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メリルとリディ

「もう体の具合はいいのか? 」


「大丈夫。最近はしたくもない運動を強要されて体を動かせるぐらいには復活したよ。私よりリディはどうなの?腕、違和感なくなった?」


私が目覚めて暫くは、私の体が思うように動かなかったり宮廷内がバタバタしていてリディと話す時間もとれなかったから、実は今日とても久し振りにこうやって二人で話すよね。実はかなり気まずい。


「ああ、大分な。すまなかったな、無茶をさせて」


「お互いね? もう、ああいうのは止めよう。命がいくらあっても足りないからさ?」


「確かにな。だが・・・・」


「クララとの挙式、延期にしたんだってね? もう、落ち着いて来たし、そろそろ考えたら?」


黙らないでよ。

あと、そんな問うような目で見つめないで欲しい。


「・・・・・・リディのお妃様にはならないよ? 分かってるでしょ?」


「ああ。」


「本音が聞きたい?」


リディって真面目だよね。

口にしたから責任を取らないといけないとでも思った?

そんなつもり、私はないよ。


「私はリディの事が好きになった。出会って直ぐに。今でも、その気持ちは残ってる。でもね、私は、リディの全てを奪ってまで添い遂げたいとは思わない」


「・・・・・だな。私もだ」


私達はある種、似た者同士だったのかもね?


優秀な兄弟の陰で静かに生きて来た。

どう動けば自分達に利があるか、考えながら生きて来た。

感情ではなく、論理的に物事を進めて来た。


「それにね。私、リディ以外にも大切な人が沢山出来た。実はそれだけで結構満足してるんだ。今は、誰か一人を独占したいとは思わない。その人達が幸せになるのなら、私とでなくても構わないの」


「そうか」


「でも、私はリディの味方だよ。ずっとここで、リディを見守ってる。自分の意思でここにいる。私の居場所を、リディ・・・貴方がくれたからね」


「私も、本音を言っていいか?」


いいよ。

必要なくなったから出て行けって言うのは、なしだよ。

そんな事言われても居座り続けてやるけどね?


「私はメリルが分からなかった。最初メリルと接した時、お前は頼めば私に協力してくれるのだと思い込んでいた。そしてお前に断られ、やはりメリルもかと思った。お前もここに居たくないのだと。だが、それでもお前を手放す訳にはいかなかったからな。約束をする事でお前を安心させようと思ったんだ」


そうだね。

リディはいつも、アースポントにだけ触れてくれればそれでいいと言った。私の負担を考えて。


最初はそれが気楽だった。


でも、それが不安に変わったのは、きっと私の気持ちが変化したから。リディが好きなだけなら、私はここから逃げ出すだけで良かった。


私は、皆と離れるのが嫌になったんだよね。


「お前の気持ちに薄々気付いた時も、お前が何も言わぬのなら知らない振りを貫くつもりだった。だが、私はそもそも自分の気持ちを考えた事はなかった」


「リディ?」


いや、あのさ?

こんな所、誰かに見られたら面倒だから、やめて欲しい。

人に見られる場所で抱きしめたりしないでよ。


「私もお前も、難儀だな。・・・私は、この国を立て直すと決めた時から、それ以外の物を望まないと決めている」


「うん。知ってる」


「だから、私はお前を望まない。ただ、勝手にお前を想っている」


「・・・・・うん」


本当は、そんな想い捨てて欲しいと言いたい所だけどね。

私にはそんな勝手な事は言えないや。

ごめんねリディ。最後まで隠し通せなくて。


「私もそうする。いつか、この気持ちが形を変えるまで」


まさか、リディが私に同じ様な気持ちを持つなんて思わなかった。


人間、命の危機に直面するとうっかり本心が出るもんだね? 私も、リディを助けるのに必死だったからなぁ。


あと、リディ・・・いい加減離して。


「リディ・・・あの、そろそろ離れないと」


見られてる。

物凄く強い視線をさっきから感じてる。


リディ? あんたワザと? ワザとなの?


「ならば、部屋にはちゃんと鍵を掛けて寝るようにしろ? お前、テットと同じ屋敷で暮らしているのに、少々不用心ではないのか?」


これは誤解をしているね?

だから、テットはそんなんじゃないよ。

そもそもアイツは私の騎士でしょ?


そんな奴が襲って来たら本末転倒では?


「お前が目覚めない間に聞いたのだが。お前、テットにお前の為に死ぬと言われたのだろう?」


ん? まぁ、随分前に言われたね?

それが何?


それって主人に使える騎士の誓いみたいなものでしょ?


「やはりな・・・お前、意味が分かってなかったのだな? それは、愛の告白だ」


あん?


いやいや? だってテットが私の騎士になるって言ったのは私がここに来てまだ間もない頃だよ? そんな訳ないでしょ?


「テットもその時は自覚してなかったようだがな。 本気のテットに簡単に落とされないでくれ」


何よそれ、リディ勝手だな! ん? 笑ってる?


「これが私の本音だ。聞かない方が良かっただろう?」


・・・そうでもないよ。

リディは滅多に本音を言えない立場だもんね?


でも、この嫌がらせは無いと思う。


「・・・聞いてるのね? 最近のテットの行動」


「当たり前だ。私を誰だと思っている?」


テニア辺りがラフィネラにチクったな。

もしかして、心配してくれたのかな?

でも、これは逆効果ね?


この後の事を考えるだけで、私死ぬほど面倒なんだけど?


「余り度を越すようなら私の側室にしてやる。テットにもそう言えばいい」


「リディ。性格悪くなったんじゃない?」


「元々だ。問題ない」


あ、そうなの? それは知らなかったわ。

理想の王子様なんて簡単には見つからないものだね?


どっかにいないかなぁ?

超絶イケメンで私の我儘なんでも聞いてくれる面倒な物を抱えてない理想の主夫! 絶賛募集中である。

答え合わせをする二人

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