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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
後日談&番外エピソード
181/194

*変幻*

本編直後のエピソード

宮廷に到着する直前、その衝撃波は起こった。


[!父様何か、来る! しっかり掴まれ!!]


「ああ!」


精霊が空に舞い上がり私達の前方にいるシャミ達目掛けて飛び込むのが見えた。


恐らく、あの衝撃波から守るつもりなのだと思ったのだが

次の瞬間、シャミの上にいたリディの腕から大きな紫色の羽が膨らんで開いた。

どうやら、精霊の目的は違ったらしい。

私の時と同じなのだと思う。



「あ、れは。メリルなのか!? あの子が何故変幻を?」


それを目にした時、私は自分やメリルが本当は元々そうだったのだと気が付いた。


だから、私達は()()たのだ。


[すまない。シャミではメリルを支えきれない。降ろすぞ?]


「構わない。行って来なさい」


精霊付きはこの世に誕生する時、普通は獣の姿で母親から取り出される。だが、私もメリルも普通に生まれた。


憶測だが私達が最初からそう生まれなかったのは、前の精霊の加護がこの地から離れ妖精という形になった事が原因なのかも知れない。


それとも、私達を生かす為に妖精達が私達を隠したのか。


私は直ぐにベルシャナに気付かれてしまったがな。


「メリル! 兄様!」


[このまま地上に降ろす。シャミ、よく落とさなかったな? 偉いぞ]


[お、俺、頑張った]


黒い霧が晴れた。

恐らく、敵は倒したのだろう。


それよりも、さっきからメリルから全く反応がない。


「・・・はぁ。こちらの姿は重くて敵わんな。おい、メリル! 大丈夫か!」


心臓は動いているが、意識がなくグッタリしている。

これは、マズイか?


「メリル様! いけない・・・早く人の姿に戻さないと。ただでさえ魔力が枯渇して体が弱ってるのに・・・」


[!下にマリオーネ達見つけた! 俺迎えに行って来る]




それから後、メリルは急いで戻って来たマリオーネとクリオルに処置され、なんとか人の体に戻ったが、目を覚まさなかった。


しかも、テットもリディも中途半端な秘薬を使った所為でその後動けなくなり、三人を治療する為、宮廷内は慌ただしい日々が暫く続いたのだ。


その間リディの仕事は私と父で請負、宮廷内の所々に作られた大迷惑な術の処理にも苦労した。


デズロとラシェンが居て本当に助かったな?

これ、私達だけではどうにもならなかったぞ?


「お母さんご飯です! 手を止めて下さい、今直ぐに」


「うるさいな! 後もう少し処置したら行く」


「駄目です。3時間前にも同じ事言ってました。私はお母さんでも容赦しません。今直ぐ手を止めてご飯を食べ少し眠って貰います。意義は認めません」


・・・・ティファ。

お前強いな。強くなったと言うべきなのか。


マリオーネにそんな事言えるのはお前がテゼールくらいだな? そして、物理的に連れていけるのもな?


「いや! 離しなさいティファ! 後もう少しで目が覚めるかも知れない」


「目は覚めます。必ず。その時にそんな顔見せるつもりなんですか? 10歳ぐらい年とりましたか? お母さん」


「え!? 嘘! 私の永遠の20歳が!!」


ティファ、お前どうでもいいが帰らなくて大丈夫なのか?

日に日にサウジスカルから届く手紙の量が増えているぞ?


お前がさっさと帰らないから在らぬ疑いを私にかけられている。やめて欲しい。ティファへの想いはもう終わせているからな。


まぁ。全く何も感じないかと言われれば、そうではないが。


「マリオーネ様。行って来て下さい。その間僕がメリル様についています。何かあれば直ぐ知らせますので」


「・・・・・分かった。分かったわよ・・・」


リディもテットも治療して直ぐ動けるようになったが、メリルはまだ、目を覚まさない。


魔力も戻り体も治療している筈だが、意識が戻らないのだ。しかも原因が分からない、その事がマリオーネを焦らせている原因だ。


「お疲れでしょう? テゼール様も原因を調べる為こもりきりですし。ちゃんとお食事と睡眠はお取り下さい。皆順番でメリル様についておりますので」


「・・・・・うううっ・・・てぃふぁ・・」


「はい? なんです?」


マリオーネとテゼールはあの日、二人でラシェンのいた村へ調査に行っていた。


メリルの危機に側に居られなかった事をマリオーネはずっと悔いている。

しかし、側に居たとしても今の状況が変わっていたかと問われれば、そうとも思えない。


「このまま目が覚めなかったらどうしよう・・こんなに調べてるのに全く原因が分からないなんて・・・」


「お母さんは何でもかんでも謎を解明しないと気がすまない人ですよね? でも世の中には解明出来ないものもあると思います! 人ではない者もこの世にいますので。私は身近にそんな方達がいるので、よく知ってます。メリルは今そんな状態では? なら、信じて待ってみるのも手です!」


それにしても、メリルの変幻したあの姿。

父曰く、あの姿は始祖の始まりの姿によく似ているらしい。


父は始祖を体に入れた時、彼の記憶を覗いている。


メリルが目覚めたらちゃんと話しを聞かねばな?


ん? 私はメリルを心配していないのか、だと?


すまんな。

私もティファと同じ意見だ。

アイツはそう簡単には死なない。


見た目以上に逞しい女だからな? メリルの奴。

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