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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第3章 翔ける想い
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翔ける想い

眩い光の中に包まれてマチェスタとフェルナンディが消えていく。


それと同時に創り出されたあの子供の体は見る見るうちに姿を肥大させてる。


何あれ?


もう、人とは呼べない代物だね?


そんな大事なこの場面で一言いいかな?


動けない。


「メリル様! 大丈夫ッスか? 息出来てます?」


「・・・・うん。・・なん、とか」


「無理するからだ。しかし、参ったな。あんな物私達にどうしろと?」


あの野郎最後の最後で大迷惑な置き土産残していったね?


しかも、私の魔力だから、下手するとカスバール全てが吹っ飛んじゃうかも?


「これはこれは。一体何がどうなってこうなったのかのぅ?」


「あれ?お爺ちゃん来たの?」


「あそこに居てもここに居ても対して変わらんじゃろ? 一瞬で死ぬヤツじゃろ?」


軽いな〜老師軽い!

そうだよ。


爆発したら終わるヤツだよ!


「おい、デズロ・・・光の雨が止んで、一箇所に集まりだしたぞ? あれは、精霊の力では?」


シャミ? なんで変幻? え? 皆?


「メリル様。リディ様と少しばかりお休み下さいませ。後は私達がなんとか致しますわ。クリオル、メリル様をお二人をお願い致します」


「はい!」


「後で休み、下さいッス。流石に俺、今回はダメージデカイッスから」


何言ってんの?

やだよ。

私もここにいるよ。


「何ですか? 変な顔ですね? まさかメリル、私が負けるとでも思ってるんですか?」


思ってない、思ってないけどさ?

でも、凄い危険でしょ?

私、このままお別れなんて嫌なんだけど?


[ギャァァァアアアアアアアン!!]


なんて叫び声出すのアイツ!

頭が割れる! 皆!


「みんな・・・いかないで・・・」


「大丈夫、メリル様。絶対に無事に帰ります。ご安心を」


「リディ様。メリルを頼みます。あと、抜け駆け、しないで下さいね?」


オイ!

コイツこんな時まで何言ってんの?ちょっと?


「メリルが次に恋する相手は俺の予定なので」


「それは、あくまで予定だな?」


[メリルの恋人は俺! 俺だけだよ!]


ごめん。

私もう・・・どっと疲れたから寝ていい?

少し、現実逃避したい。そしてお姉ちゃんの目が冷たい。


[行くよメリル!!]


[・・・・・ダメダヨコセ!!]


え? なによ? アイツの体からいくつも手が生えて来てるんだけど? 気持ち悪!!


「エルハド!!」


「分かっている!」


エルハド様お見事!

綺麗にニョキニョキ生えた手切り落としたね!

流石!エルハド様がもっと若い時に出会いたかった!

私エルハド様なら文句ないよ!側室になる!


「なんで今更メリルを追いかけるんだよ!」


「自分の中の魔力がメリルの物だからだろうね? メリル本体も取り込みたいんじゃない?」


冗談じゃないわよ本当に!!

私はお手軽補充員か!!あ、そうだったね?

そういえば最初からそんな扱い受けてたっけ?


あれ?

なんだか急に空気が重くなって来た。


「これは、デズロ様と、ラシェン様の魔法詠唱だ。重ねるつもりか?」


しかも、これは多分壊す方じゃないよね?

とても強固な防壁を作ろうとしてる? なんで?


「そうか!! 奴を閉じ込めたままトドメを刺すつもりなのでは? このまま攻撃を続けて魔力が暴発すれば大変な事になります! だから、こんなに複雑な詠唱を唱えているんですよ!」


そうか。

流石伯父さん。


お姉ちゃんも、エルハド様も攻撃のタイミングを待ってる。テットも・・・テニア・・も。


「メリル?」


あ、れ?


おかしい、なぁ?


わた、し、クリオルに魔力を、分けてもらって、少しは、回復した、はず、なんだけど?


もしかして、体、限界だった、かな?



でも、今なら私、死んでもいいかも。

きっと皆は大丈夫だよ。

最強の魔術師も最強の騎士もいるもんね?






楽しかったなぁ。


うん! とても楽しかった!


毎日騒がしくて、最初は冗談じゃないとか思ったけどさ。


私、結構騒がしい方が好きだったみたい。


テットと馬鹿な事言ってふざけ合うのも楽しかったし

私だけの騎士になるって言われてちょっと嬉しかった。


テニアと女の子の趣味の話をするのもノリノリだったし

屋敷に帰ってテニアが居てくれると、とても安心できた。


シャミは私を骨抜きにする可愛らしさだった。

手放し難い程可愛くて、愛らしいよね。


リディとは、最初の時以外はあまり一緒にいられなかったけど。だからかなぁ?

リディと過ごした時間は少し特別だったよ?


私、ここに来て良かった。

まさか私に、こんな大切な人達が出来るなんて思わなかったもん。ずっと、家族以外の特別は要らないって思ってたけど、逆だったんだね?


私は多分誰かを、思いっきり愛したかったんだと思う。

無条件で私を愛してくれる人を欲してんだと思う。




でも、私はここで全てを手に入れた。

私は、皆を思いっきり愛して皆に私は愛された。



ねぇ?マチェスタ。

だから私は大丈夫。



もう、寂しくない。

もう、一人じゃない。



だから、安心してお休み。


もし、次生まれ変わるとしたら今度は何になろうかな。


人は疲れるからもういいや。


そういえばフェルナンディは鳥に変化出来たよね?


始祖も最初は鮮やかな紫色の羽を持つ鳥だったらしいよ?


なんで知っているのかって?


あれ? 何でだろう?


何で私、そんな事知ってるのかな?


誰にもそんな事、教えて貰ってないのにね?



[今度はちゃんとした形でこの世界に生まれておいで]



何だろう。

とても胸が暖かい。



私はその時、確かに見た。


彼が空に飛び立つ姿を。


今度は、鳥の姿ではなく・・・・。

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