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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第3章 翔ける想い
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メリルは気付かない

なんで私ブリッツォとこんな所で遊んでるんだっけ?

あれぇ? おっかしいなぁ。そろそろ帰らないとマズイわよね? メモ一枚残して来たきりだし。・・・・でも。


「へぇ? あれ、あの火花みたいなのどうやって出したのかな? 魔法?」


「いいえ、あれは火薬ね。火を付けると発火する砂を使ったのね。この国の一番西の端に採れる場所があるみたいよ?」


実は私、ずっと隠れながら暮らして来たから意外と知らない事多かったりするのよね。


情報源が限られていたから、親が教えてくれた事と移動した場所で得た情報しか知らない。


宮廷に来てから色々な書物や話を聞いて前よりはこの国の知識は増えたけど、それでも、薬や治療技術以外の事は全然なんだよね〜。


「へぇ。綺麗。魔法でもああいうの作れるかな?」


「そうねぇ。実は前サウジスカルの上空に大きな火の花が打ち上がったらしいのだけれど、あれは魔法らしいわよ? メリル達は精霊の事で手一杯だったから気が付かなかったみたいだけれど」


「え? そうなの? それってもしかして、伯父さんかな?」


「可能性は高いわね。今度聞いてみたら?」


そうだね。

カスバールも大きなお祭りとか全然出来てなかったもんね? 今度リディに提案してみようかなぁ。


それでその時に大きな花が空に打ち上がったら盛り上がりそう。うん! 楽しそう! なんだかワクワクして来た!


「大道芸の一座が訪れるなんて、少しはまともになった証拠かしらね。本当に、メリルが来てから、あっという間に変わったわ。私達、あそこで一体何をしていたのかしらね?」


「別に、私だけじゃないと思うけど。皆の意識の問題じゃないの? 確かに、アースポントの問題はあったけどさ」


なんで笑うのよ。なんか今日のブリッツォはいつもより扱いずらいわ。なんか、大人っぽい。


ん? あ、一応大人か? ごめん忘れてた。


「メリルって、自信満々に見えてそうでもないわよね。我儘に振舞っている様に見せてるのに、実際はそんな事ないし。あの宮廷の中で一番まともな考えを持っていたのは貴女なのよ」


「何急に。気持ち悪っ!」


「口は悪いけどね! 貴女もう少し控えなさいよ! 折角可愛いんだから!」


「可愛くたって得な事は何もないわよ。私は、男に生まれたかった」


「そうなの? 私は女の子に生まれたかったわ。それで男を次々に誘惑して貢がせてやるのよ。私が女だったら、そこそこいけると思わない?」


えー? それはないよ。

絶対そんな事しないと思う。

ブリッツォ自分の事分かってないのかな?


「そんなの、ブリッツォらしくない。ブリッツォなら女に生まれても今と同じ様に無駄に高いプライド引っさげて講義してそう。女だからって馬鹿にするなとか言いそう」


「あ。それもそうね? って私もアンタと同類って事? ちょっとメリル?」


「そうだよ。研究に夢中になってる時の顔見せてあげたいわ。他人から見たら私達そう変わらないと思うよ?似た者同士だよ私達」


ブリッツォが薬学研究者だったて聞いて納得したんだよね。だってブリッツォってお医者さんらしくないもん。


私もそうなんだけどさ?


「そう? じゃあ似た者同士付き合わない? シャミは女の子だったんでしょう? 私と結婚してシャミを私達の子供にすればいいじゃない。貴女の求めてるものってそういう事でしょ?」


唐突だね? 唐突の提案ご苦労。だが、却下する!


「あのねぇ。シャミは私を親じゃなくて伴侶にしたいの。だから、その話は受け入れられない」


「って事はシャミが納得すればいいの?」


「いや、そうじゃなくてさ? なんで私? ブリッツォなら他にもいくらでも相手はいるでしょ?」


「なんでって。貴女が一番好きだからよ」


ブリッツォ? さっきから何を言ってるの?

その、一番好きってどういう事なの?

分かりやすく説明を求めたい。


「分からないの? 今まで出会った女性の中で一番貴女に惹かれたって事よ? 貴女が嫌じゃないなら貴女と恋人になりたい」


「・・・・・・・ブリッツォ? 頭大丈夫?」


「失礼な子ね! 大丈夫よ! 真面目に話してるんだから真面目に聞きなさいよ!」


「いや、ふざけてないけど。えー? 困る」


そもそも私、そんな風にブリッツォの事見てないし。

まぁ、シャミが納得の上の提案であれば悪くはない条件だけど、それはあくまで利害が一致する、という点に関してだけだしなぁ。


「貴女が私に恋愛感情なんて抱いていない事は分かってるわよ。でも、貴女勘違いしてるわよ?」


「え? 何が?」


「貴女、恋が分からない、恋なんてしないって言ってるけど、本当はとっくに恋、してるわよね? ただ、成就させるつもりがないだけでしょう?」


え? そうなの? 全然わからないんだけど?

一体誰の事言ってるの?


「それでも私は構わないわ。メリル、急がなくてもいいから考えてくれない? 貴女がちゃんと出した答えなら私はどんな答えでも受け入れる」


いやいや、そんな事急に言われましても、コレどうしたらいいの? いつもなら笑い飛ばして速攻で逃げ出す案件だよね? でも、なんというか。そんな雰囲気じゃ、ないね?


「急いで答えを出さなくていいわ。別に今みたいに偶に会って薬の話をし合ったり遊んだりするだけでも満足ですもの。でも、この先シャミ以外に特別な相手を作らないつもりなら、考えておいて。損は無いはずよ?」


いや、そうなんだけど。それってブリッツォに対してかなり失礼な気がするんだけど? あ、あと、さ?


「何、勝手に連れ出してんッスか? お遊びも大概にして欲しいっすね?」


な、なんかめちゃくちゃ怒気を纏った人が来たわね?

あ、やっぱメモ一枚じゃ駄目だった?


後、二人共なんで睨み合ってるの?

やっぱり黙って遊びになんて来なきゃよかった。

面倒な予感しかしないんですけどー!?

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