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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第3章 翔ける想い
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ブリッツォはメリルと楽しみたい

疲れたわ。

最近調合室に篭りきりで、私とても息苦しい。


「・・・たまには、羽目を外したいわね?」


街に降りて綺麗な女と酒でも飲もうかしら?

最近通っていた店にも顔を出していないし、そうしましょ!


「やっほー! あれ? 誰もいない?」


この声は・・・メリル! あら? どうしたのかしら?

私の研究をゴッソリサウジスカルに持っていかれて以来ね?あの二人 鬼だわ本当。


「今日はお休みよ? クリオルに会いに来たのかしら?」


最初は何故メリルが、クリオルごとき目を掛けるのかと思っていたけれど、今となってはあの子の方が私よりも医療者として優秀なのよ。あっと言う間に追い抜かれてしまったわ。気に入らないけれど、仕方ないわね。


「いや、ブリッツォでもいいけど。カスバール全土のおおよその地図が出来上がったから渡しておこうと思って。前みたいに医療団を派遣するのに役立つしね」


「あら? それは助かるわぁ。ところで、テットはどうしたのかしら?」


「 テットはちょっと仕事を頼んでる」


ちょっとメリル? 貴女また一人で行動してるわね?

一度襲われているのに何故懲りないのかしら?


「テニアは手が空いていなかったの?チェシャは?」


「何よ。何が言いたいの?」


「アンタ自分の立場をもっと自覚しなさいよ。他国からカスバールの国宝と呼ばれる魔術師なのよ? いつ狙われるか分からないんだから一人で行動するのおよしなさい」


「だからね。私とても、強いんだけど?」


不服そうな顔だわね?

全く。これでは守っている方は気が気ではないわね。

テットの大変さがよくわかるわ。


「今から何処へ? リディ様の所?」


「ううん。リディはクララと一緒にいるみたいだし、アトレイア様とチェシャはディアナと大事な話をしてる。私はこのまま屋敷に戻るよ」


「そう。じゃあ私が送っていくわ。それとも一緒に城下に降りる? たまには息抜きに外に出ようと思っていたのよ」


「へぇ? いいよ。ついでにタリッズさんのとこ寄ろうかなぁ」


あら? これはデートかしら? メリルとお出かけするなんて初めてね? 誘っておいてなんだけど、ドキドキしてきたわ!


「じゃあ折角だし、おめかししていこうかしらね?」


「え? まさかブリッツォ女装するの?」


「なんでよ! 普通に出かけ着に着替えるだけよ! アンタも可愛くして来なさい!」


何故そんな困惑顔? なんなのアンタ。言っておくけど私は化粧なんてしないわよ?


「あのさ・・・このままじゃ駄目なの? 私、お洒落なんて出来ないよ? そもそも可愛い服持ってない」


「え? 貴女、女の子よね? 報酬金だってちゃんと貰ってるわよね? なんでお洒落着一着もないのよ」


「必要ないから。お洒落をする意味がわからない」


死んだ女子力!!

貴女薬作る以外本当にどうでもいいのね!!そこまで徹底してると逆に清々しい!! どうしてくれようか!そうね?


「じゃあこのままでいいわ。いい事思いついた」


「え? 嫌な予感しかしないんだけど。やっぱパスしていい?」


駄目よ。

一度了承したなら最後まで付き合いなさい?




「・・・・・・・ねぇ。なんなのコレ」


「きゃー! 何この子お人形さんみたい!!可愛い!」


「なんであんなボロ切れ着てたの? 肌も白くてモチモチ。目もパッチリしてて、髪だって整えたらこんなに綺麗じゃない〜! 持って帰りたい!!」


「ちょっと? メリルが固まってるから遊ぶのはやめてくれない? あと、もう少し動きやすい物にして。この子一般人なのよ」


見事に着せ替え人形にされてるわね?

ここ、私の行き着けの衣料品店なのだけど、ここの店主可愛いものが大好きなのよね。と、いうかメリル思った以上に素材が良いわね。貴女、こんな顔してたの?


「き、気持ち悪い。ブリッツォ、こんなの私似合わない」


「あら? 似合ってるけど? まぁ街を歩くだけなのに、これだと目立つわね。もう少し目立たない物にしましょ? 」


「じゃあコレなんかどう? 少し地味だけどこの子に似合うと思うわ」


「良いわね。メリル、着てみて」


「えーーー!?もういいってば!」


まぁまぁこれが最後だから。

さて、私も着替えましょうか。


「どう? コレなら動き易いし、程よく可愛らしさ出てると思うけれど?」


「うーん。服は可愛いけど・・・ねぇ、ブリッツォ・・・」


「似合ってるわよ。とても可愛い」


「・・・何、その格好。普通の男性みたい・・・」


いや、私最初から普通の男性ですけれど?

貴女私の事、普通の男性じゃないと思っていたのかしら?


「なんでいつもその格好で居ないの?」


「この格好だと、女が私を放っておいてくれないのよ。ほら、私もナシェス様ほどでは無くても見目麗しい存在でしょう?」


「うん。頭冷えた。ブリッツォはブリッツォだった!」


だから、貴女一体私をなんだと?

きっと碌な事考えてなかったわね?


「この服は初めて出かける記念に私からメリルにプレゼントするわ。行くわよ」


「え! ちょ、ちょっとブリッツォ?」


「ふふ。微笑ましいですねぇ? ブリッツォ様また是非お越し下さい」


こんな貴重な時間いつまた訪れるか分からないから私は遠慮しないわよ?


「ブリッツォ? ちょっと早いよ! 手を引っ張らないで!」


「こうしてると普通の女の子ねぇ。メリル! 何処に行きたい?」


きっと普段は薬に必要な備品とか色気のない場所ばかり行ってるんでしょ? もっと面白いところに連れて行ってあげるわ。


「え? ど、何処って言われても。この格好で?」


「そういえば広場に大道芸の一座が来てるらしいわ、行って見る?」


ほら、興味があるって顔してる。

この国の人間は皆、道楽に飢えているものね?

貴女もたまには、普通の女の子に戻りなさいよ。


働き過ぎなのよメリルは!

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