メリルは休日を満喫する
「わぁ! 商店がいっぱいある・・・」
「こっちには初めて来ましたからね。あれ、見たこと無い果物ッスね? 食べてみます?」
サウジスカルに来てキルトさんを治療してから、なんだかんだで忙しかったよね私。
意地になってお姉ちゃんに張り付いてたから、余り外出てなかったもんね? ごめんテット。少し冷静になったよ私。
なんか、お姉ちゃんハイに陥ってたんだよね。
お姉ちゃんハイって、なんだよそれ。
「はいメリル。そのまま食べれるみたいだぞ?」
「・・・ありがと。テットは何見たい? 今日はテットに付き合ってあげる」
「いや、俺実は空いた時間に結構街に降りてたんだよな。正直ティファさんが側に居れば俺不要だしな?」
確かに此処では私の護衛なんて不要かもね? でも・・・。
容赦ない蹴りをお見舞いする!
「いで! 何だよいきなり!」
「職務放棄かコラ! カスバールの騎士の実力はそんなもんか!」
「・・・・俺、ちょっと自信無くなったかも。俺の実力で本当にメリルを守りきれるのかってさ」
だから〜! お姉ちゃんと比べたら駄目だってば!
「ティファさんだけじゃなくて。メリルは分からないかも知れないけど、此処の騎士は相当鍛錬されている。冗談抜きで強い」
そうだね。
素人の私でもあのふざけた連携プレイは見事だと思ったよ? そもそもハイトさんも普通じゃないもん。その人が率いてる騎士団だもんね? 普通な訳ないよね?
「カスバールは魔術師は多いけど、兵士は少ないよね。魔力保持者がサウジスカルに比べて圧倒的に多いから。この国つい最近まで魔法を使った攻撃は禁止されてたみたいだよ?」
「そうなのか? またなんで?」
「多分、大地との相互バランスが取り辛くて相当使い慣れてないと誤爆したり魔力暴走を起こすからじゃない? カスバールはそもそも魔力が最初から少ない状態だったから変化は起きなかったけど、こちらは大地の魔力が増えたり減ったりを繰り返してたからね?」
「あー! 成る程。それで?」
「魔法が使えないなら、剣を扱うしかないもの。そりゃ強くなるよ」
それに、テットは十分強いよ。
多分、今あの国で一番強いんじゃない?
ただ日々ふざけた態度なだけで。
「あれ? アンタら確かカスバールから来たっていう?」
「こんにちは。はい。お姉ちゃんに会いに来てるんです」
「やっぱり! ティファちゃんの妹さんだ? いやぁ可愛いね? お姉ちゃんは美人なのにアンタは可愛いねぇ?」
まぁ本当の姉妹じゃないから似てなくて当然だけど。
私はお姉ちゃんみたいにスラッとした美人になりたかったわ。そう言ったら何故かお姉ちゃんに眉間をグリグリされたけど。理不尽!!
「そうかい。ちゃんと家族と会えたんだねぇ。良かった良かった」
「いつも姉がお世話になってます」
「あはは! お世話になってるのはこっちさな! あの子のお陰で儲けさせて貰っているし、騎士の方達とも交流が増えて、変な誤解も無くなったしな?」
「変な誤解?」
「まぁ、騎士さんってのは、皇様直属の兵士だからな。何も知らない状態で宿舎で暮らし始めた時は、色々あったのさ。大昔の話さね」
そっか。
そりゃそうだよね。
こっちの国だって色々あるもんね。
何処の国だって問題はあって、そこで皆苦労しながら日々を過ごしてるんだよね。
「私の妻はカスバール出身者なんだ。だから、話は色々聞いて知っているよ。新しい皇様が立って大分落ち着いて来たって聞いている。その調子で、もっと良くなるといいな」
「うん、そうだね。そうなるよきっと」
その為にも精霊の問題を解決しておかないとね。
リディが動けないなら私が動かないと。
「何、考えてるんだ? 」
「別に。大した事じゃないよ」
「隠すなよ。リディ様の始祖の事か?」
人の心読むのやめてくれる?
あと、なんでって顔、止めてよ。
「お姉ちゃんとデズロさんには、黙ってようと思う」
「なんでだ? あの二人には、知る権利があると思うけど?」
そうだね。
デズロさんの恋人だし、お姉ちゃんの本当のお母さんだった人。そう。だった人。
「テット。あの人は確かにテリアーゼから精霊になった。でも、本人ではないよね?」
「ん? それは、どういう事だ?」
「これから先、始祖を見つけて精霊にそれを渡した後、彼女がどうなるのか、私には正直想像出来ない。あの姿を維持するのか・・・」
「・・・・ベルシャナの姿になる可能性も、あるって事か?」
そう。
私達には、何も分からない。
それなのに、今の状況を伝えて会わせていいものか正直迷うんだよね。
「無駄に悲しませたくない。お姉ちゃんはいいよ。初対面みたいなものでしょ? でも、伯父さんは? 伯父さんはまたテリアーゼと別れなくちゃならないんだよ?」
「・・・・・そうだな。確かに、それは辛いかもな」
そうだよ。
だったら最初から知らない方がいいよ。
死んだ人は還っては来ないんだから。
「お! メリル! テット! こんな所で何してるんだ?」
「あれ? フィクスさんこそ。今大変なんじゃないの?」
確かキルトさんを殺そうとした奴を追いかけてるんじゃ無かった? 問題の花を摘み取られて穢れが広がった山も見に行ったけど、あれは私にはどうにも出来なかったから断念したわ。
そもそも昨日今日出てきた穢れじゃないんだもん。
この国にずっといられるなら話は別だけどさ。
「まぁね。でも、メリル明日ここを発つ予定だろ? 帰りも宮廷まで責任を持って護衛付けるからよろしくな?」
「え? 別にいいのに。こっちだって大変なのに」
「いいんだよ。それに、本人達が行くってきかないから。煩い奴等だけど勘弁してくれ」
あれ? もしかしてまたあの二人?
確かに心強くはあるけど。
「マッジンとメルローな。態度には出さないけどメリルちゃんにとても感謝してる。キルトはアイツらの親友だからな。俺もハイトも一緒に行けないけど、君達が無事にあちらに帰れるよう二人に喝を入れておく」
「あはは! ありがと! でも、私の側にはテットがいるから大丈夫だよ。この人、命を賭けて私を守るらしいから」
「・・・・え? そうなのか?」
「・・・・はぁ。まぁ、一応」
あん? なんだその態度。あんた自ら望んでそうなったんだろうが? あん?
「ふーん? へぇ? あれぇ? おかしいなぁ。文化の違いかなぁ?」
「え? 文化の違い? 何が?」
「メリル様。そろそろ行きましょう。フィクスさんもやる事があるッスよね?」
「あ。そうだった! じゃあメリル。またいつか遊びに行くな?」
何? なんなの? 私だけ除け者なの?
なんであんた達だけ目で語り合ってんの?
私にもわかるように説明しなさいよ!
「ちょっと? なんなのテット」
「気にしなくていいよ。フィクスさん、俺を揶揄いたかっただけだから」
はぁ? だ・か・ら! 何の事か教えてって言ってるんだけど? なんなん? 男同士にしか分かりあえないって奴?
ふーんだ。
つまんないの!!
「あ〜俺、ティファさんに目つけられそう」
何一人でボソボソ言ってんだ!
なんだか興がそれた! 帰ってお姉ちゃんに癒されよ!
今日こそはお姉ちゃんをデレさせてやる!




