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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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クリオルの災難

「メリルとかいう女、怪しいわね」


皆様こんにちわ。


僕はクリオルと申します。


カスバール国の首都セスターゼスにある宮廷で医療官として働いております。


そして、先程からイライラとしておられるこの方こそ、この宮廷で我等医療官や薬師達を束ねておられる薬室医療官長様。


ブリィッツォ・トロメンテ様です。


「そもそも、あんな数のポーションをあんな小娘に用意出来る筈がない。私でさえ一度に作れる量は100個程度。しかもあの形状・・・きっとまがい物を適当にポーションだと偽って陛下に渡したに違いないわ」


そうなんです。


実は最近。この宮廷には凄腕の魔術師様が招かれました。

その方は今まで誰も扱う事が出来なかったアースポントを唯一扱える方らしいのですが、どうも、その方の本職は薬師らしいのです。


メリル様という17歳の女の子。


先日メリル様がお作りになったというポーションを国民の配給物として配ったのですが、それによって国民が宮廷に押し寄せる事態となりました。


結局一人一つだけという条件提示で何とか納得させたのですけれど・・・一体それをどうやって調べたんでしょうね?


「クリオル。お前、その小娘の所に行って確かめて来なさい!具合か悪いとでも言って薬を持ち帰っておいで!」


「え!?僕ですか?そ、そんな・・・」


「何?出来ないの?じゃあクビね?」


そんな!なんて横暴なんだ。


でも、ここで首を切られたら僕は働く場所が失くなってしまう。病気の弟の為にお金を稼がなきゃいけないのに。


「で、でも。私は病気ではありませんよ?すぐ嘘がバレるのでは?」


「・・・そうねぇ?じゃあアンタの家族を連れて来れば?その日だけここに連れて来る許可を得てあげる」


・・・・・・コイツ。なんて奴だ。


「良いのですか?私の家族は宮廷の人間ではありませんが?宮廷に入れるのはマズイのでは?」


「そうね?ここは陛下がお使いになる医療室よ。でもあの小娘は違う。本来なら市井のしがない薬師でしょう?それなら問題ないわよ」


僕の弟をそんな下らない事の為に利用するのですね。

僕の家族に薬を分けるのは許可して下さらなかったのに。


「で?どうするの?」


「・・・・分かりました。許可を頂けたら、メリル様の下へ連れて行ってみます」



でも、本当にいいんでしょうか?

メリル様は薬師としてではなく魔術師として陛下のお側にいる方です。僕などが面会して頂けるのでしょうか?


「・・・・兄ちゃんここ、凄い綺麗だな?こんな所で働いてるなんてすげぇや」


弟のエドは一年前から肺を患っています。

その日から症状はどんどん悪くなっているんです。


実は原因が不明で薬を与えても全く効果が出ないのです。


どの医療院に行っても誰も原因が分からなかったんです。

僕も未だに分かっていないのです。


「ゲホゲホ、ゲホゲホ!!」


「大丈夫?おぶってあげようか?」


「だい、じょぶ・・歩ける」


もし、メリル様に診てもらえなくても報告を理由に弟を診てもらえないだろうか?

きっとこのまま症状が悪化したら手遅れになる。


「貴方達、こんな所で何をしているのです?ここから先は許可がなければ通ってはなりませんわよ?」


「あ!あの。僕はここの医療官なのですが、メリル様に診て頂きたい子が・・・・」


「ちょっと何騒いでるんッスか?ん?なんだこのガキ」


この人、確か陛下の側近の方です!


やっぱりメリル様は僕なんかが会える方ではないのかも。


「ここは、いつから保育所になったんッスか?子供はシャミだけで充分ッス。それにメリル様ご機嫌悪いから帰った方がいいッスよ?」


「そ、そうですか・・・・・」


「・・・・にぃ・・・ちゃ・・」


「エド?」


あれ?さっきまで元気だったのに、なんでそんな顔色が悪くなって?エド!?


「く、くるし・・・いきが・・」


「エド!!く、くすり!薬は!!」


まさか薬を飲み忘れた?

しまった!確認をとるのを忘れてた! 僕とした事が!!


「お、おい?なんだ?そいつ、病気なのか?」


「確か袋の中に薬が!み、水頂けませんか?」


「騒がしいなぁ。何やってんの? ん? この子・・・」


すみません今ちょっと緊急事態なので後でお願いします!!早く薬を・・・・。


「あーーーーっかなり汚染されてんね。ハイ、空気通るよー?」


ウォン!!


「「「え?」」」


「ぶはぁ!!ハァハァハァ・・・あれ?息できる?」


え?今何したんですか?えっと・・・・貴女は?

どちら様でしょう?


「こんなになるまでほっといて・・・息出来なくて苦しかったでしょ?まともな医療所がなかったんだろうけど。おいで、私が診てあげる」


「お姉さんお医者様?」


「そだよ。本業は薬師だけどね?」


「え?あ、貴女が・・・メリル様ですか?」


初めてそのお姿を拝見しましたが、とても小さいのですね?とても、可愛らしい方でビックリです。


「そうだよ?何?この子、貴方の弟?」


「は、はい。あの、でもいいのですか?弟は宮廷の人間ではありませんが・・・」


「私も宮廷の人間じゃないもん。関係ないわよ。それに、この子の症状・・・薬の作り甲斐がありそうだわぁ」


よく分かりませんが上手くいったみたいです。

それに、弟の症状が、メリル様が触れた瞬間、軽くなりました。一体何が起こったのでしょうか?


「この子、何か汚染された食べ物を口にしたのね?それが肺の中に入って徐々に広がってる。薬と治療魔法、両方施さないと駄目だわ。一般の医療院じゃまず助からない」


「え?今のだけでそこまで分かったんですか?」


「見ただけでわかったけど?何人もこんな症状の人治した事あるもん。久しぶりに見たけど、貴方運が良かったわね?私、天才だからすぐ治しちゃうわよ?」


「ほんとに?すげぇ〜!お城の人って凄いんだ?」


そんな訳ない。


触っただけで症状を軽くしてしまうなんて、そんな事例見た事ない。どんなに魔力が強くても病気の治療には時間がかかる。そして、原因の究明にも・・・。


「違うわよ。ここの人間がじゃなくて、()()天才なの! 勘違いしちゃ駄目よ?」


「出たー!お得意の自画自賛ッス!」


「あん?ッスッス潰すぞ?」


「何をッスか!!怖っ!!」


この方は・・・一体何者なんでしょうか?

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