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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
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テットはメリルを独占したい

「メリル様。今お時間御座いますか?」


「テニア? うん、大丈夫だよ?」


今日は久しぶりの休日っス。

天気も良くて外出日和っすね。


「メリル! これはなんだ! 言う通りにしたのに全く上手く出来ない。不良品ではないのか?」


「そんな事ない。チェシャが驚く程不器用なだけだから。貸してみて」


こんな日は息抜きに外に遊びに行きたいッス。

最近はメリルも宮廷と各領地の視察とかで働き詰めっすからね? 息抜きは重要ッスよ?


「おはようメリル。今日も可愛いね? キスしていい?」


「・・・・・頬に、なら」


ちょっと待てやコラ。


精霊が目覚めてカスバール全土で起きた地形変動が収まって、全ての土地の無事と整備がやっと終わった今日この頃。10歳を迎えたシャミの急成長ぶりが目に余る。


お前、いつの間にそんな背が伸びた?


「シャミ・・・また背が伸びた? もしかして、今私と同じ位なんじゃない?」


「そうだね。俺の方が少し低いけど、その内追い抜くよ」


しかも、喋りも流暢になって、まるで別人だ。

いや、クリオルの弟のエドも同じぐらいの大きさにはなっているんっすが、エドは中身がまだ子供らしいからいいッス。だけどシャミは・・・・。


「メリル。もう少し大きくなったらメリルを抱っこしてあげるね?」


お前は間違った成長を遂げている!!

元々綺麗な顔立ちだとは思っていたッスけど、日に日に成長を遂げるシャミがイケメンになる未来しか見えない。


そして世の中の女性がシャミにひれ伏す姿が容易に想像出来ている。


このままでは第2のナシェスの誕生ッス。


「はーいストップ! シャミ、メリル様困ってるッスよ? 今日の求愛タイムはここまでッス」


「えー? まだ全然求愛してない」


恋愛スキルマイナスレベルのメリル様相手にはこれぐらいで十分ッス。最近はこんなやり取りが毎日のように繰り返されてるッスよ。本当疲れるッス。


「おーいシャミ〜! あ、メリル様こんにちわ!」


「エド! あんたも大きくなったね。たった一年ぐらいで・・・それに比べて私の背は一向に伸びないわね」


「いや、伸びないでしょ? もうそれ以上は無理ッスよ? 諦めて下さい?」


お、おおお? なんですか、そのふくれっ面。ちょっと可愛・・・いや、面白いな。


「私にだって少しはお姉ちゃんと同じ血が流れてんだから、可能はあるわよ!」


「ないッス! ティファさんは恐らくお母様似ッス!」


だから、そこで俯すのやめて欲しいッス。体が小さいとはいえ幅とってるッス。正直邪魔!


「はいはい。メリル様拗ねてないで起きて下さい。気分転換に溜まってる薬伯父さんの所に持って行かないッスか?」


「そういえば最近タリッズさんと会えてないわね? そうね。薬も沢山あるし、久しぶりに行こうか」


そういえば俺も忙しくて様子見に行ってなかったけど元気ッスかね?


俺の従姉妹が結構前から体調を崩したきり調子が良くなさそうなんすよ。


メリル様もそれを聞いてポーションとか、症状に合わせた薬を渡してくれてるんすけどね。最近はどうなんだろ。


「テニアも一緒に行くっすか?」


「いえ。私はまだやる事が残ってますので、テットに任せますわ」


「そっすか? 息抜きも大事っすよ?」


テニアは真面目ッスねぇ。

ラフィネラとそこは似てるッス。


真面目すぎて、たまに心配になるっすよ。



人間なんでも適当が一番ッス!


「そういえばテットの故郷はどの辺りにあるんだっけ?」


「俺の故郷ッスか? ここから北西方面にあるミラデル領の山奥ッス」


「へぇ。タリッズさんもそこで育ったの?」


「そうっすねー子供の頃は良く遊んで貰ったッス」


伯父さんには本当にお世話になったッスねぇ。

懐かしいッス。


「テットの故郷も、確か今は無いんだよね?」


「そっすね。酷い飢饉が起きた時、皆生き残るために村を出て行ったッス」


「・・・・・テットさ。私に、何か隠してない?」


う〜ん。相変わらず聡い。

だけどなぁ。今更こんな話してもなぁ。


「隠し事じゃないぞ。何処の村でも色々問題は起こる」


「そうだね。前から少し気になってたんだけどさ」


俺も気にはなってた。

ただ、伯父さん言わないんだよなぁ。


「タリッズさんの娘さんって、本当にただ体が弱いだけなのかな? テット、会った事あるんでしょ?」


これは、ラフィネラから何か聞いたな。

アイツ話したのか。


「・・・・そっすね。でも、メリルとあの娘を会わせるつもりはないッスよ?」


もしかしてずっと考えてたんすか?

疑問を持ち始めてからずっとッスか?

お前、結構お節介だよなぁ。


「テット。これは貴方達だけの問題じゃないと思う。私は薬師でおまけに医術を扱う魔術師なの。それが本来の私の仕事なの。病んだ人間を治療する、その病床を調べて二度と病が蔓延しないよう、広げない様にする為に尽力する事が私の仕事なんだけど?」


「・・・・・・・勘違いかも、知れないぞ?」


「それならそれでいいじゃない。取り越し苦労結構。でもそうでなければ?」


メリル〜。素直に息抜きしようぜ。

やっと一つ大きな問題が解決して落ちついた所なのにさ。


「俺、今日は久しぶりにメリルを独占できると思ったんだけどなぁ?」


「は? 何それ。いつも一緒に行動してるでしょ?」


そうじゃないんだよ。

お前のトキメキ探知機能はどこいった?

メリル以外の女性なら今のセリフで頬を染めるぞ。


まぁそうなったらそうなったで困るから結論から言えば問題はないんだけどな。


「・・・・確認するだけだぞ?深入りは、するなよ?」


「で? アンタは私に話す気は無いわけね?」


嫌だね。

俺はお前を守りたいんだよ!

ほっとくと黙って行きそうだから好きにさせてるけど、本当は凄く嫌なんだからな。お前いい加減分かれよ。

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