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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第2章メリル動く
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閑話*カスバールで暮らす人々

「最近は作物の実りがいい。この間の地震と謎の地形変動で土地は荒れたが、畑は無事だったから、問題なく収穫出来そうだ」


「そうなんだ? それは良かったわ。隣の領地も問題なさそうだし、この辺りは暫く飢えに困る事は無さそうね」


そうだろうな。

最近は皇都からの使者もちょくちょく来てはこうやって様子を見て助けてくれるし。


この人が持って来てくれた育ちやすい作物の種を植えてるから心配ないだろう。

本当に有難い。


「メリルさん。お昼ご飯食べて行かないか?」


「ありがとう。でも、他も見て回らないと行けないから遠慮しとくわ。次機会があればご馳走になろうかな?」


この人は宮廷で働く植物の研究者だって俺は聞いている。

こうやってカスバール各地を回ってるんだそうだ。

出自は平民だから畏まらなくていい所も親近感を感じる。


「メリルさま〜、やっぱり前にはなかった河川が流れてるっす。新しく地図に書き足して貰わないと」


「そっかぁ。困ったなぁ・・・専門の人間がいないから地図を作るのも一苦労だよねぇ。問題は山積みかぁ」


あれ? もしかして地図が作りたいのか? それなら心当たりがあるけどな。


ただ、余り仕事を依頼するのにはオススメ出来ない人物だけどな。


「あの。この村の一番奥に地図作りが得意な人物がいるんだが、人手が足りないなら声かけてみるか?」


「え? そんな人いるの? 」


いるぞ。

この村でも有名な変わり者だ。皆いつも遠巻きに見てる。


「この時期はこの村に帰って来るが、普段は各地を旅してる。金にならない地図製作が趣味で、皆から変人扱いされてるんだが、悪い奴ではないと思うぞ?」


「へぇ、 是非紹介して欲しいわ。専門は違えど私も研究者だからね。興味あるし、内容によってはお金を出しても構わない」


それは凄いな。

人間どんな趣味が仕事に繋がるか分からないもんだ。

ただ、あの人他人とコミュニケーションとれるかな?


まともに他人と話をしているところを見た事ない。


「こんにちわー! 」


シーン。

応答なし。誰も居ないのか?おかしいな、今朝は確かに居たはずなんだけどな?


「あれ? 留守かな。テット、扉開けて」


「え? 勝手に? メリル様それは不法侵入っス。駄目っす」


「じゃあ私が魔法で扉破壊するけどいい?」


「当然の権利の様に言ったっすね? アンタのその思考回路は何処からやって来るんすか? 我儘通り越して女王さまなんすか? 人様の家のドアが開かないからっていちいち破壊しされたら相手は堪らないっすよ?」


これ冗談だよな?

本当に人の家の扉いきなり破壊したりしないよな?

この人達一応宮廷からの使者だもんな?


「え? 私が扉をノックしたら三秒で開けるのがルールでしょ?居留守とか許し難い」


「なんだろな? 俺今マリオーネ様を思い出したッスね? 最近似たようなやり取りしてた気がするっす! ブリッツォが涙目になってたのを思い出したッス」


「面倒だなぁ。あ、綺麗に扉外すなら問題なくない?」


ギィイイイイイイ。


「「「・・・・・・・」」」


「やめるです。暴力反対・・・・」


そうだな。こんな物騒な話してたらそうなるだろなぁ。

これ、話纏まるのか?


「やっぱいるじゃない。 私メリル! 薬師なの。貴方に仕事を依頼したいんだけど、貴方名前は?」


「・・・・・コルネ。薬師が僕に何の用です?」


そんな大袈裟な話になるとは、思ってなかったんだ。

俺は単に、彼は一時的に雇われるものだと思ってたから。


「コルネ。貴方を宮廷専属地形学者として雇いたい。つまり、カスバール全土の地図を貴方に書き直して欲しい」


そんな大層な話になるなんて、思っても見なかったんだよ。それで、それをこの人が受け入れるとは。


「地図を描いてお金を貰えるです?」


「そうだよ? しかも衣食住すべて完備で仕事の為なら旅費も全てこちらで用意する。勿論護衛は付けるけど、悪い話じゃないはずよ?」


「・・・・すぐ支度する。どれくらいでここを出るです?」


「急がなくて構わないわよ? 隣の領地に顔を出して、またこちらに来るから。それまでに必要な荷物纏めておいてくれる?持ちきれない荷物は後で持ちに来させるから」


「大丈夫。殆ど此処にはいないから、必要な旅支度はしてある。すぐに出れる」


「そう? じゃあこのまま一緒に行きましょう? これからの事も話しておきたいから」


後から知ったんだが、メリルさん予めコルネの事を調べて知っていたらしいんだよな。


でも、警戒されると思って俺に案内させたみたいだ。

ちゃっかりしてるぜ。


「まぁまぁ、巻き込まれた者同士仲良くしましょ? きっと楽しいわよ? オタク同士私達きっと気が合うと思うの」


去年は荒れ果てた土地で中々実りが出来ず明日飯にも困ってたのになぁ。

俺、この人の面倒結構見てやってたんだぜ?それがさ、まさか逆に面倒見られる側になるなんて、想像出来ないだろ?


「この人も連れて行きたいです。僕の仕事の助手として」


あれ? ちょっと待ってくれ。

何故俺まで? 俺一番関係ないよな?


俺、ただの一般市民なんだがーー!!

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