メリルは子供を保護する
「出来た！！ 流石私ね！ 早速これを持って行こ！」
久し振りに超難易度級の薬が出来たわぁ！ウットリ。
皆、聞いてくれない？
ここの若い皇帝さぁ？診察したらさぁ？毒盛られてやんのプププ！しかも気付かないとか危機管理能力がないんじゃないの？呆れるわ。
ごく微量だし、致死量じゃないから良かったけどさぁ？
こりゃ毒味役の人も大変だね？
「アレ？メリル様どこ行くッスか？ついて行くッス」
「え？ 本気で？ ウザい」
「あのぉ？流れるように俺の悪口言うのやめてもらえませんかね？」
悪口じゃないよ？思った事を口にしてるだけ。
最近はッスッスにも慣れたけどさぁ。
「リディに薬を渡そうと思ってさぁ。他の人間は信用出来ないから、面倒だけど直接渡してくる。暇ならついて来てもいいよ」
「暇っていうか俺メリル様の側にいるのが仕事ッス！何か誤解してませんか？」
あ、そうだっけ？
最近はよく姿を消して昼寝とかしてたみたいだからサボるのに忙しいのかと。
「それにしても、陛下風邪でも引いたんッスか？そんな様子全くなかったッスけど？」
「ここだけの話、あの人毒盛られてるみたいだよ？ 体に毒が蓄積されてた。致死量じゃないけど、その毒を中和して壊れた細胞を修復する薬をね？ 」
「・・・・・・なんだと？」
ん？ッスッスどした？
アンタにしては珍しく真剣な顔だね？
そんな顔してもイケメン度は上がらない。
「・・・あの馬鹿・・何してやがった。陛下の側にいて気付かないなんて・・・」
おーい？ うん？ 人の話最後まで聞いてくれる？
オラ！
ゴスっ！！
「いで！！ ちょっ！いきなりなんなんッスか！」
「間違ってもこの事、バラさないでね？多分リディが犯人を探してる。ここでは暗殺未遂なんて日常茶飯事なんじゃないの？熱くならないでよ〜鬱陶しいな〜」
ちょっと？ この人、おもいっきり私を睨んだんですけど？
いいのかな？ そんな事していいのかな？
「テット？ 何？ 文句あんの？」
「・・・・・ぐっ！・・・ ないッス」
可哀想。ここの人達可哀想だけど、私はやめない。
やっぱりここ想像していた通り危険なんだもん。
使える物はちゃんと利用しないとね？
こちとら生き残る為の手段は親に叩き込まれてる。
私、命大事。
「テットてさぁ、とても強いって聞いてるけどさぁ、結構単純だよねぇ。もっと冷静になれないの？」
「え？そうッスか？そんなに分かりやすい？ 俺？」
分かりやすいよ。
ニコニコしてるけど目が笑ってないし、口元引きっつてる。楽しくもないのに笑ってる意味が私には理解出来ない。気持ち悪！！
「何度も言うけどさ、無理に私に付いてなくていいよ？今のところ逃げる気はないし。早く戻りたいんでしょ？リディの側に」
「・・・・・・俺が決める事じゃないッスからねぇ」
正直だな？そこは素直なんだ？
そんなに私付きは不服かオイ！
私も不服である！
「きゃあああああ！」
え？何？宮廷内で悲鳴なんて。
本格的に暗殺者でも侵入したの？ うへぇ。
中も外も危険がいっぱいだね？
「う・・・うううううう！！」
え？ 子供じゃない。やけに身なりがボロボロだけど・・・何あの子？一体 どこから侵入したの？門兵は何してた？
ちゃんと仕事しなさいよ。
「だ、誰か！ そいつを捕まえてくれ！ それは私の物だ！」
「・・・・・・・・・あん？」
「ちょっと、メリル様？ おい！」
何このオッサン？
やけに綺麗な出で立ちだけど？
何？ この子供アンタの物なの？フーーン？
「・・・・メリル？おい？お前達何を・・・」
「ちょっとアンタ落ち着きなさい」
「！？ガァウ！！」
カブリッ
「ーーーーッメリル！？」
「いっ・・・・・」
痛ぁーーーい！！思い切り噛み付いたな！コノヤロウ。
しかも肩に！いでででででで！！
「コノ！！ なんて事を！離れろガキ！」
「メリル！？ 今すぐそれを離せ！」
「コイツ！離れな・・・・」
「煩い！！ 騒がないでよいい大人が！ あと私から離れて！ウザい！」
こんな子供に寄ってたかって。その剣しまってくれない？
「うぐ・・・ううううう」
「メリル！ 血が出ている。今すぐソレを離して治療しなければ・・・・」
「人の売買は禁じられたんじゃないの？この子は人間だよね？」
何キョトンとしてんだよオッサン。
アンタに聞いてんのよアンタに。
「ええ・・・ですが、そいつは人とは呼べる代物では・・・・」
「・・・・精霊付きは立派な人間よ。人と同じ物で体は作られてる。何勝手に人間外に分類してんの？これは大罪よ？」
「そ、そんな。私はただ・・・陛下に喜んで頂けるかと・・・」
やっぱりなー。こういう勘違い野郎共が出てくるとは思ってたけど、本当駄目だわ。この国、本当終わってるわ。
「陛下。この男は人身売買に手を染めている恐れがあります。捕らえても？」
「そんな！！ 私はそんな事しておりません！！」
見えすいた嘘つかないでよ。
そんな訳ないだろが。
「・・・・捕らえ尋問しろ。メリル、その子供を離せ」
「嫌。今引き剥がしたら肩の肉引きちぎられそうだもん。このまま連れてく」
「・・・・・・は？メリル様？」
丁度私の助手が欲しいなぁとか思ってたんだよねぇ。
まだ子供だから使えるか微妙だけど、まぁ仕込みしだいかな？
「まさか、人体実験に使う気か？」
おい！ んなわけないでしょが！
私はあんた達の中で一体どんな人間だと思われてる？
極悪非道の悪魔薬師かコラ！ん？意外と悪くないなぁ。
ソレも。ニヤリ。
「何？何か、文句が？」
「・・・・・・・」
だから、何で本気で心配そうなの？毒盛ったろか？コノヤロウ。
どうせ人体実験出来るならこの子じゃなくテットでするわ！ 頑丈そうだからね！アハ！
