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最強薬師は絶対誰にも恋しない  作者: 菁 犬兎
第1章カスバール宮廷
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メリルは帰りたい

挿絵(By みてみん)




皆さん、こんにちは!


私メリル!

この前やっと17歳になったばかりの、ピチピチワクワク青春真っ盛り乙女だよ!なーんてね?そんな訳ない。


「メリル様!!どうか、どうか貴女のお力を我等にお貸し下さいませ!!貴女が望む事は何でも致します!どうか、この宮廷を去るなどと仰らないで下さいませ!!」


私はしがない薬師の娘で、私もその仕事をしているの。

と、いうか調合が大好きなの。薬草に関する事もとても詳しくて、私それらを色々組み合わせて新しい薬を開発する事にぶっちゃけ命、かけてます。


正直それ以外の事、どうでもいい。


「え?ヤダァ。私早く村に帰って破壊された畑、元に戻さないと。薬作れなくなっちゃう」


え?状況が理解できない?そうよね?ぶっちゃけ私も今の自分の状況がいまいち把握出来ないの。だって今私がいるの、この国の一番偉い人が集まるお城でしょ?


私の村、実はちょっと前に何者かに魔法で襲撃を受けたんだよ?酷くない?そのお陰で私の大事な大事な薬草畑・・結構駄目になっちゃったの。


住んでた家も衝撃で壊れちゃった。


私は地下に居たから助かったけど・・・その後調査に来た宮廷の人間に半ば無理矢理連れて来られて、帰るって言ったらこの状況。理解し難いよね?


それで私の目の前で土下座している人達、この国を管理する官僚なの。おかしいよね?私一般人。庶民!貴方達貴族だよね?そんな簡単に土下座、しない方がいいと思う。


「そんな!! そんな事仰らず!! この宮廷にも薬草なら沢山あります!! 貴女が望むのでしたらそこの薬草をお使い下さいませ!」


いやいや、だからね?

ここの薬草は貴方達のものでしょ?

この国の偉い人が使うんだよね?そんな物、気軽に使えないし私の村の薬草の方がぶっちゃけ質がいいの。


あれだけ品質改良を繰り返した私の最高傑作達なんだよ?


お前達にわかの薬草と比べるんじゃない!(本音)


「・・・・メリル。どうしたら、ここに留まる気になる?出来れば無理矢理拘束はしたくない。過去に、そんな歴史を繰り返し、我等は失敗しているからな」


皆さん聞いてくれます?

そもそも、この人ですよ?

この、私とそう歳の変わらないこの男。


土下座の嵐の中でただ一人高そうな椅子に腰掛けて偉そうに私を見てるこの男こそ、今回の騒動の元凶なの。


「えー?だから・・・何で私?あんなの他の人間でもいいでしょ?」


「・・・他の人間にあんな事は出来ない。サウジスカル帝国にいる大魔術師か、お前ぐらいしか、アースポントを満タンにする者は、今のところ見つかっていないんだ」


アースポントってこの国の足りない魔力を国中に補給する画期的な物らしいんだけど、どうやらそれ、使える人間がこの国にいなくて大変らしいよ?


でもさ?そんな突然宮廷に連れてこられて、ここで仕事しろとか言われてもね?絶対嫌よね?断る!!


「お前の村にある薬草、こちらで育てられない物なのか?

そもそも、あのままでは人はまだ住めないだろう?」


「別に水さえあれば栄養剤で生きていけるわよ!元々食べる物なんて殆どないじゃないこの国。何言ってんの?」


ん?あ、口が悪かった?ごめんごめん、そう、このさっきから偉そうな、この人さ?


「お前よく、この国の皇帝にそんな口の聞き方できるな?どんな図太い神経してるんだ?」


カスバール帝国皇帝リディ・ディムレムなんだって!!

ビックリだよね?若!!皇帝若!!


「だって。貴方が陛下になるなんて知らなかったし。どの道、私気に入らなかったら貴方に殺されるんでしょ?だったらどっちだって関係なくない?」


ん?何よその驚愕の顔?私この国の偉い人間は皆クソだって両親から聞いて育ったけど?違うの?


「・・・・お前を殺したりなどしない! お前が必要だとさっきから言っているだろうが!!」


「へ、陛下・・・落ちついて下さいませ。と、とにかくもう暫くメリル殿にはこちらに滞在して頂きたいのです。お願い致します」


「えーーーーーーー!!私もうげんかーーい!!調合させろーーーー!!!!」


ここに連れて来られて何日も私薬を作ってないのよ!!


ストレスMAX!爆発寸前五秒前!!


「・・・・じゃあ、ここで薬を調合出来れば暫く止まってくれるのか?」


ピタリッ。


え?出来るの?ここ、設備があるの?


「この宮廷内にいくつか今は使われていない薬剤調合室があっただろ?そこをすぐ片付けさせろ。メリルの村の薬草も少しずつこちらに植え替える。その代わり・・・」


「何よ?」


「定期的にアースポントに触れてほしい。それだけは、譲れない」


あーーーあのクリスタルねぇ?・・・・別に、いいけど。


「本当に、それ以外何もしなくていい?」


「構わない。それさえ約束してくれればお前の好きな様に過ごしてくれて構わない。テット!」


「あいあーい?なんッスか?」


「今日からお前はメリル付きだ。彼女の側を離れるな」


え?もしかして私見張られるの?それは、なんかイヤー。


私、これでも年頃の乙女なんですけど?

男の人と二人きりとか・・・ねぇ?


「えーーー俺どうせつくなら、もっとこう・・グラマラスな、綺麗な姉ぇさんがいいッス! チェンジで!」


「ああん?それはこっちの台詞だコラァ!!チェンジを所望する!!」


「・・・・・お前ら私が何もしないと分かってその態度か?いい度胸してるな?私も我慢のボーダーラインはちゃんと存在しているぞ?」


あ!あのふざけた護衛顏逸らしやがった!

後で覚えてなさいよ!プンプン!


「とにかく、急な話だからな。こちらの事情もメリルの事情もあるだろう?お互い妥協点を見つけ歩み寄りたい」


なーんか都合よく纏められちゃったけど、これ相手の思うツボよね?なーんか気にいらないわ!


「なんて言われても私の考えは変わらない。お姉ちゃんを見捨てた癖に・・・・あんた達なんか信用出来ないんだから!」


絶対ここから抜け出してやるんだから!べーーーだ!!

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