序:休日のショッピング
「いやぁ、もうねぇ、うちの舞ちゃん、かわゆくってかわゆくって、しょうがないんだよ」
でれっとした顔で、いきなり友人がそんなことを言う。
いらんことしぃで明後日な発言ばかりをする、考え無しの友人・来栖だ。
毎日青春を謳歌している真っ最中……とは言い難いが、とりあえずのんべんだらりと楽しんでいた休日にいきなり呼び出され、駅近のスーパーで買い物……というよりウィンドウショッピングに付き合わされることになった私。
目的のものなんてものはなく、目についたものを覗いていた折の、唐突な話だ。
「お前の子じゃないだろうが」
「だからこそだろ!」
舞ちゃんとは、御年3歳となる、来栖の姉の娘……つまり、姪っ子だ。
名前は来栖舞ちゃんという、来栖の6歳上の姉が大学在中に出来婚で産んだ子。なので、つい先ごろまで険悪だったのだが……やっぱり、孫・姪っ子かわいさで、今は受け入れられている。どころか、来栖家族全員が、舞ちゃんにメロメロ状態だ。
最近まで、魔の2才児ならぬぶりっ子小悪魔ちゃんだったのが、最近少し大人しくなり会話が通じるようになりで、可愛さに磨きがかかってはいる。
いや、去年とて、イヤイヤとは言うが、擦りついてベタベタしながら「いやん、いやなの~」とかいう小悪魔ちゃんぶりで、誰もがメロメロになるしかないという感じだった。
「最近さぁ、本当にいろんなおしゃべりができるようになったんだけど、その言い方が、間違い方が、めっちゃくっちゃかわいいんだよ。耳が悪いのかお口が動かないのかわからないんだけどさぁ、もう、かわゆい言い間違いが本当に多いんだよねぇ」
「装飾多可だがだいたいわかった……で? 具体的にどんな言い間違い?」
問い返すと、なんとも嬉しそうな笑顔で、来栖は語りだしたのだ。




