04:性女と勇者の攻防
異世界
【性女/勇者/下品なギャグ/ノクターン向けに書……どうしてこうなった】
手を組み合い、薄く透ける衣を纏った女と、裸の男は睨み合っていた。
「ま、ぐ、わ、え!」
「い、や、で、す!」
それをグネグネと曲がった角を持つ漆黒の衣装を着た少女が呆れた顔をして見下ろしている。
玉座から床に足が届かない少女は、プラプラと細い足を揺らし、取っ組み合いになっている女と男の横でたむろう人々に視線を向け直す。
「まだかの?」
「すみません魔王、ちょーっとかかりそうっすわぁ」
「我を倒すには些か団結力が足りぬようじゃが」
「仕方ないっすわぁ、好みの問題ってありますからぁ」
「まぁ、そうよの」
薄く透ける衣を纏うは美しい性女である。
性女は勇者を伴い、魔王を倒すため数多の困難を乗り越えてここまで来た。
その筋肉美と反り上がる男のシンボル的モニョモニョを持つのは勇者である。
勇者は性女を支え、魔王を倒すため数多の困難を乗り越えここまで来た。
性女とは、魔に打ち勝つ術を勇者へ与えられる唯一無二の存在。
その術とは、勇者とまぐわい、※※※を※へ擦りつけ、性交し、力を与える。
性交により、性なる力を授けられた勇者は、そこでようやく魔王と拮抗出来るだけの力を得られるのだ。
「魔王待ってんだろーが!」
「嫌なものは嫌なんです!」
「世界の破滅と俺とのセックス、どっちが嫌なんだよ!」
「決められません! 世界の破滅が回避されたとて、私が私でなくなる未来になんの希望があるというのですか!」
「お前どんだけ俺が嫌いなんだよ!」
「世界の破滅と天秤にかけてちょっと傾く程度には嫌いです!」
勇者の見目は決して悪い方では無い。
均等のとれた筋肉に、力強い※※※、髪はサラサラのストレートを短く切り、瞳はアーモンド型の、見る者が見ればキャーキャー言われる姿だ。
魔物を切り伏せ、仲間を守る姿に性女も始めはドキドキと胸を高鳴らせていた。
けれど、長い旅の間ずっと見ていたのだ。
民家に押し入り、タンスや壺の中をかっさらう姿も、宿屋から抜け出し娼館へ鼻歌交じりに走る姿も、買い食いして焼き鳥のタレを胸元へ垂らす姿も、それで因縁をつけて焼き鳥をもう1本ゲットする姿も、ずっとずっと見ていた。
魔物を切り伏せる姿は今も変わらずかっこいい。正しく勇者だ。
ただし道中疲れたと駄々をこねたり、野宿が長くなり川で清める際覗きをしたり、盗賊に拐われた女性を助けようとして、ラッキースケベを狙う様は果たして勇者なのであろうか?
長い旅の間に、性女は勇者を軽蔑の目で見るようになった。
生理的に受け付けない。
「じゃーどーすんだよ! こっちゃ準備万端なんだぞ!」
「その汚物を今すぐしまうか切り落としなさい!」
「てめぇこのクソアマなんつー事言いやがんだ!」
「てめぇでもクソアマでもございません! 汚い口を叩かないで下さい!」
「ひとのもん汚物扱いしといてどの口が言ってやがんだ!」
「私は事実を述べたのです!」
魔王がひとつ欠伸をする。
「ワレは腹が減ったのでの、そこの取り巻き共よ、一緒にどうじゃな?」
「わーい、ご相伴にあずかります」
「俺もう腹ペコっすわぁ」
「ねぇ、あれ放置でいいの? いいの?」
「いーじゃん! ボク絶対ご飯中には決まらないと思うなぁー」
魔王は取り巻きと共に闇へと消えた。
残された2人がどうなったかは誰にも分からない。