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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

みじかいはなし、いろいろ

斜め前

作者: なつきはるな

タンブラーに掲載してるものです。

「はぁ……」

 わたしはため息をつく。腹の底から出てきたそれは周りの空気に混じる。その同じ空気をあの人は吸っている。わたしの斜め前の席の子、ショートカットが似合ってて、そのせいか中性的に見える子。わたしはその子に恋してる。女が女に恋してる。恋をするのは自由だって思っていたけど、まさか女の子を好きになるだなんて思わなかった。

 どうして好きになったなんて分からない。二年生になったときクラス替えがあって同じクラスになった。そして一目惚れしてした。なにか言葉を交わしたことがあるわけではない、実はいままで一度も喋ったことがない。もう五月なのに、クラスが変わって一ヶ月経つのに、ただ後ろから熱視線を送ってるだけ。これじゃいけないってわかってる。

 でも女の子を好きになったんだから、このままのほうがいいかもしれない。恋を内緒にしておこうと。心の奥底に閉まっておこうと。出来るならこの気持ちを忘れてしまいたいって思ったこともある。でも恋心のほうが強くて忘れられない。

 忘れようとするほど好きになってしまう。夢のなかにもその子は出てきた。出てきて「元気?」って言葉をかけてくれた。わたしは「は、はい」としか言えなかった。夢の中でだけど、現実でもそうなってしまいそうだ。もしその子に話しかけられたら、顔を真っ赤にしてしどろもどろになってしまうはずだ、はずじゃない、絶対だ。



 その子とわたしは属するグループが違う。その子はスポーツ好きな女の子たちのグループに入っていて(事実彼女はバレーボール部だ)、わたしはいかにも文系おとなしめのグループの子たちとつるんでる。いまの友人たちが嫌なんてことはない。波長の合う友達たち。でもこのグループからその子のグループに話しかけるのはお門違いだ。

 女の子のグループは結束が強くて、他のグループと交わろうとなんかしない。文系のわたしがスポーツ系のその子に声を掛けたらなにか悪いことをしているような気になってしまいそうだ。

 わたしとその子はなにも接点がないまま一ヶ月を過ごしてる。ただ近くで同じ空気を吸ってるということしかしていない。席が近くてラッキーだって思ってる。斜め前だから後ろを振り向いたときに見てもらえる。でも真後ろだったら声をかけてもらえたかもしれない。話が出来たかもしれない。

 なんでこんなに障害だらけなんだろう、ちくしょう。

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