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悪魔視点6
崩れ落ちる彼女を私はしっかりと抱きとめて、怒りに任せて銃を暴発させた。 途端、銃の破片に貫かれて亡くなる彼女の父親。
当然の報いだ。 私から彼女を奪った。
私はやっと手袋を外し、彼女の冷たくなっていく顔に触れた。
ショックのせいか彼女は目を覚ますことなく絶命した。
その冷たく強張った頬に、自分の頬を押し付け、口づけて、私はその場から姿を消した。
そしてその年、二度と戻ることはなかった。
翌年の春、母木に呼ばれてジンは久方ぶりに竹林に戻ってきた。
そして新たな繭に気づく。 その中に入っていたのはクリスティーナだった。 もはや彼女とは言えないかもしれない。
記憶もないかもしれない。 それでも嬉しかった。
『あなたとこの子、二人で新天地で実を結びなさい。 あとはクロウが引き受けてくれるから』
繭が開いて彼女が出てくる。 その右人差し指には三角の頂点を内向きにしたひし形の痣があった。
完




