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自殺しようとしたら異世界で店員をやることになっていました。

作者: 紺猫

初めてで読みにくい部分があると思いますがよろしくお願いします。

落ちる、どんどん落ちていく


黒く染まり始めた空、人はもう此処にはいない。そんな中落ちていく僕。


僕の心はボロボロだった。破かれるノートにびしょ濡れのシューズ、周りからの気持ち悪い視線、高校生になってから一人になって、…独りになって


落ちていく中、自分の記憶が頭の中で出たり入ったりしている…こういうのを走馬灯というのかもしれない。あぁ…本当に僕は死ぬんだな、そう思い目を閉じた。





…次に目を開いた時は誰かの部屋のベッドの上だった。


…いやいや、おかしいって


確かに僕は自殺をしようとしてた。いや、自殺していた。

もしあれが夢だったとして此処は何処なのか、…もしかしてぼーっとしている間に襲われていた!?


そんなおかしなことをベッドの上で考え頭を抱えていたらドアの開け閉めする音が聞こえた

音のした方を見ると前見えているのか言いたくなるほどの銀色の髪の長い女性だった。


「******」

…?違う国の言葉なのだろうか?彼女が何を言っているのか分からなかった


「***…!……まったく、面倒だねぇ」

彼女が指をパチンッと鳴らしそう言っているのが分かった。…どういうことなのだろうか

彼女は近くにあった椅子に座ると僕に微笑み聞いてきた


「私はステラ・ハヴァード、キミの名前は?」

夏川悠真なつかわゆうま…です」

「ナツカワくん、こんなことを聞いて驚くかもしれないけど…キミはこの世界に間違えて召喚されたんだ」

…驚く、というか理解できなかった。これも夢なのかな、目が覚めたら自分の部屋に居るのかな…あぁ目が覚めたらカップラーメンが食べたい。なんて現実逃避する僕を見ながらステラさんは話を続けた。


「神殿の方々は魔王を倒すための選ばれし者を探していたみたいだけど…どうやらキミではなかったみたいだ」

クスクスと笑うステラさん。

魔王とか選ばれし者とか…アニメや小説でしか聞いたことのない言葉が聞こえてくる。神殿ということは此処はその神殿のどこかなのだろうか


「…さてここからが問題なんだけど、一度こちらに召喚されたらあっちの世界には戻れなくなる。神殿の方々は召喚されるときに召喚された人の記憶はすべて消す、とか言ってたけど…正直そういう問題じゃないよね」

…戻れないと聞いて僕は特に嫌だとかそういう風には思わなかった。ていうかあの世界が嫌になったから自殺したのだから

…でもこれからどうすればいいのか、そう思った


「…それで提案なんだけど僕のお店で働かないかい?」


突然すぎる提案、普通悩むはずなのに僕はすぐに首を縦に振った。





僕がこの世界「イディア」に来て数ヵ月後、こっちの言葉も少しずつ喋れるようになり、お店の仕事も慣れてきた。


ステラさんのお店「アルディナ」は魔具を売ったり修理したりするお店だった。最初の頃は魔具の材料集めとかだったが…言葉が喋れるようになってからはお客さんの相手をすることになった。

まだまだ大変なことが多いけど楽しくやっている


…さて、魔導書の整理をしなければ

そう思っていたらベルの音がする。誰か来たようだ


「いらっしゃいま……」

お客さんを見て僕は魔導書を落としてしまった。

なんであの人がいるんだ。この世界にいるはずのないあの人が


「おい、どうした。店の者」

目付きの悪い目、あの低い声、他人のそら似とは思えなかった。


「おい!この方はイディアの選ばれし者だぞ!早く来い!」

別の人の声が聞こえる。



…あいつだ。あっちの世界で僕が自殺しようとした原因、いじめの主犯者


「体調が悪いのかもしれない。別の店を探そう」

青崎航あおざきわたる



彼が去ってからも僕は震えていた。あの頃のトラウマが蘇ってきて、またいじめられるんじゃないかって、怖くて仕方なかった。ステラさんと夕食を食べる頃には震えはおさまっていたが恐怖は変わらず僕の中に残っていた。


「そういえば今日は選ばれし者が召喚されたらしいねぇ…ナツカワくんと同じくらいの子らしいけど…まぁ頑張ってもらうしかなさそうだ」

ステラさんが何が言っていたけど、僕にはほとんど聞こえなかった。それほど怖かったのだ。

…もしかしたらまた僕はあんな目に遭うのかもしれない。またあの恐怖を味わうことになるかもしれない、そう思っていたら僕は自分の首にナイフを突き立てていた。


「ナツカワくん!?」

ステラさんの叫び声が聞こえる。このまま刺せば僕は死ぬのかもしれない。逃げたい、あの人から逃げたい、そんな思いで僕は目を瞑り勢いをつけて自分の首をナイフで刺した


……あれ、痛く、ない?

目をそっと開けると僕の手にナイフは無かった。…そのナイフは太めのツルに絡まっていた。


「まったく…ナツカワくん、何でキミは人の前で自殺しようとするかねぇ…止められるに決まっているのに」


どうやらあの太いツルはステラさんが操っていたようだ。カランっと落ちるナイフに僕に近づいていくステラさん。

そして僕の頭を撫で、あの時とはまた違う、優しく微笑み僕に言った


「どうしたんだい?ナツカワくん、ボクはいつだってキミの味方だよ」


髪の隙間に見える紫の目が僕を見つめる。

…僕はこれからもこの人の元にいるのかもしれない。何度も言われ、裏切られ、信じられないはずのその言葉がこの人だったら本当に味方でいてくれるんじゃないか、そう思ってしまったから

キャラクター紹介


夏川悠真なつかわゆうま

高校生二年生

高校に入ってからいろいろあり親とは離れる。二年生になってから急にいじめられるようになる。

自殺をしていたら異世界に間違えて召喚されたという運が良いような悪いような人


ステラ・ハヴァード

魔具のお店「アルディナ」の店主

店員不足で悠真を拾った。マイペースな人

実はすごい魔力の持ち主だったりする


青崎あおざき わたる

高校生二年生

いじめの主犯者で異世界に選ばれし者として召喚される。悠真のことは召喚するときの記憶消去のため覚えていない

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