表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある☆物語 another star 2nd  作者: ゆのすけ/さのすけ
3/5

心は初めから持っているものでなく、誰かに与えられるものだと考えるのです。


だから、失ったとしても初めから持っていなかったとしても、誰かが抱き締めてくれるのなら、人間は何度でも愛することができる。


生きることは感じることだと考えるのです。

だから、感じることができなくなったら、人間は死ぬのかもしれない。


ナギはチャコがいる限り、いつか心を得ることができる。


そう信じています。



「チャコ隊長」

「んあ?↑」


チャコは眉を寄せると、眼を鋭利にする。(忠告すると怒っているのでなく、これが彼の真顔である)

泣く子が黙るどころか、チンピラも泣きだすであろう剣幕に、しかしナギは動じない。


「眉が連結しています」

「るっせーぞ、ゴラァ↓」


チャコがすごみながら、眉間を指先で撫でる。

気にしているようだ。

繋がっているのは毛が生えているからでなく、彼が眉間を寄せるからなのだが。


「さっさと用件を言わんが、用件を↓」

「サラマット隊長に頂いたトマトの苗が萎れました。原因究明を手伝って頂きたいのです」

「サラマドに聞けばええじゃろ↓」

「彼はわたしが嫌いなようですから」


淡々とした口調には、少しの揺らぎもない。


「あいづが?」

「わたしとの接触を避けているようなので」


マスクの下で、チャコが微笑む。

慣れない動きに筋肉がひきつり、ぎこちない笑顔ができあがった。


「嫌いな相手にさ贈り物するけ?↑あいづはどうしたらええが、わからんだけじゃよ→」


ナギは顎に手をやり、考え込んでいる。

チャコは彼女の手から、苗を受けとった。


「葉っぱが縮こまっとるけえ、肥料のやりすぎじゃ↑」

「肥料の袋にある説明書通り、正確に計算したのですが」

「植物は植物によって、肥料の量も違うけえ↓」


「随分と枯れてしもとるなあ↓」とチャコが変色してしまった葉をちぎる。


「あの」

「なんじゃあ?↑」

「苗は…枯れてしまいましたか?」


ナギの瞳が不安で揺れる。


―枯れたはずの彼女の心が揺れている。


「…枯らしてしまっては信頼関係が崩れ、今後の任務に支障を来す恐れがありますので」

「……」

「チャコ隊長?」

「あ…ああ↓」


茫然とするチャコをナギが覗きこんだ。

そこにあるのは、いつもと変わらない無表情な顔だ。


チャコは首をぶんぶんと振って、脳裏の記憶を霧散させた。


「苗はもう、死んでしまいましたか?」

「枯れてはいるが、死んでねえ。→愛情かけて育てりゃ、また育つち↓」

「植物は強いです」

「強いのは植物だけじゃあねえよ↑」


チャコは風に揺れる葉をそっと撫でた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ