第1話
すみません・・・・。
思いつきで始めました。
ごめんなさい・・・・。
亀更新です。
それでも、良いと言われる方。どうぞ、お楽しみ下さい。
異世界に来るとチートになれるっていうのはウソだった。
異世界に来ると逆ハーレムがあるっていうのはウソだった。
異世界に来ると魔法が使えるようになるっていうのはウソだった。
・・・・とにかく、異世界に来ると幸せになれると思ってたのに!!
「だ、だまされたっ・・・・・!!」
現在、私、伊崎 香夏子は窮地に立たされていた。
周りには見たこともない生物に、まるで豪華な食事を目の前にしているかのような目で囲まれていた。
「だ、誰か助けてぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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私、伊崎 香夏子。
呼んで字のごとく、夏生まれです。
生まれた過去の今日を祝ってもらう為、私は友人3人とファミレスにいた。
「あーぁ。私ももう17かぁ!!」
「早いよねー。高校入学してなんだかあっという間に年が過ぎて行っちゃった。17なんて大人だと思ってたのにぃ」
「ほんとぉ。早すぎてアッというまにおばさんになっちゃいそぉ~」
きゃはは~!!と、ファミレスに着くなり大声でそんな事を叫んだもんだから、子連れのママ達にぎろりと睨まれた。こ、こわ。
「でもさぁ、香夏子。本当に誕生日プレゼントがそんな本でよかったの?」
ありえない。と言った表情でそんな本といった包みをさす友人A。
「いいの!このファンタジーの素晴らしさを分かんないなんて、あんた達損してるよ!!」
貰ったプレゼントの本を抱え込むように友人たちにそう言い放つ。
「えー・・・。ファンタジーって一体いくつよ。アンタ。大体、そんなのって夢物語でしょぉ!」
批判の相次ぐ声に私は「シャラァァープっ!!」と、よく祖父が使う言葉(なぜ、英語??純日本人のくせにと常々思っているが・・・)で場を沈めた。
「ファンタジーを馬鹿にするな!!現実的じゃないところがいいんじゃないか!!なんでもできる能力!!すばらしい!!なぜかみんなを虜にするハーレム!!うらやましい!!何より魔法!!ありえん!!」
興奮のあまり立ちあがってしまった私を諌める為、友人より愛の籠った(そうであってほしい・・・)どつきを頂き、こほんと落ち着きながら席につく。
「・・・ともかく、非現実的だから、夢が見れるんでしょ」
そういう私の言葉に、友人Bが呆れたように溜息をついた。
「はいはい。わかったわかった。香夏子の話は耳が腐るほど聞いたって。それはいいから、とりあえず乾杯しようよ」
そう言って、グラスを傾けると皆が、友人Bの言葉を待ってましたとばかりにグラスを手に持った。
「じゃぁ、改めて。香夏子、17歳おめでとーーー!!」
「「おめでとー!!」」
ぱりーーーーん!!!
「ありが・・・・・ん??ぱりーん??」
グラスを合わせた際にあまりに勢いがつきすぎたのか?
何かが割れる音が聞こえた。
「誰かグラス割れてない??・・・・・・・・・・・・・ええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!」
周りに誰もいなくなってました。
・・・・それどころか、周り真っ暗なんですけどっ!?
「と、とりあえず、落ち着け。落ち着け、私」
周りが真っ暗な中、私の手に持つ荷物は、先程まで乾杯をしていたカルピスが入ったグラスと、誕生日プレゼントにもらったファンタジーな本だけだった。
「・・・・皆?どこ?」
とりあえず、見えないながら、グラスを床だと思わしき所に置き、本だけは小脇に抱える。
手探りで、周りを確認しようにも、何も感触を得られない。
「なんで!!なんなの!?ドッキリ!?そうか!ドッキリか!!」
そう思って、2・3歩前に向かって歩くと、置いたグラスを蹴ってしまい、入っていたカルピスが足にかかった。
「つめたっ!!ちょっと!!皆、どこよ!!めっちゃ吃驚したし!!もういいでしょ!!」
どれだけ叫んでも、友達達の声はしない。
なんだか、嫌な予感がして私はその場に座り込んだ。
「まさか。まさかね・・・。そんなこと・・・」
あるわけがない。と思いながら、私は小脇に抱えていた本を胸元に抱きかかえた。
その瞬間、まわりがぱぁっと明るくなった。