表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/100

第32話

総司の部屋 昼-


総司は今日も部屋にいる。天気がいいというのに、外へ出ることもしなかった。

ちょっと散歩に行くだけで、山野を連れて行くのが申し訳なかったからである。

本当ならば、今日は昼に巡察があったのだが、昨夜一番隊に突然出動が入り、朝方まで務めについていたので、土方が隊を変えてくれたのだった。


組んだ手を枕にして体を横たえていると、外から遠慮がちな山野の声がした。


「先生…起きていらっしゃいますか?」


総司は体をあわてて起こした。


総司「ええ、起きていますよ。お入りなさい。」


その総司の返事に、ふすまが遠慮がちにあき、頭を下げている山野と中條の姿が見えた。


総司「おや、お二人お揃いでしたか。」


総司はそう言って笑い、二人に入るように言った。


山野「いえ…今、中條さんと外に出ようかと話をしていたのですが、先生もご一緒にどうですか?」


総司の顔が明るくなった。


総司「ありがとう。ご一緒させてもらおう。」


山野と中條はほっとしたような表情で顔を見合わせた。

山野は総司が気遣っていることをわかっていたのである。想い人にも会いにいけない総司に何かしてあげられないかと憂いていたのだった。


……


3人は屯所から出た。


総司「さて、どこへ行こう?」


総司がそう言って、控えている二人に振り返ると、すかさず山野が「礼庵先生のところはどうでしょう」と言った。


総司「そうだな…そう言えば、最近礼庵殿の所へも行ってなかったし…。ちょっと顔を出しに行こうか。」


総司はすぐに足を進めた。昨夜、出動で体が疲れているはずなのだが、部屋でじっとしているよりずっと気持ちが軽い。

山野と中條も、何か嬉しそうにしてついてきている。


やがて礼庵の診療所についた。

総司は戸を開け、中へと声をかけた。

すぐに婆が出てきた。その時総司は、土間に女物の下駄があるのに気づいた。

総司は「あっ」と言って、山野と中條に振り返った。


総司「…やってくれたな。二人とも…」


山野と中條があわてた様子でお互いを指差し「中條さんの案です」「違います。山野さんの…」と罪のなすりあいをしている。


総司「二人とも同罪だよ。後で罰を与えるから覚悟しておきなさい。」


総司が苦笑しながらそう言うと、中條は青い顔をしたが、山野はにこにことして「わかりました」と答えている。山野は中條よりも付き合いが長い分、総司の冗談がわかっているのである。

総司は下駄を脱ぎ敷居へ足をかけた。


山野「先生、夕方には迎えに来ますので。どうぞごゆっくり。」


山野が突然そう言ったので、総司は驚いて二人に向いた。


総司「君達はどうするんだい?」

山野「中條さんと二人でそこらを回ってきます。」


総司は再び苦笑した。


総司「…これは、かなりきつい罰を用意しなければならないようだな。」

山野「楽しみにしています。」


中條が一層青くなったのを後目に、山野は相変わらずニコニコとした表情を崩さずに答え外へ出て行った。

総司は中條が不安そうな表情でこちらを見ているので、拳に息を吹きかけ、殴る真似をして見せた。

中條は驚いて肩をすくめて、あわてて外へ出て行った。

総司はくすくすと笑いながら、婆に勧められるまま中へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ