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第100話(了)

壬生寺-


総司は久しぶりに、壬生寺に行った。

壬生寺の境内には、子供たちが遊んでいる。

子ども達は、総司を見つけると、うれしそうに走り寄ってきた。


「おじちゃんっ!今日はゆっくりできるんか?」

「すぐに帰らへんか?」

「あの怖いおじちゃんは、今日はこおへんか?」


総司は、思わず吹き出した。怖いおじちゃんとは、たぶん土方のことだろう。


総司「ああ、来ないと思うよ。」


子ども達「わー」とうれしそうな声をあげる。


総司「でも、遊べるのは今から一刻だけだよ。」


子ども達、今度は「えー?」という不満の声で答える。


「えーやんかー!暗くなるまで遊んでやー」

「そうや、そうやー!」


夏は日が高い。暗くなるまでというと、冬だと真っ暗になる時間になるだろう。


総司「だめだよ。言う事をきかないと、おじちゃん帰るぞ。」


総司がそういうと、一人の女の子が急に泣き出した。


「いやや、いやや!…おじちゃん帰ったらいややぁ!」


総司はうろたえもせず、その女の子を抱き上げた。


総司「じゃぁ、おじちゃんの言うこと聞けるかい?」


女の子がうなずく。そして、周りの子ども達も必死にうなずいていた。


総司「よし…約束だぞ。」


総司がにこにこと微笑みながら、女の子を下ろした。


「おじちゃん!鬼ごっこやろう!」


一人の子どもが言った。


総司「いいよ、じゃぁ、最初はおじちゃんが鬼だ。十数えるから、逃げるんだよ。」


子ども達、それぞれ悲鳴をあげて散っていく。

しかし、総司に抱かれていた女の子だけは、総司を見上げたまま動かない。


総司「かなちゃん、どうしたんだい?…逃げなきゃ鬼になっちゃうぞ。」


総司がその女の子の前にしゃがんで言った。


女の子「…おじちゃん鬼じゃないよね…?」

総司「!?」

女の子「…おかあちゃんが…おじちゃんのこと「鬼」って言ってたの…」


女の子は、総司をじっと見つめている。総司は微笑んだ。


総司「おかあちゃんは正しいよ。…おじちゃんは鬼なんだ。」


女の子は、驚いたように目を見開いた。


女の子「…うそや…」

総司「おじちゃんは、かなちゃん達のためなら、いつでも鬼になれるんだ。」

女の子「…?」

総司「かなちゃん達を守るために、おじちゃんは鬼になる。かなちゃん達の前ではならないけれど…かなちゃん達を悲しませる人にだけ、鬼になる。…わかるかい?」


女の子は嬉しそうに笑って「うん」とうなずいた。総司は微笑んだ。


総司「…さぁ、かなちゃん、逃げて。」


女の子は、今になって悲鳴をあげて逃げて行った。

総司は、それから十を数える。


可愛い。子ども達がいとおしい。総司はそう思った。

子供たちに会う度に、この子達が危険な目に合わないように、幸せな日を送ることができるように、これからもずっと京を守っていこうと思う。

鬼と言われようと、人斬りと嫌われようと構わない。この子達のために、鬼になってやる。…そう強く思った。


総司「さぁ、行くぞー!」


遠く離れている子ども達が、またうれしそうに声をあげた。


(一番隊日記(壱)-新選組の鬼- 了)

最後までありがとうございましたー!


このたらたらたらたら(延々と続く)としたお話を、お気に入り小説またユーザーにご登録いただいた皆様、ご感想を下さった沖田様、まめ様、そして毎日必ずアクセスして下さる皆様のおかげで、途中で挫折しそうになりながらも、続けることができました。本当にありがとうございます!


これは、10年ほど前に、自分のHPでアップしていたもので、今回はそれを整理しながらアップしております。ですので、第2弾もあります。もちろん(笑)

最後がどうなるのか自分でもわからなかったので(^^;)サブタイトルを最後の最後でつけました。

なんとか収まりがついて、自己満足ではありますが、ほっとしております(笑)


次回も、どういうサブタイトルになるかまだわかりません。また、たらたらたらたら(延々と続く)とした日記になりますが、どうぞ始まりましたら、読んでやって下さいませ。


本当に、最後までありがとうございましたー(^^)


立花祐子

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