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雨のリズム  作者: 海来
53/94

[53] 別れの真実

闇の妖精とヒルートは洞窟の奥にいきなり現れた。

「掃除をしろ……とリクに言うヒルートの真意は?……

 青龍となったフーミィの後ろか、大きな声が洞窟内に響いた。

「ケー簡単じゃネーカ。金の瞳の忌み児、初めからあんたに頼めば良かったって事か。竜神の巫女の血を享けたユティの身体を抱えてこなくたって入れたじゃネーカ。やっぱあんたはの魔力はすげーわ」

 大きな声の主は、炎の民の長老ゴルザだと、洞窟の中の誰もが気付いたが、そのゴルザの顔は、昨朝にみたものとは全く違って、いやらしく歪んでいた。

 ヒルートが、洞窟の中をぐるりと見回して、納得したように頷いた。

「なるほど、老いぼれ竜が若返っていた理由はこれか……フーミィおめでとう。その身体大切にしろ、もう替えはないのだからな」

 炎の竜ブルーリーが鎌首を上げた。

「老いぼれ竜とは失礼な。もっと歳を取ったわ! で、お前は? その卑しい闇の妖精と仲良しのようだね。妖精使い。何のためだい」

 ヒルートの金の瞳が、闇の世界への扉を見つめた。

 青龍フーミィの後ろにあった扉に、今まで誰も気付いてはいなかった。

 扉は、あまりにも洞窟の岩に似ていて、唯一見分けられるのは、色が濃いこと位だった。

 ヒルートは、扉に近付くと、そっと触れてみた。

 ヒルートの手に、まるで生き物の鼓動のようなドクンドクンという音の無い音が伝わってくる。

 目をすっと細めたヒルートは、リクを見た。

「リク、レイン姫と仲良くこの洞窟を掃除するっていう気にはならないか? 長い間に溜まった汚れは、雨など降るときれいに流れたりしないだろうか……」

 リクが、レインと目を合わせてから、訝しげにヒルートを見つめた。

「ヒルート、どうしたんだ? 何言ってるか分かんねーし、それに、そんな奴と手を組んだわけネーよな」

 ヒルートが、クッと皮肉な笑みを浮かべた。

「その通り、手を組んだのだ。この扉を開けるためにな。そして、私は闇の世界へと旅立つ。その時にお前は、レイン姫と掃除を始めていろ」

 目をスッと細めると、リクはレインの横に行き、その手を取った。

「ヒルートに言われなくても、レンとは仲良くやるさ。心配すんなって、掃除もやってやるさ」

 自分の手を握った、リクの手と顔を交互に見ていたレインは、何が何だか分からなかった。

「二人ともおかしいわ。何を言っているの? リク、ヒルート様は闇の世界へ行くと言っているのよ。扉を開けてしまうわっ」

 洞窟の中にいた仲間達は、それぞれが身体に力が入った。

 ヒルートに扉を開けさせるわけにはいかないが、ヒルートがそうすると言うならそれなりの理由があるのだろうと、この中でその理由に気付いたのは、時を読むことが出来るリクだけなのだろうと、皆が理解していた。

 その時、殻を割って幼い竜神が這い出してきた。

 ミュァと小さく鳴くと、真っ直ぐにディアの方に向かって視線を向けた。

 その声に、いち早く反応したのは、ゴルザだった。

 人間の運動能力を遥かに越えた速さで、ゴルザは幼竜に近付き首を握っていた。

「なんだァこりゃァよ。竜神が弱ってるって、弱ってんじゃねーや、生まれ変わって力がほとんど無くなってるじゃネーカ。ケケケケケッ! 一気にここで殺しちまうのが一番だな」

 ゴルザが手に力を込めたのが分かる、幼竜の喉がキュルルと鳴るのが聞こえた。

「やめろ!!」

 幼竜の直ぐ横にいたタカが、ゴルザの腕にしがみ付いたが、すでに、タカの喉も幼竜と同じ様に締め上げられている。

「人間ふぜいが、俺様に向かって来ようなんて、こざかしい事を、小僧ゆっくり苦しんで死ね」

 皆が、タカと幼龍を救う為に、少し動きかけた時には、ゴルザの腕はタカと幼龍からはがされて、ねじ上げられていた。

 ゴルザの腕をひねり上げているしなやかな身体は、青く輝くウロコで覆われていた。

「ダメだよ。僕の大切な人を殺しちゃ。僕ね、誰とでもお友達になりたいんだけど、お前はいらないよ。竜神様も殺そうとしたでしょ。竜神様も僕のお友達だからねっ許さない」

 少し膨らんだ胸元にくびれた腰、ふくよかなヒップを、全て青いウロコに覆われた美しい少女は、ニッコリと微笑んだ。

 タカが、解放された喉を摩りながら見上げていた。

「フーミィなのか? 竜人りゅうびとになったんだ……」

 タカの呆けた顔に、フーミィはクククッと笑ってから、ゴルザの首に腕を巻きつけた。

「フーミィやめるんだ。私には、その闇の妖精が必要なんだ」

 叫んだヒルートに向かって、鋭い視線を送ったフーミィだったが、少しだけ腕を緩めた。

 その少しの隙を、闇の妖精が逃がすはずは無く、あっという間にヒルートの隣に戻っていた。

「あいにくだったな。ウロコ女! ケッもう少しで竜神の息の根を止めれたものを邪魔しやがって。だがな、みてろ直ぐに戻ってきてやる。悪魔になってからナ。その時は、皆まとめて喰ってやる」

「もういいっさァ行くぞ、闇の妖精。扉を開けるのを手伝え、人間の私一人では、魔力が強くても時間が掛かりすぎる」

 ヒルートはクイッと顎で扉を指すと、ゴルザを扉に向かわせる。

 洞窟の中で、それを阻止する為に、動き出そうとするローショとスカイとシルバースノーに、タカとフーミィ。

 リクは、ゆっくりと片手を横に出して、皆を制してから、レインをもう片方の腕に抱える。

 ゴルザが、闇の世界への扉に触れ、身体を強く押し付ける。

「オォ……心地良い、懐かしい闇の鼓動だ」

 そう言ったゴルザの耳の穴から、真っ黒な陰がぬるりと出てきて、そのまま扉の中に潜り込むように入っていく。

 完全に闇の妖精が抜け切ったゴルザの身体は、抜け殻のようにだらりと崩れ落ちた。

 間髪をいれず、ヒルートが呪文を唱え始め、自分の手を闇の世界への扉に押し当てる。 

 ヒルートの手を中心に、渦を巻くように、闇が、完全なる闇が見え始め、人一人が余裕で通れるほど大きくなっていく。

「今だ! リク!」

 叫んだヒルートの声に反応すように、リクは心の癒しの魔法を身体から放った。

 しっかりとレインを抱えたリクの魔法は、洞窟内に雨を降らせ始めた。

 レインも、リクの癒しの魔法を補うように、しっかりとリクにしがみ付く。

 二人の降らす雨が、暗くどんよりとしていた洞窟の中をほんわりと明るくしていく。

 雨が降っているはずなのに、洞窟の部屋は清々しい乾いた空気に満たされていく。

 レインがリクを見つめた。

「二人の雨のリズムね、命のリズム……」

「ああ、そして今日のは掃除もしてくれる」

 首を傾げたレインの頭の上を、黒い影がスッと飛び去った。

 皆が見つめる中、洞窟のあちこちから黒い影が浮き上がり、いくつかは入り口から入ってきて、闇の世界への扉に吸い込まれていった。

 驚きとともに見つめていたローショが声を出した。

「闇、闇の妖精か」

 ヒルートが振り向いてニヤッと笑った。

「一緒に闇の世界に連れて帰ろう。しばらくはこの辺りには現れることは無いだろうからな。ローショ……あとは頼みます。扉を守って下さい。二度と開かない様に……」

 その時になって、初めてヒルートがしようとしている事に、誰もが思い当たった。

 闇の世界への扉は、こちら側から開けることが出来るが、閉めることは出来ない。

 闇の世界から閉めることは出来るが、開けることはできない。

 タカとスカイが走りだした瞬間、叫び声で足を止めた。

 目覚めたばかりで、ふらつく頭と足を賢明に働かせながら、フィーナが手を口に当てていた。

「何処に行くのですか! ヒルート様、それは闇です。行くなら私を連れて行かなければ! 守人の私を置いて闇などに入ってはなりません!」

 もつれる足を前後に出して、フィーナはヒルートに近付こうとしている。

 ヒルートが、表情の無い白い顔でフィーナを見つめた。

「私にお前は必要ない。お前など足手まといなだけ、近寄るのではない。お前の守人の力はもう貰っているのでな」

 ヒルートは、表情を崩す事無く、扉に入っていこうとしていた。

 フィーナの口が、大きく開いた。

「ヒルート!!!!」

 叫び声が収まる頃には、ヒルートの姿は扉の中に消えていた。

 闇の世界への扉は、吸い込む闇の妖精もいなくなったのか、ただ闇だけが渦巻いていたが、やがてその姿を元の岩に戻していった。

「なぜ」

 誰もが口々に問う中、リクはレインとともに癒しの魔法を送り続けた。

 リクの腕に抱きしめられたまま、レインがあっと声を出した。

「フィーナの髪が……リク、彼女の心を癒してあげなくては」

 そう言われて、皆がフィーナを見ると、そこに座り込んでいるフィーナの髪は、真っ白になっていた。

 あわててリクが駆け寄った後、皆がフィーナを囲んだ。

 リクがフィーナの手に、自分の手を重ねようと思った時、フィーナがニコッと笑った。

「髪が白いのでしょう。そう……じゃァ私、上手くやれたのだわ。ヒルート様を守る魔法を全て送ることが出来た。だから、ヒルート様は帰ってくる、帰ってくるわ」

 笑ったフィーナの頬に、涙が一筋流れて落ちた。

「リク様、私は、フィーナは大丈夫です。ヒルート様が選ばれた道の苦難を思えば、こんな心の痛みなど何でもない。ヒルート様は、闇の扉を閉じ、一人でご自分の使命を果しに行かれた。闇の世界からリアルディアに送り込まれる闇のエネルギーを止める為に……」

 それまで黙っていた炎の竜ブルーリーがフンッと鼻を鳴らした。

『フィーナ、こっちへおいで。あの小生意気な妖精使いから聞いた話を教えてやろう。お前と私だけの内緒の話だ。いいね。さァフーミィ、そのを此処に連れてきてやっておくれ』

 青いウロコに覆われたフーミィは、軽々とフィーナを抱き上げた。

 フィーナが、驚いて声を上げる。

「キャッあなたがフーミィ……で、あっちがブルーリーなの? まァ寝ている間に、色々変わったのね。でも、素敵だわ、キラキラしていて白い肌によく映えてる」

「そうかな? ありがとう。でも、フィーナの白い髪も、キラキラしててとっても綺麗だよ」

 ウフッと笑いあってから、フィーナを炎の竜ブールーリーの横に降ろした。

 フィーナはブルーリーの瞳を見つめる。

「聞かせて、あの人の話した事を……」

 ブルーリーは長い首で、優しくフィーナを抱きしめた。

『聞かせてやろう……』












 ユティとガウは、自分達の前に存在するのであろうはずの、魔法の壁の前に座り込んでいた。

 そろそろ朝日が昇ってくるのだろう、岩壁の向こうが明るくなってきていた。完全に日が昇ってしまうにはもう少し掛かりそうだ。

 さっき、いくつかの黒い影がユティ達の頭の上を飛んで、洞窟の中に消えていった。ユティは不思議に思っていた、先程の魔術師は金の瞳の緑の王子だろう。あのような、金の瞳と金の髪に、人のものとは思われない白い肌と紅い唇は、きっとこの世に一人しかいないだろう。

 忌み児と呼ばれていると、村長むらおさガザと予言についての調べ物をしている時に聞いた事があった。彼がなぜゴルザとともに洞窟に入ったのか、闇の世界への扉を開ける理由は何なのか、ユティは色々な事を、何度も考えた。その結果、どうしてもこの魔法の壁を破って前に行かねばならない、いや、知らねばならないと思った。金の瞳の王子が絶大な魔力を持って生まれたとして、その王子が掛けた魔法を、自分の守りの魔法で打ち破ることで自らがダメージを受けたとしても、今、ユティは知りたかった。

 全ての事柄を、パズルをはめる様に知りたかった。

「ガウ……ガウだよね」

 ユティは、自分がガウだと信じた狼に向かって話しかけた。ガウは、クゥっと鳴いてユティの手を舐めた。

「やっぱり……ガウ、お前は魔法の狼なんだね……。頼みがある。この魔法の壁を破って、洞窟に入りたい。でも、俺には洞窟に下りる手段が無いんだ。お前、さっき飛んでたよな。俺を洞窟に下ろして欲しいんだ」

 ガルルルと唸って見えない壁に視線を移すガウ、まるで人間のように小さく首を振った。

「何故だガウッ助けてくれよ!」

 それまで動く様子もなくじっとしていたランガがのそっと起き上がった。

「ユティ……ガウは、あんたを心配している。この魔法の壁を破ろうとすれば、あんたが傷つくかもしれないから」

 ユティが振り向いた時に見えたランガの顔は、十年ほど昔に後ろを追いかけて来ていた幼い頃のランガの顔に見えた。

「ランガ、お前は忘れていたようだけど、お前がお前の家族に守られているように。俺は母の魔法に守られているから大丈夫」

 ランガは、立ち上がってユティに頭を下げた。

「ユティ、悪かった。今までの事を許して欲しい、すまない。こんなヒネクレ者だから闇の妖精なんかに付け入られたんだな……あんたは何一つ俺から奪ってなどいないのに」

 ユティは、ニッコリ笑ってランガの肩を叩いた。

「人は誰でも自分の大事なものは、誰にも渡したくない失いたくないと思うだろ? 俺だってそうだ。今、俺にとって大事なものがあるとしたら、それは知ることなんだ」

 見えない魔法の壁に近付くユティを、ガウとランガが止めようと前に出る。

「大丈夫だって。母の守りの魔法だけじゃない。金の瞳の王子は、俺達二人を救ってくれた。あのまま放って置いてもよかったのにだ。そんな人間が、人を酷く傷つける魔法を使うとは思えないんだ」

 そう言うと、ユティは見えない魔法の壁に手を突き出した。バチバチッと火花が散って、ユティの顔が歪む、手はプルプルと震えだし痙攣している。ガウとランガが、ユティを押し戻そうと身体に触れる一歩手前で大きな声がそれを遮った。

「ランガ! イヤッ化け物め、止めるんじゃっユティから離れろ。いいやワシの孫から出て行くんじゃ!!」

 その声は村長むらおさガザだった。

 ガザは、ランガに走り寄ると、手に持っていた霊玉をランガに押し当てようとして、自分の行動が的外れな事に気付いた。

「ランガ? 大丈夫なのか? ユッユティ、何を……長老衆、霊玉でユティの手の周りを囲め」

 そう言うと、もう一つ袋の中から出してきた霊玉を、ユティの見えない魔法の壁に差し込まれた手に押し付けた。ユティの手に押し付けられた霊玉を中心に、8個の霊玉が円を作り、それぞれが光を放ちながら、その光を繋げていく。最後に、ユティの手に押し当てられた霊玉と繋がった時、回りの空気がピシッと音を立てた。ユティは、ガクッと膝をついた。

「壊れた……やっぱり、酷い魔法ではなかったけれど、あの魔術師はここから誰も入れたくなったみたいだ。村長むらおさそれに長老の方々ありがとうございます。助かった」

 ガザは、ユティが魔法によって傷つけられていないとみると、洞窟の入り口に走りこんでいった。

「はァはァ……歳は取りたくないもんじゃ。ちょっと走っても息が切れおる。さァ皆の衆、入り口の穴の周りに霊玉を並べるんじゃ」

 長老達は、急いでガザの指示に従う。ガザが、自分が置いた霊玉とは別の、先程ユティの手に押し当てられていた霊玉を、後から入ってきたユティの目の前に差し出す。

「ユティ、お前が持つのじゃ。ランガの代わりにな、早くせんか」

村長むらおさ、俺にそんな資格はありません。それはランガに……」

 ガザは、ランガをチラッと見てからフンっと鼻を鳴らした。

「ランガは、まだひよっ子よ。これから先がまだまだあるわ。それに、資格なら、この長老衆の中にも怪しい者はおるぞ? 闇の妖精とやらに取り付かれ掛けたらしいわい。情けないことよのォ。さァ、くだらん事はいい、早くせんか」

 ガザに急かされて、ユティは霊玉を手に持ってランガを見た。ランガは、悪ぶれる様子も無く、微笑みながら頷いた。

「ランガ……」

 ユティが、ガザの横に跪き、霊玉を円の空いていた部分に置くと、先程と同じ様に霊玉が自ら光り始め、お互いに繋がり合い光の円を作る。ユティ達が見守る中、円の中に太いロープ状の光が現れ、もつれ合い、ロープの梯子を作っていく。それは、だんだんにハッキリと固まり、階段へと変化していった。

 その光景を口を開けて見ていたランガが声を上げた。

「階段……階段ができた。霊玉って何でも出来るのか?」

 霊玉をそのままにして、ガザが立ち上がった。

「霊玉とは、竜神の御前にいざなう唯一の道を作るもの。炎の民のおさと8人の長老衆に受け継がれ、一つでは輝かず、一つ欠けても輝かん。さあ、行くぞっ竜神の御前へ」

 ガザは、躊躇することなく、光の階段を降りていった。洞窟の中へ下りながら、ガザはランガに声を掛けた。

「ランガ! 我が孫よ。我らが戻るまで、霊玉を守るのじゃ。それと、狼……ガウを入れてはいかん。話し合え。よいな……」

 ランガは、入り口から聞こえてきた祖父の声に、ビクッとしてからガウを見た。

「ガウなのか……やっぱり。話し合えか。確か、ユティはガウは人間の言葉を理解してるって言ったよな。そうなのか? ガウ?」

 ガウは、ユティが下りて行った階段を食い入るように見つめていたが、ランガの声に振り返って、ガゥッと小さく唸った。

「ユティは大丈夫さ。皆が守ってくれる、ユティのお母さんもな。だから心配するな」

 ランガを見つめていたガウは、頷いたように見えた。そして、そのまま洞窟の入り口を出て行く、その口には大きな鳥の羽が咥えられたままだ。

「ガウっ何処に行く! おいっガウ。待てって、ここでユティを待たないのか? クソッいなくなっちまった。俺は探しにいけないんだぞ。勝手にしろっ老いぼれ狼が……ってもう年寄りじゃないか」

 洞窟の入り口を出たガウは、村人が供え物をするために登って来る道、(今回もガザ達はこの道を上がってきたのだが)、それを避けて直ぐに脇の獣道に入った。

 いつもの所に、大事な物はしまっておかなければならない。これから先も、ユティを守りたいのであれば、この雪鷲の羽根は失うわけにはいかない。今回は失敗だった、もっと早くに身体を交換しておくべきだったのに、村の様子がおかしくなり始めていたのが気になって、遅れてしまったのだ。これからはあまり歳を取りすぎる前に、早めに身体を交換する必要がある。

 ガウ、いや以前バグであり、その前は炎の民であった男は、その事を固く心に留めた。

















 



 


炎の民のおさガザと長老衆が洞窟へ下りて行った。

彼らに、リク達一行の全てを知られてしまうのか……

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