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endlless story

vivienのメンバーの皆さんの読み通り、


にわかには信じがたいコトなんだけど、


衝撃の事実。






wonderful☆world 2nd single 桜の樹の下で




1月・2月の売上・ダウンロード・有線リクエスト月間ランキング




2ヵ月連続で三冠達成!!!!!






しかも、






ミリオンセラー突破










やっちゃったぁぁぁぁぁ。










まるで信じられない。






時期的にいろんなメディアで行う“卒業生に聞く卒業式に歌いたい・歌う曲ランキング”で、






どのランキングでも、


並みいる名曲を押し退け、


しかもこの時期はいろんなミュージシャンの方々が卒業ソングを出す中、






1位になってしまった。





あり得ないって。


卒業式と言えば名曲が他にもたくさんあるじゃないのよ!!!!!


そりゃ“不朽の名曲を作る”って意気揚々と作ったよ!?


だからって1位にならなくても。




事務所には合唱用に編曲して下さいって依頼が殺到してるらしい。






ワケわからん。






芸能界って、怖い。






人生って、


何がどう転ぶか






ホントにわかんないね。





お陰で仕事が殺人的に入っちゃって、


ココのトコロ全然学校に行けてなかった。






やっと久しぶりに行ったら行ったでアタシは担任からとんでも無いコトを告げられる。






“「代表答辞、頼むな」”






聞いた瞬間、思わず声が裏返ってしまっていた。


“『はぁぁぁぁぁん!?』”


って。






“「あの場であんな啖呵を切れるヤツに頼まないワケにいかないだろ。よろしく」”






“あ゛ぁぁぁぁぁん!?!?!?!?!?”


まさか影響がここにまで来るとは誰が予想しただろうか・・・。


“『答辞って、フツー生徒会長がやるんじゃないの!?イイの?アタシで!おかしくない?』”


今までの通例として歴代生徒会長が答辞をやって来た。


“「その生徒会長からのご指名だ。あの会見並の勢いで頼むワ」”






何のこっちゃ・・・。






呆れる事態はソレに留まらなかった。






“「学校からの依頼でサプライズライヴ演るから」”


ある日の移動中、モトさんから告げられた。


絶句


するしかなかった。


ここまで来ると、さすがにコトバすら出なかった。


むしろクラクラした。


何なのよ一体・・・。


ワケが分からな過ぎ!!!!!


“バカじゃないの???”


そんなコトバすら浮かんでくるよ。






しばらく来てなかった学校は周りまでもが環境が一変していた。


イヤミ女子達がイヤミ女子じゃなくなっていたり、


関のファンクラブが何倍にも増えていたり、


しまいにはアタシのファンクラブまで出来てしまっていて。


アタシが知らない友人やアタシが知らない近所の人が一気に増えていたり。






この状況に当の本人、さっっっっっぱり着いていけてない。


「すげぇな」


ある日の帰り道、関がボソッと呟いた。


『ホントだねぇ。何だか別の世界に来ちゃったみたいだよ』


感情込み込みで。


「すげぇな、オマエって」


『はぁ???』


突っ込まずにはいられなかった。


「この反響、9割9分オマエだろ」


関?


何てビミョーな表情してんの?


「音楽番組で演奏すんのはオマエのバージョンばっかだし」


『ひがんでんの?』


って軽く茶化してみたけど、


「アホか」


とただ一言だけ。


ヘンなヤツ・・・。


『でもさぁ、環境変わりすぎじゃない?』


アタシが何の気なしに無邪気に言っても、


「あぁ」


ダケ。


話にノって来る気全くナシ・・・。


何だ?一体。


何か気になるなぁ、関の表情。。。


『別にアタシがスゴいワケじゃないでしょ?たまたまだよ。何気にしてんのよ、関らしくない』


どんなにアタシがテンションをあげても関はバックテンションのままだった。


「気にしてねぇっての。ただホントに感心してるだけだよ」


やっぱりヘンだ、こいつ。


『アンタさぁ、ちょいちょい様子おかしくなるのヤメてくんない?気味悪いんだけど』


わざと煽ってみる。


「オマエがオマエじゃないみたいに思えてくるんだよ!!グレイトロックの時もこの前の会見の時も。“コイツマジで3年間一緒だった彩沢陽依なのか”って」






関?






アンタそんなコト・・・。


正直驚いた。


“あの”レコーディングボイコット事件の後には解決したもんだって勝手に思ってたから。


『まだ収まってなかったの?いつまでグチグチ言ってんのよ!!ったく情けないなぁ』


コレもわざと。


まぁ半分以上呆れてるけどね。


「うるせぇ!!」


ありゃ。


怒ってるよ。


照れ隠しなのがモロバレだっての。


怒ってるよ純ちゃん。。。


ったく!ちっさいオトコだねぇ相変わらず。


アタシはふてくされたままの関の前に立ちはだかった。


「何だよ」


『何だよじゃないよ!ちょっと来て!!』


素直じゃない関の手を掴みアタシは道路脇の土手に駆け上がった。


「何だよ!」


ビックリして動揺してる。


土手に駆け上がったトコロで関の手を離しアタシは土手の斜面に座った。


「何やってんだよ」


まだぶすくれてる。


『イイから座って』


アタシは構わずに。


ったくこのオトコはどこまで情けないんだよ。


アタシは関が座ったのを横目で確認して、まっすぐ川をみつめて話し始めた。


『アンタがどう思おうがアタシはアタシだよ。何も変わってないよ。アンタがそう思うなら、ソレはアンタが変わっちゃったって事なんじゃないの?』


・・・言い過ぎか?


いゃ、んなコタないよね。


『いつも言ってるけど、今のアタシがあるのは関のおかげ以外に考えられないし、今まで何度もアンタに助けてもらってきたコトは、何一つ変わらないよ?』


夕陽が水面に映ってとってもまぶしい。


『仲間がいるって、モノ凄くチカラになるんだよ?』


チラッと関を見た。


『アンタやメンバーがいてくれるから出来るって部分もあんの!!そもそも紅一点って、アンタ達には理解しがたいくらい大変なプレッシャーなんだよ?』


言いながらアタシはあるコトを思い出した。


『次に弱音吐いたらクビって言ったでしょ!しっかりしてよ』


優しく言ってみた。


あのプチボイコットの後、アタシは関にそう警告していた。


もちろんアタシにそんな権限はないのだけれど。


何も言えないでいる関に、アタシは決した。


もう1つ思い出したコト。


『実はさぁ、』


ちょっとためらうなぁ、さすがに。


ホンの少し沈黙。


『アンタがメンバーで加入するって話の時、アンタには勢い混じりであんな偉そうなコト言ったけどさぁ』


やっぱり躊躇しちゃうなあんなコト。


でもコレ以上ちっさいオトコになって欲しくないからね。


彩沢陽依、白状しまっす!!


小さく溜め息。


『一晩経ったら考えが変わっちゃってさぁ』


関はじっとアタシを見たまま黙っている。


『“今までずっと1人で頑張って来たのに何で今更メンバー増やすの?アタシじゃダメだったの???”って』


言っちゃったぁぁぁ。


関にだけは言いたくなかったのにな。


って言うか今の関には逆効果かなぁ。


でも続ける。


『テッちゃんの言ってるコトはもちろん理解出来たよ?現にまぁクンとも意見が合った時ってのはバンドとして間違った判断じゃないコトなのはバンド内の暗黙の了解だし』


チラチラ関の表情を伺う。


凄くビックリしてる。


『全国大会前にみんなの雰囲気が悪くなった時にアタシがブチ切れした時に、“ヤローだけでキッチリカタ付けるから”って言われた時だって凄く寂しかった。何となく疎外感を感じて。アタシだってちっさいオンナなんだよ、アンタだけじゃないの!!』


やっとまともに関の方を見る。


黙ったままの関。


耐えられずにアタシはなおも続けた。


『サヨリがさぁ、メチャクチャキラキラしながら言ったの、“ワンワー無敵じゃん”って。ソレでふっきれたんだ。ワンワーの為ならいっかって』


沈む夕陽に向かって、アタシは関もこのコトで吹っ切れてくれるコトを祈った。


関の表情が少しダケしかめっ面に変わった。


ん〜、まだダメか?


仕方無いなぁ!!


でも無理無いかなぁ。


『サヨリがこうも言ってたんだよね。“他の、知らない人ならまだしも親友の関っちなんだよ?最強コンビ誕生じゃん!!”ってね』


「最強コンビ?」


おっ!!やっと喋った!!!


しかも笑ってる!!


良かったぁ。


ホッとひと安心。


『大体さぁ、アタシの最初の頃のコト、覚えてるでしょ?』


思いだすだけで笑っちゃうよ。


『あんなハイレベルなメンバーに囲まれて、自信無かった時、励ましてくれたのはアンタじゃない。相方がアタシじゃダメだっての?アタシは、サヨリやボス達も言ってた様に、アンタならって納得出来たんだから!!』


わざとらしくふて腐れてみる。


関はフッと笑った後、ゆっくり立ち上がった。


「そうだな」


ってダケ。


その後はしょーもない話をしながら帰った。










でもアイツ、


何であそこまで思い詰めるんだろう。


ちょっと尋常じゃないよねぇ。


いくらなんでも気になるぞ?


夜龍神サンに相談してみた。


またしても龍神サン。


関とは言えメンバーのコトだからまずは第3者の龍神サンからかなと思って。


「関の、オトコとしてのプライドなんじゃないかな、たぶん」


ショックだった。


“オトコとしてのプライド”・・・。


また“ヤローだけでキッチリカタ付けるから”の時と同じ様な、何とも言い様のない疎外感を感じた。


「オトコってさぁ、オンナには理解しがたいレベルのチンケなプライドで出来てんだよ」


“オンナには理解しがたいレベル”


またコレか。


カベにぶつかる度に“男と女の違い”が出てくるね。


「でも、何となく関の言うコトわかるな」


えっ?・・・


龍神サンが?


オトナの龍神サンが小僧関の言うコトが解るって?


「出逢った時は音楽のコトなんて何もわからなかったハズの同級生の女子が、気がついたら自分より成長してたなんて、オレでも戸惑うだろうよ」


龍神・・・、サ、ン。。。


「身近な人が遠くに見えるって、結構キツいぞ」


そんなぁ。


「だからと言ってヒヨがどうこう出来る問題じゃないから、ヒヨは黙ってどっしりと構えてるしかないけどな」


龍神サンは笑いながら言うけど、


アタシは正直ツラかった。


関がそんなにアタシのコトで思い詰めるなんて。


鳥肌が立ってる。


アタシの中では関は何1つ変わってなかったのに。


“関は関”だったのに。


“小僧関”だったのに。


関とは違う意味で軽くショックだ。


「お前らホントにいいコンビだな」


えっ?


龍神サン、呆れてる?


今、ハナで笑わなかった??


「羨ましいよ」


何と!!!!!!!!!!


天下の龍神サンに羨ましがられたっっっ↑↑↑↑↑


おこがましいにも程があるっっっ!!!!!






でも、


HPのカキコミにもアタシと関の関係は良く出てくるよね。


“ホントに仲イイね。羨ましい”


とか、


“オレもひーちゃんみたいな相棒が欲しい”


とか、


“関!ひーちゃんはオマエに任せた!!”


とか。


ずっと笑い事にしてたけど、良く良く考えると恐ろしいよね。


“関の分際で”


とかバカにしたりもしてたけど、


遠くに見えるのはアタシじゃなくてアンタだよ、


関・・・。






ウチらの、


バカやってふざけあって、


どうしようもないコトで笑い合えてた高校3年間が、


遠い昔に思えるよ・・・。


なんだかモーレツにフクザツ。


いつまでも関は関だと思ってたんだけどね。


“ヒヨが遠くに見える”って言ってるアンタが、


今、アタシには無性に遠くに見えるよ。


何なんだろ、アタシと関の関係って。


今までは親友だと思ってたけど、


“男と女を越えた”仲だと思ってたけど、、、


違ってたの???


























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