悪魔の討伐後
「炎鎖」
リアムが杖をかざすと先端から炎の鎖が生える。
「くたばれ!」
リアムの鎖がレオに迫った。
レオは、疲労感で足に鎖でもつけているように体が重く、動くことができない。
「水結界」
レオはとっさに目の前に結界を張るが、明らかに魔力不足で一撃を受け止めただけでひびが入る。
「電流…」
反撃に転じようとしたところで、ユリウスの叫び声が飛んでくる。
「やめるのだ!」
レオと三賢者の間にユリウスが割って入る。
「お前たち、仲間内で争っている場合か?我らは、民を救わねばならん。魔物だから、ダメ?人間だからいい?余は、そのようなことはないと思う」
怒っているところなど見たことがない三賢者たちは、思わずその怒声に押し黙る。
ルーバとアルべトロフの視線がリアムに集中する。
注目されたリアムは、覚悟を決めたように口を開いた。
「…し、しかし陛下、魔物のことを認めれば千年にわたって守られてきた我が国の指針が破られることになります。それに、魔物の制圧は先代から受け継いだ、わたくしの使命の一つ。このリアム、老いようとも、そのようなことは…」
「ならば、去るのだ」
逆らうところなど見たことがないユリウスが強く出てきたので、リアムは一瞬押し黙ったが、再び声を大にしていった。
今度は、二人に注目されたからではない。
「陛下…」
心の内の静かな怒りを感じて、ユリウスはビクッと反応するがそれでも屈しない。
そして、覚悟を決めたように口を開いた。
「「西方教王」の地位を剥奪する。志を共にした仲間として…残念だ」
地位の剥奪を宣言されたリアムは、ユリウスに背を向けた。
そして、落胆したような口調で話しだす。
「陛下…。わたくしも…」
「夜が明けます。帝宮に戻られたほうがよろしいかと」
アルバドが冷静な口調で割って入った。
確かに、月は沈みかけている。
だが、何か、リアムの話を遮ろうとしたような入り方だった。
「陛下…」
リアムは、誰にも聞こえないような小さな声でつぶやくと、足元に発動したの魔法陣の中へ消えていった。
「では、失礼します」
リアムが去ると、残りの三賢者も魔法陣の中へ消えていく。
顔を半分隠した月は、青白い光でレオ達のいる丘を淡く照らし出した。
「先ほどは、部下が失礼をした」
そう言ってユリウスは頭を下げる。
「気にするな。さて、夜も更けた。人間は睡眠が必要なのだろ?帰るとしよう」
レオはそう言って足元に魔法陣を発動する。
その魔法陣は、月光以上に強い光を放つと、レオとユリウス、そしてアルバドを包むと、やがて消えた。
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