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追放から始まる逆転劇  作者: 匿名
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討伐完了!二千体の悪魔

帝都の北西にある城門のあたりを見回すことのできる丘の上に転移する。


先に転移していた俺たちの下に、近くの地面が青く光ったかと思うと、魔法陣が現れて遅れて三人の老人とアルバドが姿を現した。


「よく来てくれた」


三人の老人はユリウスの声に恭しく一礼すると、頭を上げた。


三人とも、白い顎ひげを蓄えていて、ゆうに八十は超えていそうだ。



「紹介しよう。先代から帝国に仕えている「三賢者」だ」


「三賢者?」


「三人は義兄弟の契りを結んでいて、百年ほど前から帝国に忠誠を誓う忠臣たち。余も頼りにしておる」


聞けば、一番上の兄分のリアムは光魔法の使い手で、今は「西方教王」という地位についていて、帝国の西を宗教の力で治めているのだとか。


赤と白の上質なローブを着ていて「西方教王」の証である金の王冠をかぶっている。


その下のルーバは辺境の教会出身で、今は国境付近の城で城主の相談役をしているのだとか。


相談役だからか、地味な服装で、緑と白のローブを羽織っている。


一番下のアルべトロフは、帝国中を転々として各地にいる魔導士と共に対魔物の研究をしているのだとか。


青紫のローブが不気味だ。


三人とも、一見普通の老人にしか見えないが、魔力を押さえているな…。


これほど巧妙に隠すなど、うぬぼれているつもりはないが、俺にも難しい芸当。


油断ならない…。


それにしても、末弟のアルべトロフか。


魔力こそ兄二人に比べると少なそうだが、心の中を勘繰られているようでどこか緊張する…。


一応、ユリウスには口止めしてあるが、俺が魔物だとバレた時は厄介だな。


「時間はない。手短に話す。今回呼んだ理由は一つ。悪魔を召喚して力で手なずけるのを手伝ってほしいからだ」


「悪魔…。なるほど。しかし、いったいどれほどの悪魔なのじゃ?」


リアムが質問する。


その声は老獪で油断ならない。


「そうだな、ユリウスいわく二千体ほどだそうだ」


「「「二千体ですと…!?」」」


流石は三兄弟なのか、そろって同じ返答をする。


「あぁ、流石に一人で相手するには不安が残ると思ってな。そこで、お前たちには結界を張って周りに被害が出ないようにしてほしい。そうすれば、俺も気兼ねなく全力を出すことができる」


「「「…」」」


あまりに突拍子もない作戦に三賢者たちが絶句する。


「では、始めるぞ」


胸元から杖を取り出しやる気十分だというのにルーバが待ったをかけた。


「ま、待つのだ」


「何か質問か?」


「いや、二千体もの悪魔を相手など…」


「三賢者」ともあろうものが…弱気、いや慎重ととっておこう。


だが、どう説得すべき…。


「ルーバ―、この者が例の数十人を転移させた者なのだ」


説得など考える間もなく、ユリウスが割って入って説得を試みる。


だが、ルーバは半信半疑なのか、怪しむように俺を足から頭までじろじろと観察する。


「貴殿が…?」


「あぁ、分かったら早く結界を張ってくれ」


「いや、待て」


今度止めたのはリアムだ。


「いくらそれほどの事が出来ようとも悪魔は強力。せいぜい数十体程度ならば我らも相手できるが、百体規模になってくると我ら三賢も相手をすることができない強敵。それを二千体相手など…」


リアムは悪魔の危険度を熱弁しだす。


長いな…。


「ユリウス、紙をくれ。召喚する」


ユリウスは話を聞き込んでボォっとしているが、半場強引にとると、呪札をバラまき聞いていた呪文を唱える。


「現れよ、黒き魔の化身。この世に姿を現し、我と契約したまえ」


夜空に散らばった呪札が黒く光る。


そして、呪札から全身黒で、頭から角をはやし、矢印のような尻尾を持つ悪魔が召喚された。


勿論、数体ではない。


次々新たな悪魔が召喚される。


「な…なんということを…」


絶叫する三賢者の声が聞こえる。


「早く結界を。悪魔が散らばると厄介だぞ」


慌てたように三賢者たちが杖を取り出し、詠唱する。


「「「神聖結界セイクレットシールド」」」


三人の杖から放たれた白い光が合流すると、俺と悪魔を囲う。


…これで、舞台の準備は完了だな。


ただ、悪魔用の結界に弱体化効果が付与されているとはな…。


魔物である俺にまで影響が来る。


いや…問題ないな。


大火炎球ビッグ・ファイアーボール


放った火炎球が十体ほどの悪魔を吹き飛ばす。


だが、倒した数以上に次の悪魔が召喚されていく。


流電砲エレキ・キャノン


水砲ウォーター・キャノン


「黒雷流星群」


次々と悪魔を気絶させていく。


従わせる予定なのに数体殺してしまったが、仕方ない。


倒しても倒してもきりがない。


もう、二百体は倒している気がする。


だが、それでも次々と襲ってくる。


最初は一方的だった形成も徐々に逆転しつつもある。


「後ろだ!」


危ない。


ユリウスの叫びがなければ攻撃をもろに受けていた。


後ろから槍でついてきた小物そうな悪魔の鳩尾を殴ると、火炎球ファイアー・ボールを食らわせる。


きりが…ねぇ。


いくら倒しても、次の悪魔がやってくる。


外からは三賢者たちの悲痛な声が聞こえる。


数十年力を封印していたつけがまわってきたな。


言い訳じゃないが、昔なら余裕とは言わないまでも、苦労はしなかっただろうが…。


最終手段を使う…か。


正体が…まずバレるだろうな。


いや、仕方ない。




目の前に魔法陣を発動する。


そこからは黒い宝玉が出てくる。


「暗黒宝永除法」


レオが詠唱すると、強力な力が働いて宝玉の中へ悪魔たちが吸い込まれていく。


数にして、およそ千五百体。


残っていた悪魔全てだ。


「封印」


悪魔を吸い込み切った宝玉は俺の一言でその口を閉じる。


結界は今一撃で壊れたが、残った悪魔もリアムの魔光線に貫かれてバタッと倒れる。


だが、今の一撃で魔力は底をつき、全身の筋肉が痙攣する。


「何とか…勝利か」


震える手を見つめ、荒い呼吸を整える。


悪魔はよっぽど変わり者でない限り相手に気絶させられるか封印されるか、とにかく何らかの方法で無力化された場合はおとなしく従う。


だが、俺も…。


「昔なら…あと二、三回は使えたんだが…」


荒れた呼吸と共に誰にも聞こえないよう、ひっそりとぐちる。


「勝利だ!」


珍しく子供らしさを出したユリウスがレオに駆け寄って背中を抱く。


「ユリウス、任務は成功か?」


ユリウスは深く頷いて笑顔を見せる。


何とか、だったが…。


「魔物風情が、陛下に近づくでない」


上から冷酷な声をかけられる。


老獪さがあり、油断ならないその声、リアムだ。


はぁ…。


どうやら、結局…魔物ということはバレたようだ。


「何だ?」


リアムは、問いかけに答える気がないのか杖をかまえる。


「他に、手段はないのか?」


俺の問いかけにリアムを筆頭にする三賢者は頷く。


魔力が尽きかけた今、一人ならまだしも三人相手など勝てる気がしない。


だが、やるしかない。


覚悟を決め、痙攣する筋肉を気合で抑えて立ち上がる。

読んでくれてありがとうございます。

あらすじにはさっさとスローライフに戻るとか書いてるのに全然それは遠そうです。

多分、最終回付近か…中盤で一定期間入れるぐらいかなぁ?

良かったら下にある☆☆☆☆☆を押して、応援よろしく!

右下のブックマーク登録も是非押してね。次話が出た時にすぐわかるよ。

それでは、また次回。バイバイ~!

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