混乱終結
夜明けとともに、帝国の混乱は終結へと向かっていった。
ユリウスが自ら陣頭指揮を執る帝宮には、続々と縄を結ばれた開戦派の貴族たちが連行されてきた。
中には、本当に国家のためになると思って開戦を主張していた貴族や、バンウォンらに騙されていた貴族たちもいたが、それはほんの一部。
ほとんどの貴族たちは、屋敷から証拠が発見されるか、ユリウスに私欲のために開戦を主張していたと判断し、牢へと連行されていった。
伝説の悪魔、メギキュラや、西方教王リアム、宰相バンウォンなども例外ではない。
「皇帝陛下、わたくしは国のためを思い…」
「わたくしは、バンウォン宰相に騙されていただけなのです…」
惨めったらしくユリウスに泣きつく貴族に唾が出る思いでバンウォンら開戦派の幹部陣はアルバドに連行されていく。
「皇帝陛下、おまちくださぃ…」
「お、お助け、命だけは!」
自らの身が危機にさらされたことのない貴族たちは鼻水を流し、涙ながらにユリウスに慈悲を受けようとすがるが、その前に立ちふさがる近衛騎士に槍で殴られ後ろへと倒れる。
それでも、芋虫のように起き上がって慈悲にすがろうと貴族たちがユリウスへと近づき、また殴り倒される。
中には近衛騎士の態度に憤慨して暴れだすものもいるが、鍛え上げられた近衛騎士の一撃を受けて血を吐いて終わりだ。
そして、やがて暴れていた貴族も減り、遂に最後の十名余りが近衛騎士に牢へと連行されていった。
その途端、場に静寂が訪れる。
思えば、その日の月は満月でとても明るかった。
その場に残った二十程の近衛騎士たちは、平時のように警備に当たるが、おのおの考えていることがあるのか、その表情には達成感が垣間見える。
レオとユリウスは何も言わない。
お互いが、何かを思い出し、考えにふけっているのだろう。
「いやぁ、あれほど威張っていたバンウォンが連行されて痛快、痛快」
バンウォンの弟のロビンソンは、自分で言っておいて、二人が何も言わないと、悲しいそうな乾いた笑いでごまかして、月を見上げた。
「ハァ、猛威を振るっていたバンウォンがあぁも落ちぶれるとなると…弟としても、感じるところがあるな」
酔いもさめてきた反動か、ロビンソンは涙を浮かべむなしそうに月を見上げた。
「ロビンソン?だったか?」
レオに問いかけられ、ロビンソンはコクコクと頷いて、袖で涙を拭った。
「国家の転覆を企てたとなると、人間について詳しくない俺でも一族そろってなにかしら刑を受けるのは分かる。魔国でもそうだった」
「…魔国?あぁ、魔物だったのか。道理で異常な強さなわけだ。あぁ、なんで陛下とつるんでるのかは知らんが、いい奴だな。ま、俺もそれは覚悟してる。気にするな」
レオも、今夜ばかりは、また酔いがまわってきたロビンソンが肩を組んでも嫌そうな顔をしない。
静かに、夜空を眺めてつぶやく。
「いい奴か…」
南南東の空に浮かぶシリウスがキラリと光る。
あいつは確か、レムとかいう奴の看病に必死になってたが…大丈夫だったんだろうな。
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それではまた次回。バイバイ~!




