ユリウス・レオの華麗な逮捕劇
腰まで流されたシリウスの銀髪に青いラインが入ったかと思うと、赤と青の両目に輝き気が現れる。
「合って数十分だが、レムを殺したのは許せないな」
シリウスはクールな容姿とは裏腹に一切の飾り気ない「白杉」を両手で握ってかまえる。
「それが、奥の手か…」
ミニックが小さくつぶやいて剣をかまえる。
ミニックが剣を強く握りしめると黒いオーラが刀にまとわれた。
「魔剣士か」
アルバドも小さくつぶやいたかと思うと、腕の怪我を感じさせない自然な動きで剣をかまえる。
「あんまり無理はするなよ。腕、怪我してんだから」
「心配無用だ」
手短に会話を終えると、二人はミニックに急接近する。
「雪見月・白龍」
急接近した二人を龍のようにうねる太刀筋がほほかすめた。
二人の顔に小さな傷跡ができる。
剣士ではなく、魔剣士として本気を出したミニックの実力はアルバドを凌駕し、シリウスとも並ぶ。
シリウスはともかく、アルバドが浅い傷しか負わなかったのはミニックの警告ともとれるだろう。
「やるな」
一瞬で危険なのを感じ取ったシリウスは傷口からタラリとたれた血を拭って剣をかまえなおした。
そして、シリウスが深呼吸すると、気配が変わる。
「二ノ型・静寂」
次の瞬間、ミニックの顔にできた小さな傷から血が飛び出る。
「お前…」
ミニックは傷をつけられたことが気に食わないのか、一瞬で背後に回ったシリウスに憎しみのこもった目線を向けた。
シリウスは、ミニックが向き直って剣をかまえても動かない、いや動く必要がなかった。
「雑魚が…」
シリウスの小さな呟き。
刀を鞘に納める。
その瞬間、ミニックの首が落ちた。
「西方教王、皇帝陛下が…」
「リアムはいるか?」
ここは、ワイプ・メーン城。
皇帝が訪れたことなどない。
まずは、出迎えるとなると立たなければいけないと思い、リアムは紅茶を机に置いて立ち上がった。
厄介な…。
リアムは逃げてきたバンウォンに伝えられた帝都での火の手が自分にまで回ってきたのだろうと察しを付けた。
「バンウォン、そなたがいるとバレるのはまずい。そこに隠れ…」
リアムが早口に小声で伝えていると、突然ドアが勢いよく開けられた。
「リアム、そなたがなぜバンウォンと一緒にいるのだ?」
「皇帝陛下、バンウォン宰相がどうかいたしましたか?」
「しらばっくれるな!」
聞いたことのないユリウスの罵声に思わずリアムとバンウォンは委縮した。
だが、リアムの西方教王としての矜持が何も言い返さないなどと言うことは許さず、そして、自分がこの無能で幼い皇帝に臆したことが我慢ならなかった。
「陛下!…一体、何のことでしょう?」
思わず飛び出た罵声を何とか理性で抑え、呼吸を荒くし話し終えるとドサッと椅子の上に腰を下ろした。
「おい、こいつが全部白状したぞ」
レオが、鎖で動きを封じられたメギキュラを連れて室内へとつかつかと入り込んだ。
そして、メギキュラをリアムの前へどさりと座らせる。
(まさか、メギキュラが敗北したのか?あの伝説の悪魔を?ありえない…。いや、だとしたら奴は魔王級の力を持っていることになる…)
「な、何を言っておられるのですか、陛下。そのようなメイドの言うことを信じるのですか?」
証拠を突きつけられ一気に勢いを失ったリアムがたじたじに言い訳をするも、レオが剣を抜くと押し黙ることになった。
リアムが押し黙ったのを見ると、ユリウスが口を開いた。
「仮にだ、そのメイドの言っていることが嘘だとしよう。だが、西方教の教義に魔物を悪と定める文言があったはずだが?西方教王たるリアム、そなたがその教義を破っていることについては言い訳など出来ぬであろう!」
その一言に思わずリアムは言いよどむ。
(こんな予想外の魔物が乱入しなければ帝国は完全にわしの手に落ちていたはずだ…。虎の威を借る小癪な狐め…。あんな魔物がいなければここで皇帝を殺して貴族と共に国家を新生させることもできただろうに…。)
「リアム、そなたを教義を破り、国家を転覆させようとした罪で投獄する」
「…」
もはや、リアムとバンウォンに言い逃れるすべはない。
屋敷が制圧されたとなれば時期に証拠の物品も見つかる。
バンウォンは賄賂や収賄の罪で、リアムは魔物などの違法輸入の罪でいずれ投獄されることになる。
こんな予想外存在が現れなければ、策が失敗したとしても、軍事力で皇族を根絶やしにしても良かった。
だが…。
リアムとバンウォンは後悔の念に包まれながらレオに連行されていった。
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