再開!魔王城時代の親友
腰まで伸ばされた銀髪はつやつやで、腰に携えられた刀の鞘には「白杉」の字が。
実際には百数十年生きているのに、二十程に見えるその顔には剣の傷跡が残っている。
こいつと合うのは数週間――魔王城を出てからぶりだ。
「なんで、お前が?」
「相変わらず、冷たいなぁ。魔力を隠していたことをバラさなかった恩はどうなった?」
そう言って椅子から立ち上がってべたつこうとするこいつを座らせる。
「それで、シリウス、なんでお前が?」
「あぁ、俺も魔王城から脱出してきた」
「脱出してきた?」
「お前、軽いことのことに言うがなぁ、魔王との契約なんて…」
「偽名で契約してた」
…ギメイ?
偽名の事か?
「はぁ?」
思わず口から出た間抜けな声を飲み込もうとするが、飲み込み切ることなんてできるはずもない。
「どういうことなんだ?詳しく説明してくれ」
「いや、俺は元々魔王の直属の領地じゃなくて植民地出身だし、どうにも魔王は信用ならない気がしたから、偽名を名乗ったんだが、あいつはすぐに信じ込んで笑うのをこらえるのが大変だったな」
そう言ってシリウスは思い出したのか大爆笑する。
俺もつられて思わず口の端が吊り上がる。
威厳の塊で滑降で油断ならないあの魔王がよく考えもしないこいつにうまく扱われているなど、滑稽でならない。
俺もつられて大爆笑する。
「それで、お前は偽名を名乗ったのなら契約にも縛られないし、なんでさっさと自由の身にならなかったんだ?」
ひととおり、笑いの波がおさまると、聞いてみたかったことを聞いてみる。
「いや、なんか一人だけ去るのも違うかなー?みたいな?仲のいいやつを置いていくのは結構つらいし…」
「お気楽な奴だな。お前の頭はお花畑か?」
「ハハハ、そうかもしれない」
そう言ってシリウスは幻術魔法で自分の頭の上に花を出す。
シリウスのいたずらっぽい笑みに、俺は苦笑する。
そんな魔王城にいた時の日常の一コマは魔王城を脱出してもなお、続けることができた。
もしかしたら、無意識のうちに一人だけ逃げたのに、罪悪感を感じていたのかもしれない。
だが、シリウスはこうして俺の下に来てくれた。
きっと、いやそんなあまい言葉で言い表すのはあれだが、きっと、他の仲間たちとも会える気がする。
ユリウスの寝所にアルバドが慌ただしく駆け込んできた。
息も切れ切れでその表情は珍しく焦っているようだった。
「ん…?なにごとじゃ?」
ユリウスは眠そうに目をこりながらベットから起き上がった。
「皇帝陛下、軍が、軍が出陣いたしました!」
「軍だと!?余は出陣の命令など出しておらぬ!」
ユリウスの叫びに、アルバドは言いにくそうに渋々と言った様子で口を開いた。
「それが、西方教王を筆頭に宰相のバンウォン様や軍事顧問のストラー伯爵などが連名で軍を動かしたようです」
「な、リアムの名もあったのか?」
ユリウスの声に、アルバドは苦々し気に頷いた。
「恐らく、西方教王の地位の剥奪を危惧して貴族側に寝返ったのでしょう」
「アルバド、急いで使いをとばして軍を止めるのだ」
「陛下、もはや手遅れです。帝都から軍が出陣したことを聞きつけた連邦国軍は辺境の城を順次攻略中です。もう、平和的解決はありえません」
アルバドのはっきりとした否定を聞いたユリウスはへなへなと座り込んだ。
「もう、おしまいじゃ。帝国も、歴史ある皇家も、そして余も…」
ユリウスは絶望で顔をうずめて、アルバドも沈黙を貫く。
「おい、ユリウス、軍が城門を出発してったぞ」
ユリウスのことを呼び捨てにするそのぶっきらぼうな口調、そんなことができるのは…。
…レオ?
ユリウスは絶望を消して恐る恐る顔を上げた。
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それではまた次回。バイバイ~!




