宝物庫侵入(後編)
宝物庫の中は、見るからに価値の高そうな、宝石類や古めかしい巻物が並べられている。
「スゴイな…」
「こんなにもあったのか…」
自分の物も把握してなかったのかよ…。
「ユリウス、急いで探すぞ」
探すといっても、膨大な量がある。
それに、のんびりとしていては兵士も来てしまう。
並べられた武具は勿論、棚の中やら引き出しの中を手あたり次第探す。
キシッ。
の引き出しを開ける手が止まる。
「ユリウス、足音だ」
間違いなく、足音はこの宝物庫へと向かっている。
「急いで、転移を…」
口の前に人差し指をたてて「シッ」のポーズをする。
「無理だ。今更魔法を使おうものならいくら鈍い兵でも気づく」
「そういうものなのか?」
「そういうものだ!」
俺がユリウスと小声で会話している間にも、足音は近づく。
「ユリウス、お前だけでも隙間に隠れろ」
そう言って部屋の過度の棚と棚の隙間を指す。
子供一人ならギリギリ入れそうな小さな隙間だ。
だが、ユリウスは自分だけが隠れるのが嫌なのか、中々入ろうとしない。
「急げ!」
小声で、それでも、強い声で言う。
ビクッとしたのか、渋っていたユリウスも隙間に隠れた。
後ろをちらりと見ると、ドアに手をかけた兵士の影が映る。
「じゃあな。ユリウス、もう、しばらくは…」
魔法陣を展開しようと、杖を取り出して気付く。
兵士が手を放し、去っていく姿に。
沈黙が流れ、隠れるユリウスと目線が合う。
「そのまま、隠れてろ」
恐る恐るドアに近づく。
「皇帝っ」
危うく、ドアを開けて入ってきた近衛騎士のアルバドとぶつかりかけて一歩後ろに下がる。
「皇帝陛下、兵士たちは去って行ったので大丈夫です」
「そう、か…」
隙間からユリウスが腰を上げて出る。
アルバドは、慌てて駆け寄ると、手を掴んで起き上がらせると、腰のほこりを払った。
アルバドは、俺のことをちらりと睨むと、ユリウスに一礼した。
「皇帝陛下、今日は夜も遅いです。寝所に戻りましょう」
「う、うむ」
少し無理やりにユリウスの手を引いてアルバドは去っていく。
「おい、待て」
ひっそりと帝宮から脱出しようと庭園の隅に着地した俺の前にアルバドが立ちふさがった。
「なんだ?」
「お前、あまり私情で皇帝陛下を危険に巻き込むな」
「考えておこう」
お茶を濁すような俺の返事に、アルバドは近づいてきてグッと胸ぐらをつかんできた。
「何を…」
「皇帝陛下の御身を守るのが近衛の役目。危険にさらすようならば、陛下の意志に関係なくお前を切る」
決め台詞のように言うと、アルバドは胸ぐらを荒々しく放した。
そして、背を向けてユリウスの寝所の方へと歩いていく。
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