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クリスマス2021

作者: 杜若表六
掲載日:2021/12/14

ヒャッホーーーーイ! 下の子どもたちは橇すべりのまっ最中だ。ジムに、ジゼルに、ジョンに、ジェシー。丘の頂から、ここ数日でいきなり積もった雪のミルフィーユみたいなかさなりの上を、刷毛でなぞるような跡をのこしながらすべりおりていく。それぞれの頬は火照ってパイにのったチェリーみたいだ。一方の台所では、上の三人が半分ほほえましく、半分うらやましそうに窓の外の兄弟たちをちらちらうかがいながら、玉ねぎをむいたり、ソースを混ぜたり、オーブンの火加減をみたりする。年長者はこういうときに苦労するのだ。ガーネット、ガブリエル、グロリアは、祖母と母親の手伝いをさせられている。ガブリエルは玉ねぎの匂いにじーんとしながらつぶやいた、「せっかく帰って、晩餐の支度とはね。」ガーネットは弟をたしなめる、「こんなときでもないと、料理なんてしないでしょ。独り暮らしには役に立つ勉強と思いなさい」グロリアはガブリエルに加勢する。「こんなときだから、暖炉の前でゆっくりボードゲームがしたいよ。」裏口が開いた。「ただいま!……」こっそりと、でも意気揚々と父が帰ってきた。下の子どもたちへプレゼントを買ってきたのだ。遊んでいるあいだに、こっそりと秘密の場所に隠しておく。外では、ジョンが丘の頂ではしゃぎすぎて、足をすべらすと、撞かれたビリヤード玉みたいにごろごろ斜面を転がっていった。なにか大きな溝に、卵のようなジョンのかたまりが落ちて停まった。ジムとジゼルとジェシーは心配して、わらわらとジョンのかたまりにちかづいた。台所からそれを見ていた三人もおどろいて、裏口から丘へ駈けだした。「こらこら! ちゃんと火は見ていないと」祖母はあわてずミート・パイの焼き加減をたしかめる。母は魚のウロコをとるのに苦労してそれに気づかない。さわぎを聞いた父は二階のプレゼントを隠した部屋の窓から心配そうに見ている。六人の兄弟はジョンのかたまりを囲んで、溝のなかをのぞいている。ガブリエルはいちばん背が高かったから、そろそろと溝におりていき、かたまりに手をふれようとした。そのとき、かたまりがクラッカーのひもを引いたみたくこなごなにくだけちって、なかから元気なジョンがあらわれて叫んだ。「ヒャッホーーーーイ!」みんなは喜びに笑うまえに、おもわずいっせいに叫んだ。

「生まれた!!!!!!」

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