エピソード3
西暦2030年
それは突然であった。
アルプス山脈からの謎の多種多様な生物が現れた。その生物は付近にいた人々を瞬時に殺害した。生物の身体能力はおよそ人間が敵うものではなく、ましてや武装のない一般人では遭遇したならば最期、死のみであった。そして不幸なことに生物と遭遇した人間全てが死んだことで、その存在が知れ渡るが遅れてしまった。
そこからはもう虐殺であった。生物の数は万を超え、付近の国々が一斉に襲われた。イタリア、フランス、ドイツといった大国も例外ではなかった。圧倒的な数と質を兼ねそろえた常識外の相手に奇襲を食らっては、対人間の訓練を受けた軍隊では太刀打ちできなかった。結果、各国は陥落。流れるように生物たちは西欧を征服した。
この事態に国連が動いた。残存部隊の救出と同時進行で敵の情報収集を開始した。さらに敵の侵攻を食い止めるため多国籍軍の東欧戦線の構築を行った。この戦線には東西両国が参加した。この戦線を抜かれてはその先に待つのは自国であるからだ。
だがその人類の総力を上げた戦線も簡単に破られてしまった。
対人用の銃弾を弾く表皮、圧倒的スピード、戦車をへし曲げる力、なによりもその数。
このような化け物を抑えることは不可能であった。
前線は崩壊し、後方へ流入。人類は東欧を断念し、大規模な後退を行い、有利な状況で防衛をすることとした。
スエズ運河を境としたアフリカ戦線、朝鮮半島を橋頭堡としたアジア戦線であった。
この決断には多くの国で否定的な意見が上がったが、敵の強大さや先日の防衛戦で広大な戦線による戦力分散も要因の一つであり、戦力の集中化はもはや確定事項であったためもはや各国は諦めるしかなかった。
西暦2040年
人類は戦線の安定化に成功していた。最初の侵攻から10年の月日が経ったことで生物に関しても様々なことが判明した。まず生物たちのことをフォーリナーと呼称するようになった。
次にフォーリナーの能力は個体によって様々であること。しかしその個体の種類は下級、中級、上級の三つと超級であった。なお超級のみ様々な容姿をもつ個体を含む。わかりやすくするならば超級未満は量産品、超級はオリジナルというところだろう。
また奴らの能力は非常に高いため既存の軍隊では対抗は難しく、一国での対処など不可能であった。そのため各国は協議のもと地球連邦という形で一つにまとまり、フォーリナーたちに対抗する形を整えた。
だがそんなものを嘲笑うかのようなことが起きた。
災厄の日である。
この日、ユーラシア方面軍に突如として大量のフォーリナーが襲来。加えて超級が同伴しており、その能力は他の超級に比べても非常に高く、あっという間に方面軍は壊滅。人類は大陸から叩き出された。アジア方面は日本列島に防衛陣地を構成することとなった。また、例の超級は前線を消し飛ばした圧倒的な火力を畏怖され、『ボマー』と呼称されるようになった。
その事件を皮切りに世界中で超級の報告が爆増。
高い能力はもちろんのこと、超級はそれぞれが能力が違うため対処に大きな被害が出た。人類はこの事態に対して、『様々な条件下において、あらゆる能力を持つフォーリナーと戦うことが可能な超汎用兵器』を求めた。