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3話 超能力開花

スーパーウルトラジムに通い続けてから半年が経過した。私は(真里模さんと西斗さんも)小学1年生になり、武術の腕前も上昇……したと思う(学校での生活は特に普通なので省略する)。


因みに私は練習に練習を積み重ねた結果、普通のサンドバッグなら容易に貫通出来る技『トゥーキック』を習得しました。


これはきっと、ジムを始める前にやっていたバレエの技術が生かされた結果生まれた技なのだろう……多分。




(『桃色スプリング』の世界ではこんな桁違いな威力の技は無かった……)




本来、原作である乙女ゲーム『桃色スプリング』の世界は基本超能力を駆使して魔物を退治する。


能力を使用せずに魔物を一撃で仕留められるような高威力な技は一切存在しないのである。

(そんな技を小学1年生が習得している時点で既におかしいが)


多分だが、私が少しずつ『バスタータムダム』の世界に馴染んできており、ステータスもバスダム基準に変化しているのではないか?と私は考えている。



バスダムの世界ってスプリングの世界と比べると色々と規格外なんだよね。



桃色スプリングではボスゴブリン1体だけでかなり脅威なのに(一部の魔物は強すぎて討伐出来ないので撃退させるか逃げるかの選択をする事がある)バスダムの世界になるとボスゴブリンなんてその辺の雑魚以下に成り下がるし、何なら高校生のみで巨大なドラゴンを討伐させられる事すらある程だ。



(無事に必殺技を習得出来たし、まだ『桃色スプリング』のヒロインにも彼氏候補にも遭遇してないし、かなりいい感じかも!)




そんな風に、私の人生が順風満帆に進んでいたある日の事……




「フフフ……さあ、今から皆様お待ちかねの必殺技の訓練をするわよ!

この特殊加工が施されたサンドバッグに貴方達の必殺技を叩き込み、私に成長を見せつけなさい!!」


ジムで必殺技を打ち込む訓練をしていた時の事だ。


「そうね、最初は……紫苑さん!」


「はい!」


「セレスちゃん!サンドバッグを外までかっ飛ばして来るッスよ〜!!」


友人である広刈真里模さんは私に元気な声を投げ掛けてくれた。だが、サンドバッグを屋外追放するのは流石に駄目だと思う。


「広刈さん、サンドバッグを外にかっ飛ばしたら駄目よ。さあ、思い切り蹴飛ばした余波で隣町にあるライバルジムを破壊するのよ!!」


多分ジムを破壊するのも駄目だと思う。


「行きます!やあっ!!」



シュッ!!



ド ォ ン ! ! !



私の『トゥーキック』が綺麗に決まり、物凄く重い特殊加工のサンドバッグが派手に揺れた。


「うわっ、やば……」


「俺より年下なのに……」


「サンドバッグが揺れてる……」


「おーっ!流石セレスちゃんッス!!」


周囲に居た子達は騒めき、真里模さんは力一杯に拍手をして喜んでいる。


「お見事!紫苑さん、最高のキックだわ!!」


よし、今日も綺麗に技が決まった……



と、次の瞬間




バチバチッ!!




「きゃっ!?」



私の足がサンドバッグから少し離れた瞬間、つま先から紫色の細い電流が迸った。


「あっ、セレスちゃんの足から雷みたいなのが出たッス!静電気ッスか?」


「いや、今のは静電気じゃ無いわ……!紫苑さん、ちょっと……」


「はい」


私はインストラクターに引き連れられてキックボクシングの部屋から退出した。


「あの、先生……一体どうしたのですか?」


「落ち着いて聞いて欲しいの。実は……




貴方に!眠る!!超能力が!!!今日ついに目覚めたのよ!!!!」




「えぇっ!?」


どうやらついにセレスの超能力が開花したようだ。


だが、セレスの超能力が開花するのは小学4年生になってからの筈だ。目覚めるのがかなり早過ぎる。


「貴方が驚くのも無理ないわ!さあ!今から書類やら親への連絡やらと色々と準備をしなくちゃね!!紫苑さん、今日ジムのトレーニングが終わってもそのままジムに残っててね!!」


「はい、分かりました」




そうだ、此処で改めて乙女ゲーム『桃色スプリング』の登場人物の基本情報と能力を確認しておこう。


早乙女子良さおとめしよ (デフォルトネーム)


『桃色スプリング』のヒロイン。


能力:光


ごく普通の少女だったが、ある日突然超能力者に目覚めてから様々な問題に巻き込まれていく事となる、少し可哀想な人物。可愛い。


能力により暗い場所を照らしたり、敵の目を眩ませたりと、主に補助技として使用される。


セレスはやたら彼氏候補に好かれるヒロインに嫉妬し、事あるごとに嫌がらせをするようになる。




彼氏候補



炎寺輝えんじあきら


能力:火


爽やかイケメン。意図せず超能力で友だちを傷つけてしまって以来、なるべく人と深く関わらないようにしてきた人……だったかな?


熱を操って敵を燃やしたり、熱を帯びた武器で攻撃する。




芽色利麻めいろりま


能力:水


背が小さくて可愛いタイプ。少し幼稚で甘いものが大好きな人。


水を操って敵を攻撃する。周りに水が無いと能力は使えないが、ペットボトル1本分の水でも十分に強力な技が使える。(ゲームでは購入した飲み物を消費して攻撃出来る)




銀彩俵ぎんいろひょう


能力:念力


眼鏡の人。


主に周りの物や敵を振り回して攻撃する。だが、自分自身を宙に浮かせる事は出来ないらしい。



伊得担兎いえたんと



能力:強化


チャラい兄さん。


自分自身の力を上げたり物の強度を上げたりする、攻守共に優れた人物。





残りの隠し彼氏候補の2人は『闇』『空間』の能力、そしてセレスは『雷』を操る超能力者で、この雷を巧みに操って敵を容赦無く追い詰めていく。


原作のセレスの超能力は物凄く強力だが、攻撃は全て能力頼りの為、能力が無いとただピアノとバレエが得意な一般人に成り下がってしまう。


(セレスが殺されるのは本人が油断した時。だから、いつ襲われても返り討ちできるように超能力も身体を鍛えておかなくては……!)


確かバスダムでは、雷の力を使って周囲に居る人間を探知出来る技があった筈だ。


その技を習得すれば少なくとも不意打ちで殺される可能性は低くなる!


つまりこれまで以上にトレーニングを重ねていけば大丈夫!!よし、頑張ろう!!





ジムでのトレーニング終了後、ジムに呼び出されたお父様とお母様と一緒に超能力についての説明を受けた。


そして、超能力を理解した上で『超能力のトレーニングを受けるのか』という質問もされた。



私は勿論OKした。



両親は「セレスの身の安全の為にも是非超能力を使いこなせるようにしてほしい」と、超能力を鍛える事に関しては許してくれた。


お父様、お母様、本当にありがとう……!





次の日……


「紫苑さん!今日から超能力の特訓もトレーニングのプログラムに組み込まれるわよ!」


私は元気な女性のインストラクターに連れられて超能力の部屋へとやって来た。


明らかに地球上の人間には持てないであろう巨大なダンベル、高過ぎる天井に付いた足跡、明らかに様子がおかしい部屋だ。そんな異彩を放つ部屋に……


「セレス!?」


そこには風の超能力者、聖零西斗の姿もあった。


「まさかお前も……!?」


「はい、昨日に急に使えるようになりました。西斗さんも超能力者だったのですね」


(西斗さんが超能力者である事は既に知っているが一応驚いておこう)


「ああ、俺は去年から使えるようになったんだ。俺は風を操る事が出来るが、セレスは何が出来るんだ?」


「私は雷を。これからは私も此処で超能力の特訓もする事になるそうですわ」


「そうか。では、これからはセレスとも一緒に特訓出来るようになるんだな。楽しみだ」


そう言うと西斗さんは私に優しく笑いかけてくれた。


「はい」


※表では冷静に取り繕っている私ですが、今めちゃくちゃ動揺してます。


(うわぁ!あんな笑顔初めて見た!素敵!カッコいい!可愛い!)


「セレス」


(こんな顔向けられて冷静で居られる子っているの!?無理!最高!)


「セレス」


「えっ?はい、西斗さん。何でしょうか?」


「セレス……




さっき身体が物凄く光っていたぞ?」




「……へっ!?」


顔には出ないよう気をつけていたが、まさか身体に出ていたようだ……恥ずかしい。



いや、そんな事より今はトレーニングだ!!死亡フラグ回避の為に頑張るぞ!!

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