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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第四章:学院対抗戦編
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第六十七話:結界、そして攻略

すみません、予約投稿ミスってることに今気づきました。


前回のあらすじ:"双子の聖女"対アイヴィ&エスカ。噂の結界魔法を発動され、手も足も出ない。


第六十七話です。本当はこの話で終わらせるつもりだったのですが、ちょっといろいろな説明が長くなってしまいました。


追記:"双子の聖女"の姉の名前をジンからリンに変更しました。理由はアインの父親と名前が被っていたためです。


<アイヴィ視点>


「さすがに少し肝を冷やしましたわ。」


汗をぬぐいながら、リン=ライトさんはこちらを睨みつける。先ほどの魔法は超級魔法に匹敵するかなり高威力の魔法だ。その魔法でもこの結界は破れない。その事実に私はほんの少しショックを受ける。


「強度は相当なものですわね。他の策を考えないと。とりあえず、いろいろな種類の魔法をぶつけてみましょう。」


少し焦ったような口調でエスカさんは一歩前に出て、魔法を放つ姿勢をとる。


ショックを受けている場合ではない。エスカさんの言う通り、何とか突破口を見つけないと。


私とエスカさんはたて続けでいろいろな魔法を放つ。炎、水、氷、雷など思いつく限りいろいろな魔法を放つ。しかし、私たちの魔法はことごとく結界に阻まれる。





しばらくは魔法の打ち合いが続いていたが、均衡はあっさりと崩れることになった。


「……っ!」


リンさんの攻撃魔法がエスカさんの左肩に当たる。何とか倒れずに踏みとどまるも、私たちの息はすでに切れている。

それに対して、相手のリンさん、ルンさんともにぴんぴんしている。


理由は簡単だ。ルンさんが結界に集中しているため、リンさんが攻撃に集中することができる。それに対して私たちは攻撃と防御の両方に意識を割かなければならない。これによって、精神的疲労の差が著しい。


それだけじゃない。私たちはルンさんの結界魔法を破るために多くの魔法を発動させている。つまるところ、魔力の消費が非常に多いのだ。いくらエスカさんや私が魔力量が多いといっても、無限にあるわけではない。私にはまだ余裕があるが、エスカさんは大分限界が近づいてきている。


(どうしたらいいの?わかんないよ……。)


私はアイン君みたいに頭が良くない。アイン君ならもしかしたらこんな状況でも突破口を見つけられるのかもしれないが、私では思いつかない。


勝てない、そんな考えが頭をよぎる。私は頭を横に振って、その考えを振り払おうとする。まだやれる、頑張れる、と自分に言い聞かせる。


そうはいっても急に打開策が思いつくわけではない。私は疲労で動きの鈍ったエスカさんをできる限りかばいながら、耐える姿勢をとった。





<アイン視点>


二人が頑張っているのは分かるが、さすがに状況は厳しいと言わざるを得ない。観客席から見ているだけだが、突破口がなかなか見つけられない。実際に戦っている二人はきっと苦しいだろう。


俺の隣にやってくる人影が一つ。アイズ生徒会長だ。


「お疲れ様です、アイズ生徒会長。惜しかったですね。」


「いや、完敗だったよ。やっぱり殿下は強い。全力を尽くしたんだけど、届かなかったよ。」


ベストを出し切ったからだろう、すっきりした良い表情をしている。生徒会長はゆっくりと俺の隣の席に座った。


「怪我はもう大丈夫なんですか?結構派手な魔法が直撃してましたけど。」


「まあ、怪我に備えて治癒魔法の使い手が大勢控えているからね。普通の怪我ならすぐに直してもらえるよ。」


対抗戦の形式上、怪我人が出ることは避けられない。そのため、治癒魔法の使い手が控えているらしい。できることならそのお世話にはなりたくないところだが、そう簡単にはいかないだろう。


「さて、アイン君ならこの状況、どう打破する?」


アイズ生徒会長が戦ってる二人の方を見て質問する。何のことを聞いているかはすぐにわかる。ルン=ライトによる結界をどう破るかという話だ。


「何でもありの決闘なら、速攻で近接戦に持ち込みます。このルールだったら……。」


俺はほんの少し口どもる。二人のおかげでいろいろな情報を手に入れた。事前に用意していた作戦はすべて否定される結果となってしまったが、新たな突破口は見つけている。


例えば土を変形させるような魔法。もし結界が地面まで届いていなければ、そういった土の変形までは防げないのではと考えた。だが、アイヴィ達の魔法によってこの魔法は届かないことが分かった。


あの結界という魔法は非常に特殊な魔法だ。普通の物理現象は通すにもかかわらず、魔法だけは通していない。かといってすべての魔法が通らないわけではなく、内側から外側へ放つリン=ライトの魔法は通している。


この特殊性こそが突破口になるのではないかと考えている。


結界とは一種の膜だ。内側から外側へは魔法を通し、逆には通さない。このような性質を持つ物を俺は知っている。半透膜(・・・)だ。


半透膜とは、二つの濃度の異なる溶液を仕切った時に特定の粒子だけを通す膜のことだ。原理は簡単で高校生でも理解できる。

重要なのは、膜の両側で濃度が異な(・・・・・・・・・・)()ということだ。


半透膜の両側で全体の濃度が均一になるように粒子が移動しようとする。この時にはたらく力が浸透圧と呼ばれている。


科学の話はこれくらいにしよう。ルン=ライトが使う結界はこの半透膜に似たような性質を持っている。

ではこの()つまり結界が何を通して、何を通さないのか。推測するに、これが魔力なのではないだろうか。


つまり、結界の内側あるいは膜の周辺だけが高濃度の魔力で満たされている。それに対して外側は空気でしかないので、魔力はほとんどない。したがって、結界の内側から外側へ魔力を通すことはできるが、外から内へは通らない。


仮にこの推測が正解だとして、結界を破るにはどうしたら良いだろうか。正解は濃度を入れ替えることだ。つまり、結界の外側を高濃度の魔力で満たしてやればいい。そのためにできることは一つ、最大限まで魔力を込めた魔法をぶつける。それしかない。


先ほどのアイヴィの魔法はかなりの威力ではあったが、それでも足りない。もしかしたら、アイヴィの最高火力をもってしても破れないかもしれない。そうなると、魔法的な手段で結界を破るのは実質不可能ということになる。アイヴィの魔力は世界屈指の量を誇っているのだから。


俺の言葉の続きを待ってるのか、アイズ生徒会長はこちらをじっと見ている。


「持てる最高火力をぶつけるしかないですね。それでも駄目なら、このルールで勝つのは不可能でしょう。」


「珍しい。アイン君が脳筋な考えをするなんて。」


脳筋とは失礼な。きちんと根拠がそれなりにあっての考えだ。だが、アイズ生徒会長の言う通り、俺のような思考をしていなくてもアイヴィが同じ結論に至る可能性は高い。


アイヴィは器用な方ではない。追い詰められてどうしようもなくなった時、最終手段は最大火力の魔法をぶつけることだけだろう。そうなれば、アイヴィ達には勝機があるだろう。


「応援してあげなよ。君の声ならきっと届くよ。」


アイズ生徒会長の視線が二人の方に向けられる。それにつられて、俺も二人に目を向ける。会場は素早い魔法の応酬に大盛り上がりだ。この歓声の中では俺の声など届かないと思うが、それでも俺は声を張る。


「頑張れ、アイヴィ!頑張れ、エスカ!」



六十七話いかがだったでしょうか。科学の話を始めると無理な説明が多くなっちゃいますが、多少許容していただけると助かります。半透膜とか懐かしいなと思いながら書いたので、間違えたこと書いてたらすみません。


今週ちょっと忙しいので次回更新は2/11(金)になります。読んでいただけたら嬉しいです。

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