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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第四章:学院対抗戦編
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第六十四話:観光、そして開会

前回のあらすじ:王都観光でアイヴィの緊張が少しほぐれたようだ。


第六十四話です。デート回って書くの難しいですね。というかどんな話でも書くのって難しいです。


「アイン君、こっちの赤色のドレスと水色のドレスどっちが良いと思いますか?」


そう言ってエスカは二つのドレスを俺に見せる。もう三回、いや四回だっただろうか、同じような問答を繰り返している。しかし、それは口に出してはならないことだと分かっているので、俺は黙って二つのドレスをじっと見つめる。


「赤色はエスカによく似合うね。でも、フォーマルな場で着るとしたらちょっと派手すぎるかもしれないね。水色の方は逆に落ち着いているからどこにでも着ていけると思うよ。……個人的には赤色の方がエスカには似合うかな。」


必死に考えながら言葉を振り絞る。最初の方はあいまいな返答をして、「そういう答えは求めていません」と二人から言われてしまったので、きちんとどちらが良いかを口にするようにしている。


エスカは俺の返答に満足気な顔をして店員さんに赤色のドレスを購入するように伝える。


どうやら俺の選択は正解だったらしい。エスカやアイヴィは優しいので間違えたとしても別にどうということはないが、このような女性との買い物は男性にとってはある種の試練のようなものなのだ。


「アイン君。私も聞いても良いですか?」


アイヴィも聞いてくる。最初のうちは遠慮がちだったアイヴィも、エスカに影響されたのか次々と聞いてくるようになった。


ちなみにここは貴族向けの服飾店だ。すでに結構な数の服を購入しているが、二人の勢いは止まるところを知らない。おそらくこれが貴族らしい買い物なのだろうが、あまり貴族っぽくないヴァレンタイン家の人間からするとなかなか新鮮な気持ちだ。


店員さんも慣れているのだろう。次々と二人に似合いそうな服を引っ張り出してくる。


……それからどの程度経ったのだろう。何度二人の質問に答えたかもわからない。騎士団の訓練より何倍も疲れた気がする。二人もとても満足したようで、実家に送るための手配を行っているところだ。


俺はお店の隅にあった椅子に座り込み、エスカから渡された『王都ゆらり旅』を眺める。大通りにはまだいろいろな店が並んでいる。

次はどの店に行こうかといろいろと考えているとアイヴィが近づいてくる。


「お待たせしました。すみません、長くなっちゃって。」


「気にしないで。すっかりいつも通りだね。」


「ええ、ご心配をおかけしました。それに、いろいろ新しい服を変えたので私は満足です。」


楽しめているようで良かった。今日を観光の日にしてくれたアイズ生徒会長に感謝しなきゃいけないな。

アイヴィと話していると、同じように配送の手続きを終えたエスカが近寄ってきた。


「お疲れ、エスカ。これ見てたんだけど、まだまだいろいろな店があるみたいだ。次はどこに行こうか?」


「次……、ですか?」


エスカがきょとんと呆けた顔をする。その反応に俺も頭の中に疑問符を浮かべる。まだ宿に戻るには早い時間だし、何かおかしかったのだろうか。


「何を言ってるんですか?次はここであなたの服を選ぶ時間ですよ。」


「へ?」


思わず変な声が出る。俺の服だって?確かにこの店は男性用の服も取り扱っているようだが、俺は別に新しい服が欲しいわけではない。


「いや、俺の分は良いよ。それより、せっかくの王都観光なんだからもっと別のところを見に行かない?ねえ、アイヴィ?」


俺はすがるような目でアイヴィの方を見る。俺の言葉に間髪入れず、エスカはアイヴィの耳元で誘惑の言葉を紡ぐ。


「これはチャンスですわよ。アイン君に好みの格好をさせる絶好のチャンスです。あんな服やこんな服着せたくありませんか?」


俺とエスカを交互に見て、アイヴィはいそいそとエスカの隣に立った。すでに慣れたことではあるが、俺に味方はいないようだ。


それから先の記憶は怪しい。二人の着せ替え人形としてあれこれ様々な服を着せられたのだった。





<三人称視点>


「にしても、何で警備が一番固い日に計画を実行するんだか。」


学院対抗戦の前日の夜。月明かりが差す屋敷の一室で魔族の男(・・・・)は一人呟く。


「いろいろ事情があるのよ。そもそも目標が王都に来るっていうから急遽決まった計画だし。でも、失敗は許されないわよ。」


同じく魔族の女(・・・・)が面倒くさそうに返答する。


「分かってるさ。一人タイミング見計らってさらうだけだろ。おまけに協力者もいると来た。失敗する要素が見つからねえよ。」


協力者とはもちろんこの屋敷の主のことだ。自分の国を裏切ってまで協力してくれる彼に、思わず魔族の男は笑みをこぼす。


「さっさと終わらせて、あの方のもとに良い報告をしに帰るぞ。」


「分かってるわ。」


夜空に輝く月が不気味に王都を照らしていた。





<アイン視点>


今日は学院対抗戦の当日。第一、第二魔法学院のメンバー全員がそろって開会式が行われている。開会式自体は特に変わったものではない。前世の体育祭の開会式と同じようなものだ。


前世では運動はあまり得意ではなかったため、こういう雰囲気は好きではなかった。しかし、今の俺は学院代表として頑張ろうという気持ちがある。前世と今世で何が違うのだろうか。やはり、本来のアインシュ=ヴァレンタインの性格なのだろうか。


そんなことを考えていると、開会式が終わり、対戦の組み合わせが発表される。


一回戦の組み合わせは次のようになった。


アイズ=フロスト 対 レオ=ノーベル

アインシュ=ヴァレンタイン 対 ニュート


アイズ生徒会長の相手が第二王子で、俺の相手はニュートという人か。知らない名前だし、名字がないということは平民ということだ。

魔法学院はほとんど貴族が通っているため、平民が通っているというのはなかなか珍しい。どこか大きい商人の家の子供だろうか。相手の情報が全くないのは不安ではあるが、やることは一つ。全力で戦うことだけだ。


二対二の方の組み合わせも発表された。どうやらアイヴィ・エスカのペアは"双子の聖女"とは一回戦では当たらないようだ。"双子の聖女"と一回戦で当たることになった先輩ペアはおよよと涙を流している。


これから熱い戦いの幕が上がる。


六十四話いかがだったでしょうか。日常はここまで、次回からがっつり対抗戦になります。戦闘シーン書けるか自分でも不安ですが、楽しんでいただけるように頑張ります。


次回更新は2/2(水)になります。読んでいただけたら嬉しいです。

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