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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第四章:学院対抗戦編
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第五十八話:生徒会長、そして生徒会室

前回のあらすじ:アイズ生徒会長から学院対抗戦のメンバーとして選ばれたことを知らされる。相手の第一魔法学院には優秀な人材が多いらしい。


第五十八話です。たとえ何も悪いことしていなくても、呼び出しを食らうとドキッとしてしまうのは自分だけでしょうか。


対抗戦の参加を決めた翌日の昼休み、俺は生徒会室への呼び出しを食らっていた。別に呼び出しといっても悪いことをしたわけではない。ただ、対抗戦について相談があるとアイズ生徒会長から言われたから、その相談に乗るために生徒会室まで来たのだ。


俺が席についているテーブルの反対側で生徒会長は昼食を美味しそうに食べている。どうやら学食からここまで運んでもらっているようで、俺の目の前にも普段は頼まないような学食の高級メニューが並んでいる。


俺はどうすれば良いか悩む。ここに来た目的は生徒会長の相談に乗るためだったはずだ。


「食べないのかい?このメニューは僕の一押しでね。よく食べてるんだ。実はここだけの話、学食を作ってる料理人の一人と知り合いでね。僕好みの味にちょっと変えてもらってるんだ。」


職権乱用……というわけではないか。生徒会長や貴族としての身分を使ってではなく、あくまで個人的な知り合いのようだし。

俺は何も言わずに目の前の料理に手を付ける。少し甘めの味付けだが、確かにおいしい。味を生徒会長に合わせているとのことなので、もしかしたら生徒会長は甘党なのかもしれない。


俺達二人は軽く雑談をしながら昼食を食べる。生徒会長は魔法省での仕事についていろいろ教えてくれた。それに対し、俺は自分が行っている魔法の実験を話した。


どうも俺の実験の話を聞いて、少し顔が引きつっていたような気がするが、気のせいだろう。


昼食を食べ終えた後、生徒会長は何の気なしに話し始める。


「さて、そろそろ本題に入ろうか。」


俺は身構える。対抗戦の相談とは聞いている。昨日、多少ではあるが対抗戦については調べたが、最近の対抗戦については全く知らない俺に何を相談するのだというのだろうか。


「実は……、メンバーが全く決まらないんだ。どうしたらいいだろう?」


その言葉に俺は拍子抜けする。おまけにこの相談は絶対に俺にすべきでない内容だ。


「一対一トーナメントのメンバーは君と僕で決まりだ。それ以外に第一魔法学院の相手は務まらない。だが問題は二対二の方なんだ。優秀な成績を収めている生徒のおおよその魔法の実力は把握しているが、彼女らの相手は務まらない。」


彼女らというのは"双子の聖女"とやらの事だろう。規格外とは聞いているがそこまでの実力を持っているとは、ぜひ見てみたいものだ。


「僕と君が組んでも、彼女らには勝てないかもしれない。今回の対抗戦は物理的な攻撃禁止の魔法の打ち合い。聖女の使う魔法攻撃を完全に防ぐ(・・・・・・・・・・)結界はルール上最強と言わざるを得ないだろう。」


"双子の聖女"は光魔法を得意としているらしい。聖女というだけあって光魔法の扱いに長けているらしく、治癒だけでなく攻撃に結界と光魔法なら大体の魔法は使えるようだ。その代わりに他の魔法はからっきしらしいのだが。

ぜひ仕組みを解析したい。いまだ光魔法についてはさっぱり分かっていないが、分かっていないからこそ気になるというものだ。


「勝てないからといっても、実力差がありすぎればそれは第二魔法学院の沽券にも関わる。特に、この間教師が起こした不祥事のために、第二魔法学院は落ち目だと思われがちだ。何とか威厳を保って居られているのは君のおかげなんだよ、アインシュ君。」


世間からの評価だと、第二魔法学院は第一魔法学院に劣っているということか。その中で、俺という特異点がいるから何とか体裁を保っていると。


「正直、勝てないのはしょうがない。しかし、負けがほぼ確実な試合に誰が出てくれるんだろうか。というか俺でさえ、あの王子とはやりたくないってのに……。」


生徒会長の声がだんだんと暗くなっていく。そして、ようやく理解した。これは相談というより、ただの愚痴だ。生徒会長という立場上、公には言えない愚痴を何故か知らないが俺にこぼしているだけなのだろう。


しかし、二人探しているのならエスカとアイヴィはどうだろうか。最近は二人とも無詠唱が板についてきて、魔法の早打ちであれば詠唱している人には負けないだろう。治癒魔法しか見たことないが、今まで見てきた光魔法はすべて詠唱を必要としていた。結界が張られる前に魔法を撃てれば勝機はあるだろう。


「だったらエスカとアイヴィはどうですか?もちろん、本人の了承を取らないといけませんが。」


生徒会長の顔がパッと明るくなる。話の感じからして何となく誘導された感もあるがまあ良いだろう。





「む、無理だよ。私よりすごい先輩だっていっぱいいるのに。」


「私は喜んで。対抗戦に一年から出場できるなんて、非常に名誉なことですから。」


というのが、アイヴィとエスカの言だ。俺は先輩の実力を知っているわけではないが、従来通りの魔法を使っているのであればこの二人に勝てる生徒はほぼいないだろう。


それに何だかんだこの二人は長時間一緒にいるので、息の合った連携も可能だろう。……喧嘩をすることも多いが。


「……アイヴィさん、ちょっとこちらへ。」


そういってエスカはアイヴィを連れていく。俺に声が届かないくらいの距離で二人はこそこそと内緒話を始める。

ほんの数秒何かを話した後、こちらに戻ってくる。


「やっぱり出ます!絶対出ます!」


「あ、ああ。」


アイヴィの余りの勢いに気圧されてしまう。それにエスカは一体何を話したんだ?この急な変わりようは一体……。

俺はエスカの方に訝しげなまなざしを向ける。


「私は大したことは言っていませんよ。ただ、今年の対抗戦は王都で行われるから、王都に行けますね、と言っただけです。」


それだけなはずないだろう。だが、聞いたところで何にもならない気がしたから深くは追及しないでおいた。


後日、二人が参加表明したことを生徒会長に伝えたら、泣きそうな顔で喜んでいた。



第五十八話いかがだったでしょうか。二対二があると聞いた時点でこの展開を予想されてた方も多いのではないでしょうか。アイヴィ&エスカのヒロインペア爆誕です。


次回更新は12/24(金)の予定です。読んでいただけたら嬉しいです。


お知らせ(再掲):年末の更新は12/24(金)が最後になる予定です。年始の更新については未定です。

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