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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第一章:転生編
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第三話:家族、そして魔法実験

前回のあらすじ:家族紹介と魔法との出会い


三話目です。ついにアインが実験を始めます。

「ラット兄さん、魔法に関する本ってどこかにあるの?」


「魔法の本か…、それだったらこれが分かりやすいかな。まだ読めないだろうから読んであげるよ」


この世界に生まれてから3年がたった。書斎にいたラット兄さんに魔法の本のことを聞くとこんな答えが返ってきた。ラット兄さんはヨーダ兄さんと比べて本当に優しい。メイドのリーネに読んでもらう予定だったが、ちょうどいいので兄さんにお願いしよう。


「魔法とは、人間が魔族に対抗するために神が与えた技術である。魔族が滅びた現在では生活を豊かにするために日々発展を続けている。」


書き出しから読んでくれたが、神様の言っていることと異なっていて少し困惑した。神様の口ぶりだと発展など全くないような感じだったが、生活を豊かにする、すなわち楽をするための発展なら遂げているということだろうか。


「魔法には三種類あり。一つは詠唱魔法。その名の通り呪文を詠唱することで発動する魔法。二つ目は魔法陣魔法。魔法陣に魔力を通すことによって発動する魔法。三つめは無詠唱魔法。これは魔法の極意の一つとも言われていて、習得は容易ではない。」


三種類の魔法…。魔道コンロなどで魔法陣魔法が生活に密接しているのは確認しているが、他の魔法は見たことがないな。何はともあれ、魔法を見てみなければ考察することもできないので、まずは魔法を見せてもらうことにしよう。


「兄さんは魔法を使えるの?魔法を見てみたいんだけど。」


「簡単な魔法なら使えるけど…、ここじゃ危ないし庭に行ってから見せてあげるよ。」


ということで庭のほうに向かってみると、父さんとヨーダ兄さんがちょうど剣の稽古をしているところだった。ヨーダ兄さんが果敢に父さんに向かって剣をふるっているが、父さんは何でもないようにその剣を受けてもっと踏み込みを鋭くしろ、だの時にはフェイントも織り交ぜろなど、厳しいことを言っている。

ヨーダ兄さんの体力の限界がきて、庭に大の字で横たわった時、父さんが体をこちらに向けて話しかけてきた。


「うん、ラットとアインも運動しに来たのかい?書斎にばかりこもっていては体に悪いからね。」


父さんが言う運動とは剣の訓練のことであり、すすんで受けたいものではないのでここはきちんと説明しよう。


「違うよ、ラット兄さんに魔法を見せてもらおうと思ってきたんだ。」


「なるほど、アインはもっと小さい時から魔法について興味津々だったからな。だが、子供だけでは危ない。リーネ、ラットとアインについていなさい。」


倒れこんだヨーダ兄さんに水分補給用の水と濡れタオルを渡していたリーネに対しそういって、仕事があるからと家のほうに戻ってしまった。





「じゃあまず一番簡単な魔法からだね。『火よ、起これ』」


ラット兄さんの詠唱に合わせて手のひらから小さい炎が現れた。


「詠唱って言ってもすごく簡単なんだね。」


「そうだね、簡単な魔法の詠唱は短いし、使う魔力もとても少なくて済むんだよ。他にもほら、『水よ、起これ』」


今度は小さい水球が現れた。少しも見逃さないように目を見開いて観察を続ける。すると今度はリーネがこちらに向かって声をかけてきた。


「ラット様が使われたのはいわゆる初級魔法と呼ばれる類のものです。私もあまり得意ではないのですが、『土よ、塊となりて、敵を穿て』」


リーネの詠唱に合わせて、石の塊が現れ、なかなかのスピードで飛んでいき的にぶつかった。先ほどのラット兄さんの魔法に比べて、とても強力になっていることが分かる。


「リーネが使ったのは中級魔法だね、僕はまだ初級魔法しか使えないからよく見ておくといいよ。」


「とは言われましても、私は魔法が得意というわけではないので中級魔法は数発しか打てないのです。初級魔法は日常生活でも便利なので使える人は多いのですが、中級魔法以上は難しいので使える人は大分少なくなります。」


リーネがそんなことを言っているが、俺の頭の中は先ほど目の前で起きた現象を解析することに注力していた。


(何もないところから火や水が起こるなんて物理的にはあり得ない。魔力という未知の要素が補助しているとしか考えられないな。魔法によって生まれた火や水がどのような性質を持っているかを検証する必要がありそうだ。)


「兄さん、ろうそくをとってくるからちょっと待ってて。」


「ろうそくってまた何で?あ、アイン待ちなよ。」


俺を呼び止める声を無視してろうそくを取りに行く。まずは魔法により生まれた火に関する検証から始めよう。物理現象としての火との違いはあるのかについて調べるとするか。


ろうそくを取りに行って、兄さんの火魔法によって火をつけてもらう。ビンの中に入れてふたをするとしばらくして火が消えた。


(魔法による火でも、燃え続けるためには酸素が必要になるんだろう。)


「えっ、何でビンの中の火が消えたんだい?」


「兄さん、説明は後でするから次は手のひらから出した火をそのままビンに入れてふたをしてみて。」


実験と観察に夢中になってしまって、火が消えたことに驚いた様子の兄さんとリーネを無視して次に進めようとする。


再び兄さんは火を起こして、言ってくれた通りビンの中に火を入れてくれた。すると、ふたをした瞬間に火が消えてしまった。


(ふたをした瞬間に火が消えてしまったということはビンという密閉空間に兄さんの魔力が通らなかったということだろう。やっぱり魔力という要素が未知すぎるな。もっといろいろな実験をしてみないと。)




「アイン、もう勘弁してくれないか…。初級魔法ばかりとは言え、こんなに使っているとさすがに魔力が尽きてしまいそうになるよ。」


様々な実験をしていると兄さんがそんなことを言い出した。まだ検証したいことがたくさんあるのだが…。


「アイン様、私もそろそろ夕食の準備のため屋敷に戻らないといけませんので終わりにいたしませんか?それと、これほどまでに魔法に熱中なさるのであれば、旦那様にお願いして魔法を本格的に習ってみてはいかかでしょうか。自分で魔法を使えるようになれば今日のようなことも自由にできるでしょう。」


「それだ、リーネ。父さんに聞いて魔法を教えてもらおう。兄さんも今日は付き合わせてしまって本当にごめんなさい。」


「いや、久しぶりにこんなに目を輝かせるアインを見れたし、全然いいよ。今日みたいなのはちょっと勘弁してほしいけど、また一緒に遊ぼう。」


ラット兄さんは本当に優しい。これからは自分で魔法を覚えて実験していくとしよう。



三話目いかがだったでしょうか。もっと魔法実験の詳細を書きたかったのですが、字数が多くだらけた感じになりそうだったのでこの程度にとどめておきます。次話では魔法実験の結果と考察を行う予定です。

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