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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第二章:学院編
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第二十七話:関係、そして授業

前回のあらすじ:アベル先生とルミーネさんは因縁のある関係のようだ。


更新が一年以上開いてしまいましたが、また更新を再開したいと思います。2章の終わりまでは描きたい。

「正直に言ってしまうと、俺の魔力操作とかを魔法陣に応用して何かするってのは難しいと思います。以前の魔族との戦闘の時に魔法陣を使った戦闘をしましたけど、それぐらいですね。」


「あの時君が魔法陣を放り投げて、同時に複数の魔法を使用した奴だよね。僕も見ていたけど、あれだけ瞬時に複数の魔法を使えるなら戦闘においては有用だろうね。」


戦闘における技のバリエーションというのは非常に有用である。特に魔力の操作などが発展していない現状では、俺の魔法陣を用いた魔法は非常に効果的であろう。しかし、先生としては俺の技術を戦闘以外のより生活を豊かにするような面で役立てたいと考えているだろう。前もって釘を刺しておかなくては。


「魔石を消費せずに魔法陣を発動させることができるので、試験的な実験などには俺の技術は役に立ちますが、もっと直接的に役立てるのは難しいかと。」


「なるほど。でも試験的な運用に役立てることができるというのはとても助かるな。実験に使用する魔石もタダというわけではないから。でもそうなのか、君の使った魔法陣が僕の見たことないものだったから役に立てるかと思ったんだけど。」


「俺の魔法陣は言ってしまえば、魔石の使用を前提としていないんですよね。普通の魔法陣では魔石を中心に展開しているんですが、俺は直接魔法陣に魔力を通すのでよりシンプルな形で魔法陣を書くことができるんです。」


普通の魔法陣は中央の魔石から魔力を通すために多くのパスを通す必要がある。俺は自身の魔力を直接魔法陣に流すために、魔法陣自体を簡略化することが可能になっているわけだ。


「俺が魔力操作をマスターしたのは無詠唱魔法をマスターするためですから。魔法陣の簡略化はその副産物といった感じです。ただ、魔法陣の運用に関しては、魔石を利用した今の形がかなりベストな感じだと思います。」


これが正直な感想だ。俺は魔力を操作することが出来たので従来の魔法陣から変更を加えたが、魔石を中心とした魔法陣については今のままでも十分機能していると思っている。もちろん、各魔方陣について効率を上げるなどはできるかもしれないが、それは俺の魔力操作などとは全くもって関係のない話になるだろう。


「ですが、魔力操作や無詠唱は覚えていて損はないですし、先生がおっしゃったように魔法陣の実験で魔石が不要になるなどのメリットもあります。もし良かったらお教えしましょうか?習得までには少し時間がかかるかもしれませんけど。」


「アイヴィ君も連れてきたのはそういうことか。別々に教えるのであれば君にとって手間になってしまうからね。」


アベル先生は俺の狙いを理解してくれたようだ。アイヴィはここで自分の名前が出るとは思っていなかったのか、コーヒーで軽くむせてしまっていた。


「けほっ、アイン君。私はアベル先生ほど魔法のことを理解できてないのですが、大丈夫なんですか?」


「彼の理論については僕も知識はゼロみたいなものだから大丈夫なんじゃないかな?それに多くの人の意見を聞いたほうが彼のためにもなるだろうからね。」


「アベル先生の言う通りです。アイヴィも全然気にしなくていいよ。正直に言うとまだ理論って言えるほど大仰なものじゃないからね。とりあえずは魔力を感じることから始めていこうか。」


かつて母さんにしたのと同じように、アベル先生やアイヴィに魔力を流し込んでみる。アイヴィは解呪の際に魔力を流した経験があったからだろうか、非常にスムーズに魔力の流れを感じ取ることが出来ていた。しかし、


「うーん、僕はアイヴィ君ほどはっきりとは分からないな。魔力を流し込んでいるといわれたら確かにそんな気はするんだけど…。」


アベル先生の方はなかなか魔力を感じるのに苦戦しているようだった。なるほど、母さんやアイヴィの時はスムーズにいっていたが、魔力の感じ方には個人差があるということか。これはしっかりと実験結果として記録しておこう。


結局、アベル先生はその日魔力をはっきりと感じることが出来なかった。じっくりと時間をかけて習得してもらうとしよう。一方、アイヴィはとても習得が早かった。俺の流し込んだ魔力をしっかり感じ取ると、今度は自分で詠唱魔法を発動して自分の体の中の魔力の流れを探り始めた。後は自分の体の中の魔力を動かすだけなので、アイヴィはかなり早く無詠唱魔法をマスターするだろう。




アベル先生とアイヴィに魔力操作を教え始めてから一週間ほど経った。アベル先生も魔力の流れを感じ取ることができ、順風満帆かと思われたが、二人とも自分の体内の魔力を詠唱なしで動かすのに苦戦しているようだった。詠唱したときの魔力の流れは感じ取れたみたいだが、やはりその魔力の動きを詠唱なしで行うというのは難しいようだ。母さんも同じような段階で詰まっていたので、おそらくこの魔力を動かすという部分、つまり魔力操作はかなり難しいことらしい。


現在は魔法学の授業中だ。相変わらずコッド先生が、過去の有名な魔法使いを紹介しその魔法が以下に素晴らしいかを説明したうえで、詠唱を教えている。


何回も注意されて俺も学習したので、あたかも授業を聞いているようなふりをしている。実際には別のことを考えて、ほとんど授業は聞いていないのだが。


「……。おい、話を聞いているのか?答えてみなさい。」


しまった、授業を聞くふりしかしてないのがばれたのだろうか?慌てて意識をコッド先生に向けると、どうやら注意しているのは俺に向かってではないらしい。自分でいうのもなんだが、Aクラスで問題児は俺だけだ。ほとんどのAクラスの生徒はまじめで、授業を聞いていないなんてことはない。いったい誰が注意を受けているんだと、先生の視線の方向を見るとうつむきがちのエスカの姿が目に入った。


「…、すみません。聞いていませんでした。」


「全く、君はそんなんだから…。いや、しっかり授業を聞くように。」


以前の魔法実技の授業で超級魔法を発動させられなかった時から、エスカはすっかり元気をなくしてしまっていた。同年代の中では魔法について絶対の自信を持っていたのに、俺やアイヴィが魔法(最後は剣で仕留めたが)で魔族を倒したのだ。その自信が揺らいでいたところにあの魔法実技の授業だ。彼女の自信はすっかりなくなってしまっているようだ。


(とはいっても、その原因の一端である俺は出しゃばれないよな…)


下手に出しゃばってしまうと彼女を傷つけてしまうだけだ。それにメンタルケアなどは前世も今世も専門外だ。俺にはどうにもできないし、彼女が自分で立ち直るか、あるいは先生などを頼ることを祈るとしよう。そんなことを考えていると、


「代わりに珍しく授業を聞いているようだったアイン。答えなさい。」


「うぇっ!えーっと、分かりません。」


急に質問を振られて思わず変な声を出してしまった。先生は呆れた様子だし、生徒も俺の出した変な声が面白かったのかクスクスと笑っている。


「そうか、お前は授業を聞いているふりをしているだけだったのか。せっかく心を入れ替えて授業をまじめに聞くかと思ったのにな。時間だし授業はここまでとする。次の授業で答え合わせをするので、各自調べておくように。それとエスカ、放課後私のところまで来なさい。」


授業はここまでのようだ。さすがにコッド先生もエスカの様子がおかしいことには気づいているようだった。ならば先生にエスカのことは任せるとしようか。


さて、最後の質問が何だったのか、周りのやつに聞いておかないとな。





二十七話目いかがだったでしょうか。更新が非常に遅くなってしまい申し訳ございません。2章の終わりまでのプロットはできているのでそこまでは更新したいと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔道コンロがあるってことは魔法のオンオフができるのかな... 人間を中心の魔石に見立てて足を踏み入れた瞬間魔力が吸い上げられるトラップとか作れそう
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