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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第二章:学院編
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第十八話:解呪、そして魔族

前回のあらすじ:アイヴィの呪いを解くことができた。


十八話です。ちょっと急展開です。

「ありがとう、本当にありがとう。」


アイヴィの様子を見て、全力を尽くしてよかったと心の底から感じた。前世の俺(湯川 伸弥)はこんなに人情味あふれる熱い男ではなかったと思うのだが、いつの間に俺はこんな人間になったのだろう。やはり、湯川の魂とアインの魂が混ざった影響だろうか。きっと、湯川の魂が混ざらなければ熱血で優しい普通のいい男だったのだろうなと想像する。


そばで解呪の様子を見ていたアベル先生も近寄ってきて、呪いが解けたアイヴィに声をかける。


「君の呪いが解けたようで良かったよ。さっきの魔法は見たことがないほどすごい魔法だったよ。けど、まさか呪いの正体が魔法陣だったとはね…。もしよかったら今回の様子をまとめて研究結果として発表しても良いだろうか?君以外にも呪いで苦しんでいる人はいるだろうし、そういう人たちのためにも。」


アイヴィは自分が今まで呪いで苦しんでいたからだろうか、ぜひそうしましょうという具合だ。しかし、俺は少し考えて渋い顔をし、問題点を指摘する。


「この呪いを解く方法なんですが、一つ重大な問題があるんです。それは呪いの魔法陣に魔力を流し込むために、魔力の操作を自由にできる人間じゃないとできないということなんです。しかも、それを行う人が多大な魔力を持っていなきゃいけないんですよね。」


今回の場合、俺だけでなくアイヴィの強大な魔力を使ってようやく魔法陣を破壊できたのだが、俺も一般人に比べると魔力が多いほうだし、アイヴィに至っては学院史上最高の魔力量とまで言われていたのだ。そこまでの魔力を持つ人間がそこら中にいるとは考えられない。


つまり、もし解呪の方法として今回の件を発表したとしても、実行することがほぼほぼ不可能なのだ。そのような状況なのに研究結果を公表したら混乱を生むだけのような気がしてしまう。


「うーん、確かに一理あるな。実際、魔力の操作なんてアイン君以外にできる人を僕は知らないし…。もし発表するのであれば、まずは魔力の操作のほうが先にした方が良いだろうね。」


「それにも問題があるんですよね。今の魔法って詠唱魔法が主流だから、魔力の操作っていう考え方自体がないんです。むやみに発表してしまうと間違いなく混乱を招くと思います。もしくは全く気にしてもらえないかですね。」


前世でもあったことだ。今までの研究をないがしろにする革新的な研究はなかなか理解してもらえない。もちろん、今研究していることが真実だという自負が研究者の中にあるから、その気持ちは分からなくもないのだが。


「分かった。アイン君の言う通り、今回の件はむやみに言いふらさないようにしておくよ。」


アベル先生がそう言ってくれた。アイヴィも渋々といった感じではあるが納得してくれたようだ。さて、今日はこれで帰ろうかと思ったところ目の前の建物の屋上から声が降ってきた。


「久しぶりに勇者の魔力を感じて飛んできたが、冷静に考えれば勇者が生きているわけないのであるな。人間とは我らのように長く生きられないのだから。」


目を声の方向に向けると、そこには明らかに"異形"という感じの化け物がいた。紫の肌、背中の羽に角、さらに大きな角。書物の中でしか読んだことないが、この化け物が「魔族」であることを確信した。





周囲が騒然としている。アイヴィが超級魔法を発動させたあたりから野次馬が多く来ているのは感じていたが、野次馬たちの声が悲鳴のような声に変わる。多くの人が魔族など見たこともないだろうが、あいつが魔族であるということを確信させるほどの異質さを感じたのだろう。


「有象無象などに興味はないのである。我が興味あるのはそこの勇者の魔力を感じる少女のみである。勇者は我ら魔族にとって、王を倒された復讐の対象なのだから。」


魔族から殺気が膨れ上がり魔族の姿が消える。とっさにアイヴィを抱え、全力で後ろにとんだ。先ほどまで俺たちがいた場所に魔族の爪が振るわれる。


危なかった…、一瞬遅れていたら奴の爪で切り裂かれていたところだ。


「ほう、今のを避けるか。最近は手ごたえを感じる戦いなどしていなかったのでな。楽しませてもらうのである。」


再び魔族の姿が消える。俺はアイヴィを突き飛ばして、自分は体を横に反らす。すると背後の死角だった位置から先ほどまで立っていた位置にまっすぐと爪が突き出されていた。


唐突に姿を消したり、あり得ない位置に現れたり、まさかこいつは空間転移とか瞬間移動の系統の魔法が使えるのか?魔族が使う魔法は特殊なものが多いと聞くが、ここまで常識外れとは。こんな街中に突如現れた理由もこの転移の魔法によるものだろう。


「そこの少女を殺すことは簡単だが、まずは貴様に相手してもらうとしよう。我は戦いにも楽しみを求めているのでな。せいぜいあがくのである。」


今度も背後に転移してきて大きく振り上げた爪を勢いよく振り下ろしてくる。とっさに身体強化の魔法を発動して、腰の剣を抜き奴の爪を受け止める。爪を受け止められたことに驚いたのか、ほんの少し戸惑いが見られる。


正直、アイヴィではなく俺を狙ってくれたのは僥倖だ。いくら何でもアイヴィを守りながらこいつを相手取ることは不可能だ。


奴の爪と俺の剣でつばぜり合いの状況になったので、はじくようにして後ろに跳ぶ。剣を片手に持ち替え、もう片方の手を前に突き出す。即座に魔力を練り上げ火球を複数生成し、奴の方に飛ばす。しかし、即座に俺の横に転移してきて、カウンターといわんばかりに爪による攻撃をしてくる。俺は何とか爪をかわし、距離をとる。


応援を期待して、とっさに周りの状況を確認する。アイヴィは未だに状況がつかみ切れていないのか困惑している。アベル先生も、目の前の状況が信じられないのかおろおろしている。これはまずいと思い、二人に指示を出す。


「アイヴィ、魔族の狙いは君だ。ここから離れて応援を呼んできてくれ!アベル先生も呆けていないで援護をお願いします。」


こういっている間も魔族の猛攻は続いている。防戦一方で攻めに転じることができない。何かきっかけがないと…。


「その必要はないのう。この一撃で終わりじゃ。」


魔族の周りの土が盛り上がり、棘の形となって魔族に襲い掛かる。俺の方に意識を割いていた魔族はかわし切れずに攻撃を受ける。


声の方を向くと、いつになく真剣な表情をして杖を構えていた。


「魔族がおるなんて報告、最初はまさかとは思ったが本当におるとはの。よう耐えたの、アイン君。」


これほどまでに学院長を頼もしく思ったの初めてだ。これで何とかなるとよいのだが。

十八話目いかがだったでしょうか。急展開だとは思いますが、魔族が急に現れたのは理由があるのですがいつか書きたいですね。新しいゲームを買ってはまってしまっているので、もしかしたら更新が滞ることがあるかもしれません。

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