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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第二章:学院編
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第十二話:入学、そして出会い

前回のあらすじ:魔法学院に入学し、多くの人と出会う。


十二話目です。とある少女と出会います。

入学式後、絡まれる前にさっさと退散し、訓練と実験を終えて部屋に戻ってきた。ラビは先に帰って来ていたらしい、ベッドに身を投げ出して横になっている。そのままの体勢でこちらに話しかけてきた。


「おかえりアイン。アインはAクラスだったね、さすが。Aクラスはどう?」


「そんなすごいことじゃないよ。そうだ、聞きたいことがあるんだけど。」


ラビにエスカのことを聞いてみる。やたらとこちらを見てくることなどを話し何故か分からないと聞いてみる。


「アインを一目惚れして、好きだから見てるとかじゃない。」


「冗談はやめてよ、ラビ。今日だって絡まれそうだったからさっさと退散したのに。」


「分かった、真面目に答えるよ。エスカ=ヴィレッジ。ヴィレッジ公爵家の次女で、魔法の天才だって言われてる。火魔法が得意で、実技試験の時に見せた上級魔法は他の多くの生徒を魅了したっと。あの美しい容姿も相まって、すでにファンクラブができているとかなんとか。」


「ちょっと待った。詳しすぎないかい。何でそこまで知ってるの。」


「信憑性のない情報も混ざってるけどね。ファンクラブは未確認情報だよ。」


正直言ってそこはどうでも良い。魔法の天才か…。もし実技試験の俺の魔法を見ていたのなら、自分の知らない火魔法を使える人間に嫉妬とかをしたのかもしれないな。その程度だったら特に気にしなくても良いだろう。

というかラビはなぜここまで知っているんだ。こいつ実は情報屋の才能でもあるんじゃないか。




翌朝、日課の訓練を行っていると、かすかに声が聞こえてきた。俺以外にこんな時間に訓練場を使う人間がいるのかと気になって少し探してみる。すると、訓練場の隅で女の子が一人的に向かって手を向けて詠唱している姿が見えた。


「『火よ、起これ』、『火よ、起これ』。」


詠唱をしているが魔法が発動している様子は見えない。ついにその場に崩れ落ちてしまった。


「何でよ、何で発動しないのよ…」


少女の目から涙が零れ落ちる。よく見ると試験の時に魔力量測定で歴代屈指の魔力量と評されていた少女だということに気づいた。俺がどうすればいいか分からず見ていると、少女がこちらに気づく。慌てたように涙をぬぐって立ち上がる。


「あ、あの。ごめんなさい。訓練場は自由に使って構わないということでしたので。そのっ。」


「いや、そんなに謝られるとこっちが困っちゃうよ。俺はアインシュ=ヴァレンタイン。君は?」


「私はアイヴィ。アイヴィ=ドレッドといいます。よろしくお願いしますアインシュさん。」


「君も新入生でしょ。もっと軽くでいいよ。それとアインシュだと呼びにくいだろうからアインでいいよ。」


「ア、アインさんも新入生なんですね。先輩かと思いました。口調は…癖ですので。」


まあ口調については仕方がないので別に良いだろう。だが、それ以上に先ほどの光景について聞いてみたい。


「それより、アイヴィは何をしていたの。魔法の練習?」


詠唱していたのにも関わらず、彼女は魔法を発動させることができていなかった。根本的に魔力が足りないか、練習のし過ぎで魔力が枯渇気味なのかだ。試験の様子を思い出すに、おそらく長時間練習していたのだろう、魔力を枯渇させるほどまで頑張るとは。


「いえ、これはその…。」


アイヴィは言いよどむ。一体どうしたのだろうか。ほんの少しためらって、彼女は口を開いた。


「私、魔法が使えないんです。」





現在は魔法学の授業中だ。コッド先生が詠唱についていろいろ説明しているが、全く頭に入ってこない。今、俺の頭の中には今朝であった少女のことでいっぱいだった。


(魔力があるのに魔法が発動しない…?魔法を発動させようとして詠唱をすると、自動的に体内から魔力が引き出されて魔法が発動するようになっているはず。だったらアイヴィはなぜ魔法を発動させることができないんだ?)


手に持ったペンをノートにトントンとたたきながら魔法が発動しない原因について考察する。まずは今までの実験から得られた魔法発動のプロセスから見直すことにしよう。魔法発動は以下の三ステップで成り立っている。


1.魔力を操作。魔臓から魔法を使うために必要な魔力を引き出す。

2.魔力を引き起こす事象に合わせて変換。

3.魔法が発動。


大体こんなところだろう。詠唱はこのステップを自動的に行うものと考えてよいだろう。となると魔力があるのに魔法が発動しないのはこのステップのいずれかができていないということだろう。理由は分からないが、魔力を引き出すことができないのか、それとも変換ができないのか…。


「アインシュ、何をボケっとしている。話を聞いているのか?賢者フィーにより考案された風の中級魔法の呪文は何だ?」


コッド先生に質問を投げられる。授業を全く聞いていなかったため、さっぱり分からない。


「すみません、分かりません。」


「全く、詠唱魔法の呪文を覚えることは一流の魔法使いになるための第一歩だぞ。この授業は魔法学院で最も大事な授業と言っても過言ではない。なのに呆けるとは…。エスカ、代わりに答えなさい。」


「はい、先生。呪文は『嵐よ、吹き荒れろ』です。」


「正解だ。よく勉強しているな。アインシュ、お前もきちんと勉強すること、いいね?」


コッド先生に適当に返事をしておく。俺の魔法に詠唱はほとんど意味はないため、今更多くの詠唱を覚える気になど全くならない。エスカが勝ち誇ったような顔をこちらに向けている。特に気にせず、アイヴィの魔法が発動しない原因の考察を再び始めるのだった。




今日の授業がすべて終了し、訓練場で魔法の実験をしようと立ち上がる。エスカがこちらに向かって鋭い目つきを向けながら歩いてくるのが見えた。嫌な予感がし退散しようとするが、彼女の取り巻きだろうか、出入り口がふさがれてしまっている。とうとうエスカが俺の目の前に立った。


「アインシュ=ヴァレンタイン。さっきの授業態度は何なのですか?魔法学の授業は先生の言う通り、学院で最も重要な授業です。先ほどの質問さえ答えられないのになぜAクラスにいるのですか?」


とても嫌味な風にそう言ってくる。正直に言っても聞かなさそうなので、けむに巻いておくことにしよう。


「実際に魔法を使うのは得意なんだけど、魔法学は苦手でね。俺はこの後、訓練場向かうからこれで失礼するね。」


「待ちなさい。」


エスカが再び俺の前に立ち、邪魔をしてくる。どうしたもんかと悩んでいると彼女がとんでもない発言をしでかした。


「私、エスカ=ヴィレッジはアインシュ=ヴァレンタインに決闘を申し込みます。」



十二話目いかがだったでしょうか。アイヴィとの出会いに重きを置きたかったのですが、最後のエスカにすべてを持っていかれた感じになってしまいました。エスカがでしゃばることも多いですが、本章のヒロインはアイヴィです。

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