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実験好き男子の魔法研究  作者: 日野萬田リン
第五章:戦争編
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閑話:王都戦線その後 中編

前回のあらすじ:"双子の聖女"ライト姉妹は王都騎士団団長ケイト=ハインリヒと白狼の森の調査に行くことに。


閑話中編です。ケイト騎士団長の強さを見せる回です。


<リン=ライト視点>


うっそうとした森の中を進んでいく。時々魔物に襲われることもあったが、ケイト=ハインリヒ騎士団長の剣の一振りで終わった。ほら、今回もそう。


私とルンの目の前で魔物の首と胴体が離れる。騎士団長は剣に付いた血を振り払い、背中の鞘にその大きな剣を収めた。


「ふむ、今のところ魔物自体に変化は見られないな。」


「そうなんですか?」


私はこの"白狼の森"の魔物の生態については詳しくない。今まで出てきた魔物は一般的にはそれなりに危険な魔物に分類される。ここまで何も問題ないのは、ひとえに騎士団長の実力が飛びぬけているからに他ならない。


「ああ。出てくる魔物の種類やその動きに奇妙なところは見られない。先日の襲撃では普段とは異なる動きをする魔物がいたのだが。例えば、本来単独で行動しているような魔物が他の魔物と一緒に行動したりな。」


王都戦線では"白狼の森"からやってきたと推測される魔物の姿も多かった。だが、いつもと異なるような行動に苦戦した騎士や冒険者も多かったらしい。


今のところは大して問題にはならないが警戒は解かない方が良いだろう。


「むっ!」


木の陰から一体の魔物が飛び出して襲ってくる。いち早くそれに反応した騎士団長は瞬時にその魔物を切り伏せた。


私はその間周囲を警戒する。しかし、後続の魔物が襲ってくる様子はなかった。


今のところ瘴気以外の異常は見られない。早いところその原因を見つけたい。私たち一行はさらに森の奥深くへと進んでいった。





休憩をはさみつつも森の奥へ進んでいくが、中々異常を見つけることができない。あまり長時間居続けるには、ルンの魔法が解けてしまう可能性もある。


騎士団長を先頭に私たちは歩く。私は時々地図を見て、自分の位置を可能な限り見失わないようにする。そんな地図を見ていた私はある違和感に気づいた。


「あれ、ここから東側……、あちらの方角は探索しないのですか?」


先頭の騎士団長がこちらを振り向く。大きな歩幅で歩いてきた騎士団長の表情は見たことがないほど真剣なものになっている。


その表情を変えないまま私が持っている地図を覗き見た。


「……妙だな。確かにその辺りは探索できてないのに全く気付いていなかった。」


騎士団長の歩みに迷いは感じられなかった。だが、"無意識のうちに"ある一帯を避けるように歩いてしまっていたようだ。


「聞いたことあります。魔族の魔法に人を迷わせるようなものがあると。もしかしたらそれかもしれません。」


ルンの言葉に私もうなずく。私たちは光魔法を習うと同時に魔族についても軽くだが習う。その中にそういった内容があったことを思い出した。


「よし、そっちの方に行ってみよう。」


違和感のある場所へ向かう。しかし、案の定というかやはりというか、その場所にはどうしても避けてしまう。間違いなく何者かの干渉を受けている。


「どうやら近づけない結界が張ってあるようですね。けど、問題ありません。私が解除します。」


結界と言えばルンと思われがちだが、こと"結界を壊す"となれば私の方が得意だ。


「十分に気を付けてくれ。これほどの魔法が使えるとなれば、魔族がいる可能性が非常に高い。」


私は無言で頷いて光魔法を発動する。


「『――。光よ、魔を守る闇を打ち払いたまえ。』」


長い詠唱を完了し、光魔法を発動する。一時的に周囲の瘴気も払われるが、メインはそれではない。結界が壊れているかを騎士団長は確認しようとする。


しかしその時、結界が張ってあったであろう区域の中から何かが迫りくる足音。それもかなりの数。


「戦闘準備!……来るぞ!」


それは本来ならあり得ない光景。複数の魔物が協力するように一緒にこちらに迫りくる。先ほどまでと同様の魔物の姿ではあるのだが、全く異なる雰囲気を醸し出していた。


私はルンの前に守るように立ち、両手を前に突き出し詠唱を始める。そして、私たちより前に立っている騎士団長はゆっくりと背中の剣を抜いた。


「あまり森の中では使いたくなかったが、仕方あるまい。『起きろ。』」


騎士団長の剣にはめ込まれた魔核が怪しく光る。そして剣の周囲に激しい炎が発生し、目の前の魔物へと襲い掛かる。


騎士団長の持つ剣は魔剣だ。その名は魔剣フラム。炎を自在に操る魔剣で、ドレッド領騎士団の騎士団長タレス=エウクレスの持つ魔剣ベントに匹敵する魔剣だ。


大半の魔物はその炎に焼かれるが、数が多い。抜け出してきた魔物を炎をまとった魔剣フラムで切り裂いていく。


「『光よ、魔を打ち払いたまえ。』」


騎士団長の攻撃の範囲外からやってくる魔物もいる。私はルンを守るため、光魔法を発動し、その光線で魔物を貫いていく。力の弱い魔物はそれだけで倒れていくが、ある程度力のある魔物にとってこの程度では時間を稼ぐくらいにしかならない。


ルンは瘴気から身を守るための魔法の維持で戦うことはできない。そのルンを守るのが私の役目だ。ある程度時間を稼ぐことができれば、ほら、この通り。


「図に乗るな、魔物風情が。」


多くの魔物を屠った騎士団長が私にとびかかろうとする魔物の頭を後ろからつかむ。そしてそのまま一閃。成す術なく魔物は切り伏せられた。


ようやく一息つけるかと思った次の瞬間、私たちはとてつもない重圧に押しつぶされそうになった。


騎士団長の顔からツーっと汗が垂れる。その視線の先には私は見たことのない魔物とその隣に立つ魔族。


その魔物の姿に私は目を見開いた。普通よりはるかに大きい狼の魔物。そしてその毛色は銀色。


「やれやれ、簡単に殺してくれる。たいした手間ではないとはいえ、時間はどうしてもかかるんですよ?」


魔族の言葉は私の耳には入らない。その魔物の姿は話に聞いていた森の主、"白狼"の特徴と非常によく似ていたからだ。



閑話中編いかがだったでしょうか。ちなみにケイト騎士団長とタレス騎士団長は同じくらいの力を想定しています。合同訓練とかでバチバチにやりあっていてほしい。


次回更新は6/8(水)の予定です。読んでいただけたら嬉しいです。

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