第一話:実験、そして転生
初めまして、日野萬田リンと申します。この小説が初投稿になります。生暖かい目で見守ってください。趣味で書き始めたので不定期投稿になるかと思いますが、様々な小説を読んでモチベーションの高いうちにできるだけ書き進めようと思いますのでよろしくお願いします。
「まじかよ…、こんなのあり得るのか…?」
俺の名前は湯川伸弥。ただの科学者である。世間からは変人科学者と呼ばれている。二年前に疑似タイムマシンを開発し、今年ノーベル賞も受賞した。疑似タイムマシンとは、過去に起こった出来事や近い未来に起こる出来事を確認することができる機械である。この疑似タイムマシンの開発後、過去や未来に直接干渉可能な"本物の"タイムマシンの開発を試みていた。その開発途中に過去や未来とは別の"世界"を観測したのであった。
「過去でもない、未来でもない世界…、パラレルワールドとも違う。これは本当にこの世界とは違う"異世界"だ。」
異世界の観測をしたからには、なんとしてもその異世界へ渡る方法が欲しい。幸い、過去や未来にわたるためのタイムマシンの構想はできている。その移動先を異世界に渡るように設定すれば…。
「異世界に渡ることができるかもしれない」
異世界の観測後、従来のタイムマシンの設計の一部を変更し、異世界へ渡る機械の開発を目指した。異世界の存在はもちろん論文として発表したのだが、まったくと言っていいほど受け入れられず、今まで以上に変人扱いされることとなった。
三年もかけてしまったが、ようやく異世界へ渡る機械の試作機を完成させた。本当なら安全をしっかり確保したうえで実験をするべきなのだが、いち早く未知の異世界を確認したかったため、つい焦ってしまった。
「ここをこうして、そっちはこうで…。よし、起動!」
試作機を起動したその瞬間、眩い光が俺の体を包み込んだ。
目を開けると目の前に"神"がいた。いや、本当は違うのかもしれないが神としか形容のできない威厳を持ったような存在が目の前に仁王立ちしていたのだ。混乱しつつも周りを見渡してみると、どこまでも真っ白な空間が広がっていた。まさかここが俺の求めていた異世界なのだろうか…、などと訳も分からず立ち尽くしていると、目の前の存在が俺に語り掛けてきた。
「まさかこれほど早く世界の真実の一つに到達するものがいるとは思わなかったぞ。少なくとももう1000年はかかると思っていたのだがな。」
目の前の存在が言っていることが全く分からない。世界の真実…異世界の存在のことだろうか。この言い方からすると、この人は本当に神なのか?
「私はお前の想像している通り、神である。お前が住んでいた世界を含め、いくつかの世界をすべている。私がすべる世界の間では行き来することが理論上可能なのだ、お前の掲げた理論の通りにな。しかし、残念ながらお前は異世界に渡る実験に失敗し肉体を失った。魂のみ取り残されていたところを私が保護したのだ。お前の理論は正しかったのだが、最後の詰めを誤ったな。人間の肉体そのままでは世界を渡る際の負荷に耐えられないのだ。」
なるほど、疑似タイムマシン使用の際も体への負荷が問題視されていた。過去や未来を見るだけでひどく消耗してしまうのだ。それを考えると、そもそも世界を渡るには負荷がそれ以上であることは想像に難くない。その負荷の対策をしていなかったために実験に失敗して肉体を失って、魂のみになってこの神のいる領域にたどり着いたというわけか。くそっ、この実験結果を記録しておくことができないのが非常に悔やまれる。俺の脳内にしっかりと保存しておこう。
「お前のその頭脳はそのままにしておくのはもったいない。お前のその頭脳を停滞してしまった他の世界の発展に役立てて欲しい。その世界では科学という概念はなく、魔法が発展している。しかし、まだまだ魔法には発展の余地があるにもかかわらず、人族の魔法はここ数百年目覚ましい発展もない。このままではいずれ、魔族の侵攻に耐えることができず人族は滅びてしまうだろう。お前には人族として転生してもらい、魔法の研究を進めてもらいたい。」
停滞してしまった世界?ということは元の世界とは別の世界ということだろうか。しかも、魔法が存在するとは…。もしかして物理法則からして違うのだろうか?科学者として未知の世界にはどうしても惹かれてしまう。もともと異世界に渡る予定だったのだし、俺には何も不都合はない。どこまで神の期待に応えられるかはわからないが、お願いしよう。
「ぜひお願いします。俺は違う世界を実際にこの目で見てみたいんです!」
「ではお前の魂をその世界へ送ってやろう。魔法について詳しく説明することはできないのだが、お前の性格なら放っておいても世界を発展させることができるだろう。」
そうして、今度は俺の魂を眩い光が包み込んだ。
第一話では異世界までたどり着きませんでした。次回から場面は移って異世界の話となります。
様々な小説の影響を受けてるのでn番煎じ感が否めないですが、次話以降も読んでいただけたら幸いです。
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